ゲット アップ ルーシー(3)〜執行前
赤いスポーツカーは千葉の海岸沿いを走る。7月の海風は気持ちいいが、そんなことを言っている心の余裕はない。
しばらく走っていると、海側に待機避難所のような4.5台車が停められるスペースがあり、赤いスポーツカーは、そこに車を停めた。他には1台も停まっていない。
「一旦、通り過ぎろ」
いつの間に起きたのか、ダンゴムシが指示してきたので、指示に従った。
「その辺で停まれ」
俺はウインカーを出し路肩に停め、ハザードを点けた。外から子供の声が聞こえる。そこには白い建物があった。小学校かなと思ったが
門に大きな十字架が建てられ、「きぼうのもり学園」と古めかしい看板が取り付けられていた。養護施設らしい。
ミントを思い出した。こういう施設が全国にあるのだろう。楽しそうな子供の声が聞こえるが、この中にも、ミントみたいな周りに馴染めない子共も紛れているのだろう。
ダンゴムシはナビを真剣に見つめている。ブルーの点滅を確認しているのだろう。先程までの半開きの目とは違って、声をかけられなかった。
「よし、戻れ」
彼の言わんとしていることを理解する。車をUターンさせ、赤いスポーツカーが停まっている待機避難所まで走らせた。




