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短刃の勇者  作者: 惨劇の翼(厨二)
序章 変化
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決断

少女は、人の心が()えた。と言っても考えを読む訳では無い。少女の能力(ギフト)は"心眼"相手の感情が視えるのだ。他人の感情が視えたおかげで、彼女の心は、正常を保てたのかも知れない。何せ、実際は苦しんでいたり、何とも思っていなかったり、ただ周りにあわせているだけだったり、本当の意味で彼女を憎んでいる者は居なかったのだ。そんな中で、彼女は視てしまった。凍えていながら涙を流し、そんな事すら分からなくなってしまった、その心を。そして、引き寄せられるように近付いてしまったのだ…。今まで生きてきた中で初めてだった、それ故に興味を持ってしまった、どうしたら人の心がそうまでして閉じてしまうのか…。幸運(?)なことに彼女は、再びその心に近付く事ができた。視間違えるはずも無かった。だが、その心に触れて行くうちにその冷たさが彼自身を守っているものだと分かった。それが彼の最後の防波堤。本能的な嫌悪感を押し殺し、その行いを正当化していたのだ。


そして、今の彼には、徐々に暖かい風が吹き始めている。


■□


アルナイルは、人の心が視える。故に聞く人全てが悪と認める事も、アルナイルは"訳あり"と捉える癖がある。


(この人は、こうしなければ生きられなかった。この世界で生きるには、甘さを捨てなければならない…ただ…それだけ…)


彼女は、もはや男の正体を疑うこともしなかった。分かってしまったのだ、その生き様故に、心を閉ざす必要があったのだと、凍らせる必要があったのだと…。ある意味では納得できた。


(お父さんは、甘さを捨てきれなかった、だから、私達はこうなってしまった。それが事実。事実は変えられない。なら同じ過ちを犯す様なことはしてはならない…そう思えたら、どれほど楽なのだろう…)


始めは、死神と呼ばれた少年を許すことが出来なかった。彼が居なければ、何度そう思った事だろう…。だが、今の少女は、その彼の本心を誰よりも知っている。だからこそ選べなかった、復讐に囚われ過去をとるか、これからを生きるために今をとるか。なればこそと少女は選び、叫ぶ。


「私は強くなります!自分の弱さを人に押し付けない為に!誰かに守られるのではなく、誰かを守れる為に!」


少女が選んだのは、過去を振り切り、今をも踏み越えて、未来に生きることだった。

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