プレスファクトリー(1)〜ランボー、名前の由来
工場の中は電気がつかなく、窓は鉄の塊の城壁のせいで、外の光が少ししか入ってこないので薄暗い。このプレス工場は半分廃業しているような借金まみれの会社で、ここの社長に金を握らせ、たまに『執行』に使うのだそうだ。
ランボーは中のスポンジが見えているボロボロのソファに座っている。工場に入った途端、シュワちゃんが「糞」と言ってトイレに行ったまま10分が経ち、まだ戻ってこない。
初めは怯えていた財前泰司も、何もしないまま10分が立つと、だんだん我儘おぼっちゃまの強気な態度を見せてきた。
「お前ら、俺の親父が誰かわかってんのか!こんなことしてタダで済むと思ってんのかよ」
ランボーは半笑いのまま、舌打ちをした。
「おい!聞いてんのかよ!なんで俺がこんな目に遭わなきゃなんねーんだよ!!」
ランボーがソファから立ち上がると、財前泰司は一瞬怯えた表情を見せたが、まだ強気な暴言を吐く。
「俺に何かあってみろ!お前ら、どうなっても知らねーからな!」
「俺らがどうかなってる時、お前はどうなってんだ?」
ランボーは低い声で答え、財前泰司のそばにしゃがみ込んだ。彼は腰元から何かを出した。財前泰司の目が見開かれていた。眼球が溢れ落ちそうなほど、開いている。
ランボーの手には、驚くほど大きなサバイバルナイフが握られていた。
「お前、うるせえから、口、取っちゃうぞ」
なんの特徴もない薄い顔のランボーの座った目は、とてつもない存在感を放っていた。




