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プロローグ~



 人里離れた山奥に一軒の家が建っていた。

 


壁には蔦が這い、汚れきっており年季が入っている。


相当前からこの場所にあるのであろう。



そこには一人の魔術師が済んでいた、外見的な年齢は十代前半程度の少女。

 紫の美しい髪色で顔立ちはとても整っており美人の部類に入るであろう。



彼女はミリス・アクルファ、かつては英雄と称えられた魔術師である。

 だがその後は仲間の裏切りで悪評が広まり、悪魔と比喩され、数百年たった今では存在すら忘れ去られている。



彼女が人里離れたこの場所で生活しているのもその為だ。

 彼女が何処へ行こうと悪魔と罵られ石を投げつけられる始末、結果としては人がいない山奥しか居場所が無くなってしまったのだ。




 気付けはそうして数百年、声の出し方すら半ば忘れてしまっている。

 この近辺は上位の魔物が多数生息しており、生半可な冒険者では一日として持たない、そんなところに人が来るはずもない。



  だが、ある日彼女の生活に転機が訪れる。





何時もの早朝ーーー何の変わりもない数千、数万回と繰り返した事だ。



「……」



ミリスはギシギシと軋むベットから無言で起き上がる。

 自分の隣を見てみる、そこに人がいるはずもない。

 かつては毎朝虚しさに襲われていたがもうとっくの大昔に慣れている。





  彼女の毎日は単純だ。


朝起きて森へ出掛け、魔物を狩って、山菜を採集する。

 後は寝るくらいだろう。


 一言で現せば詰まらない毎日。



人里に降りれば、罵倒され追い払われる、つまりはこの山の中で生活していくしかないのだ。

 数百年たった今ではどうかは分からないがそんな勇気は微塵もない。




その日の夕方ごろ、夕食の準備を始めようとしたときだった。



「アウゥゥォォン‼」



外から、コボルト達の鳴き声が聞こえる。



コボルトとはこの山に生息している二足歩行の狼のような魔物だ。

 魔物が巣食うこの山ではコボルトの鳴き声が聞こえてくる等珍しい事ではない。



それにコボルト達は、ミリスの力を知っている、ミリスを襲ってくる事はまずあり得ない。



「アウゥゥォォン‼」

「ガウゥウル‼」

「アウゥゥォォン‼」



コボルトの遠吠えは、一匹二匹と増えていく。

 獲物を狩るために仲間を集めているのだろう。


しかも、かなり五月蝿い、家の前であろう。



「……」



こんなに五月蝿くされては、まともに料理もすることさえままならない。

 追い払ってやろうと家の外へとでる。





そこにはコボルトに囲まれ、今にも食い殺されそうな、傷だらけの子供がいた。




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