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短刃の勇者  作者: 惨劇の翼(厨二)
序章 変化
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動き出す者達

それから数ヶ月が経った。


アルナイルは男の課す地獄とも言える特訓をこなし、かなり強くなっていた。


「俺が教えれることは全て教えた。後はお前の訓練次第だな。」


「はぁ…はぁ…あり…がとう…ござい…ます。」


男の教えれること、というのはもちろん短刃の使い方のみである。


二人揃って全身ローブにナイフと、とても怪しい格好なのはご愛嬌だろう…


今日も平和な一日の様だ。


■□


酒池肉林を体現したような部屋に嬌声が響く。


この部屋の主、アレーク・サンデールは、天々信仰教会を統べる教皇の地位に着く男である。男は昔、暗殺者に狙われた事がある()()()、顔の半分、特に片目を包帯が覆っている。そんな部屋に珍しくも、扉の開く音がする。


「おやおや、またお楽しみかゾェ?」


「貴様か、何の用だ?」


しばしの怒気を孕んだ声でアレークが言う。しかし、その闖入者は気にせず続ける。


「なに、少し大変な情報があるゾェ。何と、街をオッドアイの女が普段から彷徨いてるそうだゾェ。」


と言いつつ金の詰まった袋を投げる。


「なるほど、そりゃ大変だなぁー」


アレークは、黒い笑みで答えた。


■□


王国内、シラユリの砦。


「ギャァッザッザァ〜、手こずらせてくれるな、さっさとくたばっちまいなよ。この俺様、守護八忌(しゅごはっき)が一人、戦斧(せんぷ)のギャザー様が来たからには、もはや足掻きなど無駄無駄よ。」


下品な笑い声と共にオッドアイの男は(のたま)う。


「何が、守護八忌ですか!ただ無垢な民々を無残に殺しただけでしょうに!あなた達にこの国は任せられません!ここは、このシラユリが死守します!」


「ギャァッザッザ〜、なら死守して貰おうかぁ!」


男は自慢の斧を振り回した…


■□


「団長!緊急事態です!」


「何が起こりましたか?」


「シラユリの砦が…落とされました…」


「……そうですか…ご苦労様です。下がって良いですよ。」


「バナー、そろそろ潮時よ。もう持たないわ。」


「そうですね。一旦後退しましょうか。我ら正当王族派も戦力の増強をしたいところですね。それに、守護八忌まで出てきましたか…遂に王国も本気で我らを潰しに来たという事です。」


「そうね…少し想定外だわ。この調子だと広国の騎士と血沼の死神も出てくるかもよ?」


「それだけは避けたいですね…誰かを引き込めれば良いのですが…」


オッドアイの男、バナシウス・ルーカスと女、ライラ・フライハイトは、遠からず訪れる破滅に頭を抱えるのだった。

ようやく動き出せそうです。

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