風邪の日の小さな奇跡
この世界を夕日が包み込んでいるような感じがする程夕日に包まれた夕方にある学校の保健室から1人の生徒が帰ろうとしていた。
「はい、それじゃあお大事にね」
先生にそう言われ退出した少年は静かに廊下を歩き、階段を登っていた。そんな時ふと踊り場にあった窓から外の景色が見えた。オレンジ色で照らされた外では、
【男A】 おい、こっちだ!
【女A】1,2…
様々な恰好で様々な運動をする人達や家路につこうとする人達がいた。
普段は気にも留めないが、風邪をひいているからなのか少し羨ましく感じた少年は早く帰ろうと1階にある保健室から2階にある自分の教室に向かおうと階段を行こうとしたその時だった。
「大丈夫?」
少年の後ろから聞こえた声に振り向いてみるとそこには1人の女の子がいた。
女の子とはクラスメイトで何度か話した事がある程度の存在だったが、話しかけられるような存在ではないし、何より少年はとても驚いた。
驚いた理由は至極簡単だった。
少年はその女の子の事が好きだったからである。
こんな弱っている姿は見られたくないなぁ…
そう思った少年は一言
「大丈夫だよ」
と答えその場を後にしようとした。
しかし…
「待って」
少女が僕の腕をつかんで引き留める。
そして…
「やっぱり、まだ熱があるじゃない無理したらダメだよ」
少女は自分のおでこを少年のおでこにくっつけてそう言った。
少年は風邪のせいなのかそれとも今起こっている事が原因なのか分からなかったがドキドキが止まらなかった。
「そ、それじゃあまたね」
少女は早口に少年に告げると小走りで階段を駆け上がっていった。
夕日に照らされたからなのかそれとも先程の一件が原因か分からなかったが彼女の顔は真っ赤になっていた。
そんな彼女をその場で見送った少年は一言ぽつりと…
「熱あがっちゃたなぁ…」




