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短刃の勇者  作者: 惨劇の翼(厨二)
序章 変化
12/34

前兆

連続ですが胸糞展開ありです。

少女は、錫杖(しゃくじょう)を持った男達に囲まれ、逃げれなくなってしまった。


「一体、何の用なんですか!?」


「ほんとに分からないのか?この格好を見ても?」


(格好?…あれってまさか天々信仰教会!?しまった!)


少女は気付くが時既に遅し、咄嗟にナイフを構えようとするも、普段は持ち歩いて無い、素手で抵抗しようにも、たったの数ヶ月の訓練では、周りの男達をどうこう出来るほど上達するものでは無い。故に少女は成す術なく捕らえられる。


「磔にしろ。」


包帯の男の命令により少女は(はりつけ)にされてしまった。


「ぐっ…離して!」


両手足を紐でキツく結ばれたアルナイルは抵抗を示す。


「威勢のいい事だ。何か言い残すことはあるか?まぁ聞く気は無いが。」


(助けて…ご主人様)


少女は、祈るほか無かった。


■□


(今日の晩飯は何だろうか?きっと今日もアルは張り切っているんだろうな。)


そんな事は露知らず、男は能天気な事を考えていた。


(この時間帯なら、もしかしたら買い物をしてるのではないか?ちょっと街を歩いてみるか。)


数ヶ月前に比べると、どこか鋭い雰囲気はどこへやら。すっかりポンコツになったものである。


そんな男でも町の中ほどに剣呑な空気を感じ、ふとそちらへ行くことにした。


男は人混みをかき分けその中心部へ向かう、本来は人が(つど)っていようが全く気にならなかったが、今日ばかりは何だか嫌な予感が働くのである。男の予感というのは、数多の戦場を生き抜いてきただけあって、かなり的中する。


(何だ?この感じは?)


そして男は見てしまった…


■□


「王子…あれは?」


「分かりません。ただ、普通の少女に教皇自ら何がする程暇とは思えませんが…」


「どうしやす?様子を見やすか?」


「そうですね。ここで教会の連中と対立しても仕方がありませんから。」


男達は、少し離れた所で教会連中と少女の動向を見張っていた。少女は片目を隠していることもあって、彼らはその瞳に気付いていない。


(磔?何故?彼女が何だと言うのです!?)


この男達の誰か一人でも少女の瞳に気付いていれば、間違いなくリーダーに進言し、そのリーダーは、少女を助けに飛び出したであろう。得てして不幸とは小さな不運が重なって出来るものである。


■□


「これより神への冒涜者の処刑を行う!」


男は、声を張り上げ宣言する。しかし、その顔は、神聖な行いをするとは思えぬほど嗤っている。


「デビス、やってやれ。」


「了解です。」


デビスと呼ばれた男は、持っていた錫杖を置き、唐突に目を布で覆い、その手に三本のナイフを持った。


「ほんじゃ、いきます。」と軽い感じで、そのナイフを投げ出しだ。


目の前で動けない少女は、当然躱すことなど出来はせず、その身に一本刃を生やす。


「うっ…….」


今まで生きてきた中で感じたことのない痛みが少女を襲う。だがそれでは終わらない。


「一本か〜、まだまだだな。次は俺だな。どっちが多く刺さるか勝負だな。さぁ、賭けろ、賭けろ。」


そう言うと、今度は包帯の男が、目を覆い別のナイフを手に取る。


男達は、賭ける。


「そーれ」と、またもや軽い感じで、ナイフを投げる。今度は三本全てが少女に刺さる。


「うぐぁ…」


少女は声にならない声を上げる。


(なんで!?なんでこの人達は…遊んでいるの!?命を何だと思っているの!?)


少女は、ぼやけていく思考の中で考える、そして周りを囲む民衆から、良く知る人物が飛び出してきた。


■□


「は?」


男は理解が出来なかった。頭が真っ白になるとはこういう事か、と益体(やくたい)のない事が頭を()ぎる。


「何…を?何を…している?」


そして男は、少しづつ思考が働き、黒い感情が胸中を渦巻く。


「貴様ら、何の真似だ?教会は、この国に於いては不干渉では無かったのか?」


「ん?誰だ貴様?今俺たちは、神聖な行いの最中なんだ、邪魔してくれるな。おいデビス、そいつを摘み出せ。」


「はい。ってことであんた、この女と同じ目に合いたくなきゃ、さっさとどっかに行っちまいな。」


「今すぐその子を離せ。」


「はぁ?何言ってやがる?さっさと消えろって言ってんだろ!」


デビスは、持ち直した愛用の錫杖を振り被る、だがそれが振り下ろされることは無かった。


鮮血が舞い、デビスが首を押さえつつ膝をつく。


「首を落としたつもりだったのだが、まさか躱されるとは。」


「くっ…何しやがった!?」


デビスは、男の動きを捕らえられなかった。男の一瞬のプレッシャーに、足が竦んだだけである。そこに男のナイフが通っただけだ。


「貴様らは…許さん。覚悟は出来たか?お前らの大好きな天に召される覚悟がぁ!」


男はかつてないほど叫んだ。


■□


「うーわ、ありゃひでぇ、磔にして遊んでやがる。」


「酷いですね…なんの意味があってあんな事を…」


「んぁ?誰か飛び出してきやしたぜ?」


「あれは!?血沼の死神です!?」


「ほんとですかい!?」


少々場違い感のあった男も気を引き締める。血沼の死神相手では、流石に無事で帰れるとは思わないからだ。


「ですが…様子がおかしいですね…」


「どうゆうことですかい?」


「それは…私にもさっぱ….あっ!」


「なんかトラブルくさいですな、一刀したみたいで。全く見えやせんでしたが…」


「これは…私達も行きましょう!」


「了解でさぁ!」


男達も駆ける。

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