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アットホーム アサシン  作者: オノダ竜太朗
セカンドミッション
35/74

仮入社〜ランボーが威張る

昨日、千葉の養護施設の帰り、会社に寄り、退職の手続きを済ませた。部長も課長も取れなかった。小林はまた謝ってきて、事務室を去り際に、柏原が声をかけてきた。


「あら、浅野くん辞めちゃうの?こっちは全然きにしてないのに」


他人を嘲るような笑みで、俺を見下ろしているように見えた。べつに辞めるのは柏原のせいではない。


「はい。こちらも全然気にしてないから、大丈夫ですよ」


柏原は何か言っていたが、振り返らずに会社を後にした。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



澤村に退職して、この事務所に入りたい伝えると、多少狼狽えたが、喜んで迎え入れてくれた。


「よーし、よーし。やっとその気になったか」


「や、まだ『殺し屋』というのがピンとこなくて。仮入社というか、内勤の方でお世話になれないかと」


勢いよく入社すると言ったそばから、早くも後悔し始めていた。でも、まだウジウジ迷っているのはダメだ。(どっちが魅力的かがキーなの)妻が言っていた。少なくとも前の会社には魅力を感じないのだ。嫌だったら辞めればいい、とりあえずやってみろ、妻にそう言われるだろう。妻のポリシーの、他人を傷つけないこと、それは守らなそうだ。だが、人助けをしているのだ。そこに魅力を感じ始めている。


ダンゴムシの席を見ると、やはり寝ていた。聞きたいこともたくさんあったが、聞いてはいけないような気がする。聞いたところで、はぐらかされそうだ。


「じゃあ、早速だけど古谷悟の件、偵知してきてもらおうかな。一昨日ジバンシイが行くって言って、結局行ってなかったらしいんだよね」


「え、いきなりひとりですか?」


澤村が顎で示した。後ろを振り返ると、男が立っていた。彼がランボーと呼ばれていた男だと思い出すのに、しばらく時間を要した。


「本当は相棒と行かせるつもりだったが、相棒が腹が痛いって言って、昨日から休んでるんだよね」


「まさか『ターミネーター』とかって名前じゃないですよね」


ロイホがキーボードの手を止めて答えた。


「浅野さん、惜しいです。『シュワちゃん』です。夏はタンクトップ、他は一年中革ジャンにサングラスです」


一体、ここには何人の社員がいるんだろうか。


「なに、ボサッとしてんだよ。行くぞ、新人。俺の足、引っ張んなよ」


ランボーは存在感を出そうと、上から目線でそう言った。

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