動きの果てに
なんて事無いかもしれませんが、少し胸糞な所があります。ご注意ください
「これがシラユリの砦の跡地か…酷い有様だな…」
鋼の様な肉体に、巨大なバスターソードを担いだ男は一人呟く。
(あれは…)
「シラユリ!!」
男が見つけたのは、血の涙を流し、悲痛の表示を浮かべる首だけとなったシラユリだった。
「なんてこった…まさか晒し首とは…てっきり…捕虜になったとばっかり…もっと早くに来れれば……くそ!」
男は自分の無力を嘆く。
(胴体は…?)
男は砦を見て回った。
そこで見たものは、苦痛の表示のまま動かなくなったもの、手足の爪が無くなったり、身体中に刃物を生やしているもの、そして股から血を流した首のない女性の胴体だった。
「奴ら…ただ殺しただけでは飽き足らず、この様に汚してまで…」
男は沸々と沸き上がる怒りを抑える。
「同胞たちよ…どうか安らかに…眠ってくれ…」
(王子…あっしはもう…耐えれませんぞ…)
■□
「バング・ワング、ただ今戻りやした。」
「ご苦労さまでした。シラユリの方はどうでしたか?」
「それが…シラユリは晒し首、部下達も拷問の後に殺されたようです。中には拷問とも思えないものもありましたが…」
「……そうですか。辛い役を任せてしまいましたね…申し訳ありません…」
「構いやせんよ…王子こそお疲れの様で。」
「そう言って貰えると助かります、私の事はお気になさらず。それと、教会の方が何やら怪しい動きをしています。」
「と言いやすと?」
「教皇その他少数がどこかへ向かった様です。」
「はぁ…何のためで?」
「それは私達も掴みかねています。ですので、私含めた数名で様子見に行こうかと思いまして、帰って来て直ぐに申し訳無いのですが、あなたにも同行して頂きたい。」
「いえいえ、そりゃあ構いやせんが…王子が行って大丈夫なんで?」
「はい、ここはライラに任せていますから、私が居なくなっても問題ありません。」
「そういう問題じゃあない気がしやすがね…」
と言ってもバングは、"王子"の言葉には逆らわないのである。
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「ほぅ…これはこれはお嬢さん、その麗しいお顔をもっと良く見せてくれまいか!」
「…?どなたです?私、お夕食を作らないといけないので、失礼しますね。」
コテンと首を傾け不思議そうにする少女。
「いやいや待ちたまえ、私は君に用があるのだよ。お前ら、囲め!」
片目を包帯に包まれた男は命じた。