罪
「あなたは罪人です」
私は罪人。
罪を犯した。
私はどんな罪を犯したのだ。
私は何も盗ってないし、殺めてもない。
「あなたは罪を犯しました」
教えてくれ。
私の罪を。
冷たい床の上で、体を休めるのは、何度目だろうか。
「あなたは自分の犯した罪がわからないのですか」
わからない。
何も犯してない。
目の前が暗い。
光が差し込まない。
私の罪、罪、罪、罪罪罪罪ツミ罪ツミ罪ツミ罪罪罪ツミ。
「あなたの罪はね、人を不幸にすることですよ」
それが罪なのか。
私の、私の罪は人を不幸にすること。
そうか、そうか。
私がいると不幸なのか。
「あなたに光は必要ありません」
光。
ヒカリ。
「あなたには何も必要ありません」
全て。
イラナイ。
「悲しみも当然、いらないです」
悲しみ。
カナシミ?
カナシミというもの。
思い出せない。
「あなたは死にます」
正に死すべき。
ということか。
右腕が重い。
「あなたは必要ありません」
「あなたの『部品』はリサイクルします」
「あなたに拒否権はありません」
「あなたは人ではありません」
「あなたは、獣です」
「人を不幸にする獣です」
「そんな獣は害虫と同じです」
「害虫は死にます、私たち人によって」
「そういうわけであなたは死にます」
右腕がの感覚がない。
頭がぼーっとする。
足の感覚、腕の感覚。
全ての感覚。
「あなたは、人を不幸にすることはなくなる」
「私たちは安心して生活できる」
「さようなら」
さようなら。