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頭は良いのか悪いのか?
頭が悪そうだ。
普通なら、察しても良さそうなのに、紙を渡され困惑する姿に人知れずため息がもれる。
「先程は何をされていたんですか?」
「・・・読書です」
何でこんな事聞くの?
と、言いたげに目をぱちくりする。
「とてもそうは見えませんでしたが・・・」
「あーあ、私読むの速いんです。」
「「・・・」」
会話が途切れてしまった。
早いというレベルではない。
ただ、ひたすらめくっていた。
「お気にめすものはございましたか?」
「2冊目に拝見いたしました。サザール公国との貿易交渉の場面など、大変興味をそそりました」
サザールは、この国と並ぶ大国、国土は肥沃ではないが、商工業と貿易で栄えている国、貿易交渉で何度も苦虫を噛まされている。
「具体的には?」
「なぜ、サザール公国が欲しがるものをほとんどただに近い安価で売り渡しているのでしょう?」
なぜかしら?
と、謎が解けないと言った様子で首を傾げる。