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くじ引きで選ばれた皇太子妃
「御婚約者様のご到着でございます。いかがなさいますか?」
昼過ぎに執事が呼びに来た。会いたくはないが、会わなければ、父に直ぐに連絡が行くだろう。
客室に待たせるように伝え、区切りの良いところまで、仕事をすすめる。
「いい加減行ったほうがいいんじゃないのか?」
時計を見れば、既に1時間は経っている。ため息とともに重い腰を上げる。
「お待たせして申し訳ございません。」
従者にドアを開けさせ中に入ると謝罪の言葉を口にする。
そして、飛び交う本と宙に浮かせた本をひたすらめくる令嬢と言う異常な光景を目の当たりにする。
「・・・」
誰?と、言った顔が向けられ、一瞬怯む。
「お初にお目にかかります。アレンデール皇国第一皇子アレクセルです。マリアンナ嬢」
彼女の顔がヤバイ物を見るそれに変わり、何事もなかったかのように最敬礼で礼をとり自分に向き直る。
本は浮いたままだ。