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猫目の狂奏者《バーサーカー》  作者: 来海 珊瑚
第一章 階調のアイリス
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15.同情より???を ♠

まずは投稿が予定より大幅に、また無断に遅れてしまって、申し訳ありませんでした。理由としてはリアルでの事情です。まあ、せめてお知らせだけでもしておくべきだったと思いますが。今後も遅れてしまうことは多々あるかと思いますが、今度はこのようなことがないように気を付けます。

「あれから村に入ろうとすると『化け物』とか『悪魔』とか呼ばれるようになってね。困っているよ」


 そりゃあ、村人たちの心情は簡単に察せられる。今まで心も身体も普通だった人が、突然化け物並みに強くなり、人殺しにも躊躇しなくなれば、誰にとっても恐ろしいものだろう。

 僕はそのようなことを努めて明るく振舞って、ひどいところは時々言葉を濁しながら説明した。けれど、当然そんな上っ面の明るさで覆いきれるようなものでもなく、ハルカは悲痛そうな顔をしながら、無言を保っていた。しかし、やがて、ハルカの口が僅かに動いた。


「えっと、た、タマもすごい大変な目にあったんだね。その……えっと、ごめん」


 ……同情はいらないんだよ。


 ハルカの顔を見ているうちにそんなことを口走りたくなったが、雰囲気がさらに悪化するのは目に見えているので、ぐっと堪えた。

 そういえばふと気になったのだが、もう一人の僕はどのようにして生まれたのだろう? 質問してみれば答えてくれるだろうか?

 ――俺に聞くな。

 まだ質問すらしていないのに、断られてしまった。


 実は、僕に新たな人格が芽生えたのはあれから洞窟の中で喚き散らした後すぐであり、異常な戦闘力を持つようになったのも、この人格が芽生えた後すぐである。当初は僕の頭の中で頻繁によくわからないことを話しかけてきていたが、一月もすると段々と話しかけてこなくなり、しまいには二年もの間、良くても一言ずつしか話さない関係になっていた。だから、僕が腹を下したときにもう一人の僕と会話したという出来事は非常に珍しいことであり、そもそももう一人の僕の高くて生意気そうな声を聞いたのは、何気に久しぶりだったりする。


「タマ……はさ、そのナナシって人たちに復讐したいの?」


 あまり関係ないこととを考えていると、ハルカから唐突に質問された。


 うーんと唸りながら考える。けれども、あまりピンと来なかった。もちろん、ナナシは憎い。できるなら潰してしまいたいくらいに憎い。が、どちらかといえばこれ以上関わりたくないという気持ちのほうが強い。怖いから。もう悲しい目にあいたくないから。そんな自分が気持ち悪くて、反吐が出る。

 ――チッ。

 頭の中で、舌打ちしたような音が響いた。


「まあ仮に復讐するにしても、奴らの組織は強大だからね」


 言い訳じみたことを口にするが、なんか胸のあたりにもやもやする感じが取れない。段々、焦燥感にも似た変な感じが生まれてくる。ハルカの気の毒そうな顔も、見ていて腹立たしさを加速されられる。


「そんな、でも」

「もういいでしょ。この話は」


 話を打ち切ろうとするが、ハルカはなかなかこの話題から手離してくれない。


「ねぇタマ、私に何かできることない? 私にできることだったら、なんでも……」

「いいから黙ってよ!」


 ついに堪忍の尾が切れ、立ち上がって、ハルカの胸倉を掴んで持ち上げた。


「知ったようなことを言いやがって、お前に何がわかるんだよ!」


 今この状況を客観的に見れば、僕は悪いことをしているだろう。だけれど、冷静で亡くなった僕の頭では、そんなことを気にしていられなかった。


「そんなに言うんだったら教えてくれよ! 僕は……」


 なぜか腕だけでなく、身体全体が疲れた感じがした。掴んでいた胸倉をゆっくり下ろし、震えるその手を、今度は優しく肩に置いた。


「僕は、どうすればよかったんだよ……」


 彼女の胸元で、また泣いてしまう。


「……ごめん」


 ハルカが、ぼそりとそう呟いた。

 自分が作り出したなんともいえない空気に、押しつぶされてしまいそうになった。


 その時、遠くの方から、けたたましい銅鑼の音が聞こえてきた。

 懐かしくて、聞きたくなかった、あの音が。


「……あ、ああ…………」


 精神的な損傷を被った僕は、何とも言えない混乱に見舞われ、吐き気を催して膝から崩れ落ちた。

 動機が早くなる。見えている世界がぐるぐると回り始める。


「ハッ……ハッ……!」

「タマ⁉ どうしたの? しっかり……」


 自分の荒い呼吸の所為で、ハルカの声がよく聞こえない。

 意識が――――

 ――――――――



「がああっ!」


 畜生、咄嗟に無理やり人格を入れ替えた所為で、酷い頭痛がする。だが、あのままでいたらライム(・・・)の人格が暴走を引き起こす危険があったから、致し方ない。


「タマ! 大丈夫なの⁉」

「ハルカ!」


 片手で頭を抑えながらも、ハルカのほうを鋭く見やる。


「あの銅鑼の音は、村が緊急事態の時に鳴らされる音だ。村に何か悪いことが起こっているかも知れねぇ。急いで行くぞ!」


 そう叫ぶと彼女は一瞬驚いたような顔をしてから、慌てたように俺の腕を掴んだ。


「ちょっと待って、あなたが例の……」

「黙ってついて来い!」


 彼女の腕を振り払い、キッと睨む。


「これ以上ライム(こいつ)に後悔させたくなけばな」

投稿遅れたくせにめっちゃ短い……。

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