表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天空聖戦 ドローン.ストライク  作者: シマリス
動乱の幕開け。
4/34

ロイヤル三世、戴冠式。00






時は3年前………………☆







ロイヤル三世、治世暦、元年【AB-00】





《王都、エマール》






鳩の群れが、蒼天の空に羽ばたく。




(おご)そかなセント.ルミナス大聖堂の鐘が、王都の街に鳴り響く。




パレス広場から王城へ続く王冠の(クラウンロード)を華やかな衣装を(まと)った長い行列が進む。




その中にあって、ひときわ威光を放つ四頭立ての、羽飾りの付いた白馬車。




戴冠式へ向かう、シャベリア.ブロウ王子の姿が民衆の目に映る。




手を振り笑顔で応える王子に沿道の国民(くにたみ)が手に白い羽を持ち歓喜のエールを贈っている。




その中に一目、新国王の姿を見ようと群衆を、かき分け人々の間を縫って最前列へと進み出た希望(エスポアール)と彼の妹、(アミ)の姿があった。




『お兄ちゃん、今度、王様になるブロウ王子て優しい顔してるって聞いたよ。』




『王子様、早く見たいなぁ~♪』




(アミ)は笑みを浮かべながら希望(エスポアール)に語りかけた。




『ブロウ王子は、とても、お人柄の良い方で国民(くにたみ)から、すごく愛されているんだよ。』




『先王が崩御されてから国母ソフィア様の願いで摂政(せっしょう)として国の政治を任されているんだ。』




『余分な兵隊を減らし家へ帰して農園や漁港に力を入れるよう民を導いた賢い王子なんだ。』




『ブロウ王子の威光で国民(くにたみ)の暮らしは、だいぶ豊かになったんだよ。




(アミ)が使える、お金が少し増えたも、王子様のお陰だね』




『うん、増えたねー♪』




アミは屈託のない笑顔で応えた。




『ブロウ王子の国王即位を記念して新しいお金、ブロウGOLDが、(すべ)てのエマール国民に配られたんだよ。』




『しかも、持っていった古いお金を2倍のGOLDで交換してもらえたんだ♪』




『これで悪徳商人たちや、悪い役人たちが溜め込んでいる偽GOLDは、(すべ)て使えなくなる。』




『王城へ換金に来た悪い奴らは(みな)捕まってしまうね!』




希望(エスポアール)の話しに(アミ)(うなづ)いて応えた。




『本当に賢い王子様!』




『これで、わるーい、お医者さんホーミンとガロン隊長も捕まっちゃうー!』



辺りを見回し大きな声で話す(アミ)の口を(あわ)てて(ふさ)希望(エスポアール)




行列の馬車からカーテンを(わず)かに開けて覗きこむ王宮医師のホーミンと将校ガロンの姿。




行列中ほどになると、(きら)びやかなブロウ王子が乗る4頭立ての白馬車が姿を見せた。




口を(ふさ)いだ手を離した瞬間、再び(アミ)が叫んだ。




『ブロウ王子様ーー!』




その声に気付いたブロウ王子が白馬車から、(アミ)に笑顔で手を振った。




(アミ)希望(エスポアール)の服の袖口を強く引いて興奮ぎみに言った。




『お兄ちゃん!、王子様が、ご挨拶してくださったよー!』




嬉しそうに、はしゃぐ(アミ)の頭を優しく()でる希望(エスポアール)




4頭立ての王子を乗せた白馬車はセント.ルミナス大聖堂の前で止まった。




大理石が敷き詰められた戴冠式の式場へと入る王子。




大理石の階段を昇る王子の視線の先には国母ソフィアと聖職者の月読みの巫女が待っていた。




据えられた王座に着くブロウ王子。




国母ソフィアがロイヤル三世の即位の儀を宣言する。




『エマール王国、ロイヤル三世の御代が太陽神の祝福を受け永久(とわ)に栄えんことをーーー!』




月読みの巫女が、(うやうや)しくブロウ王子の(こうべ)に王冠を載せた。





国母ソフィアは夫でありブロウ王子の父でもあるロイヤル二世、ガリウスより引き継がれた国守の剣を新国王、ブロウに手渡した。




またの名を……



サザンクロスと呼ばれる



魔剣である。




この世を乱す魔物を召喚する闇の剣。




それゆえに始祖により封印を施れ代々の王へと受け継がれてきたのである。



『新国王、ロイヤル三世に栄光あれ!!』



王座の両側に居並ぶ王族と重臣面々そして近隣より祝賀に訪れた国賓の大使たちが一同に礼を尽くす。



その列の中に、絶世の美女と(うた)われた隣国シャンソニア王国の姫、フランソワの姿もあった。



彼女の目的は、エマール王国と義道(よしみ)を結び、同盟関係を構築することにあった。



フランソワは小太りの侍女、ジューネに目配(めくば)せをして、台座に載った親書を、新国王の元へ運ぶよう促した。




新国王の側近、初老のマジョロダムが進み出て侍女ジューネが差し出した台座に手を伸ばした。



ジューネは台座を離さず、親書だけを受けとるようにマジョロダムを(にら)んだ。



台座を受けとる受け取らないの、一悶着(ひともんちゃく)する二人に、国母ソフィアの咳払いが飛んだ。



『こほん!』



『マジョロダム、シャンソニア国王殿よりの親書を読み上げよ!』



マジョロダムは、ジューネを(にら)み付け新国王の承認を受けた親書を読み上げた。



『シャンソニア国王より、エマール王国の新国王へ、心より戴冠の祝賀を申し述べます。』



『この折に両国の永久(とわ)に及ぶ発展と平安を期し(わが)、娘フランソワを新国王の妃に推挙いたします。』




王族、重臣、国賓の間からどよめきが生じその後、大きな拍手へと変わった。



国母ソフィアと新国王ロイヤル三世が視線を合わせ微笑む。



ソフィアがフランソワの手を取り、ロイヤル三世の王座の横へとエスコートし宣言した。



『いや、実に、めでたき良きじゃ!』



『両国の間で永久の契りを結ばん!』



これを下の座から、うつむき加減に(にら)む人物がいた。



先王の長子でありながら、国母ソフィアの子ではないという運命を背負う黒子爵ロィア。



もの言いたげな表情で、産みの親である月読みの巫女を、しばらく凝視(ぎょうし)していた 。



戴冠式が終わり月読みの巫女が息子である黒子爵ロィアの側へ近付き小声で(ささや)いた。



『お前は、この様な小国の王で終わることはない。』



『現世における地上の帝王となるのだ。』



『暗黒山、ゴルドバの(いただき)へ登れ』



『お前の理想郷(アルカディア)が、そこにある。』



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ