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天空聖戦 ドローン.ストライク  作者: シマリス
生まれ出ずる星、去り散り行く星。
34/34

解説~(終結付録章(ファイナル.エピローグ)、十七話~二十六話) end。

〈23話~33話、最終話。〉




【本編】




ここまでのストーリー要約。





エマール王国の傭兵、隻眼の火の鳥こと、ガリバーに偶然、助けられた老人ヨブ。


彼はガリバーが、操縦する戦闘機、カナリアの中で預言者として覚醒する。


各地を転々と歩き回り、神の裁きは近いと宣言を繰り返す。


そんな中、運命の糸に引かれる様に、各地から綺羅星の如くに加護聖たちが現れ始める。


時空を不思議な力で操る踊り子、ラパン。



優れた腕前の女砲術士、パピヨン。



天下無双の槍士、カサブランカ。



恐るべき力の持ち主、山の巨人、モンテニュー。



竪琴の聖女、アスピラスィオン。



大輪月(スーパームーン)(うたげ)に集う。



一方、大陸の北、荒野のデリアサスでは、北風の天使ミストラルを旗頭とした多国籍義勇軍(ランチエスター



黒子爵ロィヤと紅の魔導師ルージュリアンが率いるロゴス帝国の本体との、大陸の行く末を左右する決戦が行われていた。



勝敗は、両国の痛み分けという悲惨な結末となった。



互いに戦力の多くを失った両国は、六年の停戦という、シャンソニア国の条件をのみ帰国の途に着いた。



北風の天使の策にはまり、命を落とした帝王ロゴスの後を継いだのは



エマール王国のソフィア国母の寵愛を受けていた王宮詩人、美少年のヘンリーだった。



彼は、国母の目を盗み、戦死したアランドール王子の葬儀に紛れて、国主の剣、サザンクロスを持ち出した。



魔剣サザンクロスは、少年ヘンリーの手から月読みの巫女へと手渡された。



その見返りとして、彼は、絶えることのない魂の方舟へ乗る資格を得た。



すなわち、それは、神の領域への大跳躍(クオンタムリープ)を意味していた。



魔剣サザンクロスを手に入れた月読みの巫女は、シャンソニアの王、ドンデンとの約束を果たすため、緑葉城(マナトリア)へと入った。



月読みの巫女は、ドンデン王の貪欲さを見抜き、妃サフランの説得を成功裏に導いた。



これにより、亡国マナトリア王朝の至宝、(パラドス)の箱を手に入れた彼女は



最後の目的である、宝石板(クリスタル.タブレット)を探す旅に出た。



竪琴の聖女、アスピラスイオンの気転で桃源郷にある光の教会へと運ばれたミストラルは、家族との再開を果たす。



ロゴスの塔から、帝王の黒子爵ロィヤと共に真っ逆さまに転落したミストラルは片方の翼を失うという致命傷を負っていた。



彼は、自分が天に召された後、民を幸せへと導く使命を息子、(ブァン)(ミニヨン)、そして希望(エスポアール)に託した。



時代は、移り変わり新たな新世界秩序へと入って行った。




すべての事柄は、絶えず変化し留まることを知らない。




新たな時代を担う者達の息吹が、聞こえ始めていた………………





…………………………………………………………………☆






ここでは、主な登場人物(キャラクター)や地名、物や品に付いてご紹介します。



物語りの展開やストーリーの理解に、お役立てください。




年齢はロイヤル三世、治世暦、【AB-00】を基準としています。





一章~二章で、紹介した人物は割愛されています。






【この章の主な登場人物】








カサブランカ



性別 [女] 年齢 [28]


蒼天の(ストーム.スピア)の槍士。


真理郷(セオクラ)の出身。


山の巨人、モンテニューの姉。


ガリバーに恋心を寄せる。






ラパン



性別 [女]年齢[12]


花売り娘。


踊り子。


肉屋の親父メタボリックの養女。


時空を操る不思議な少女。






メタボリック



性別[男]年齢[45]


肉屋の親父。


大型漁船の船長。


ラバンの養父。






モンテニュー



性別[男]年齢[25]


山の巨人。


怪力の持ち主。


真理郷(セオクラ)の出身。


カサブランカの弟。






ドンデン王


性別[男]年齢[65]



シャンソニア王国の主。


マナトリア王朝を滅ぼした張本人。


エマール王国の先王ガリウスと覇権を争うが、傘下に降り属国として領主に収まる。


エマール王国への恨みが深い。






マナトリア.サフラン



性別[女]年齢[46]


シャンソニア王、ドンデンの妃。


亡国マナトリアの姫。


影の実力者。


月読みの巫女が恐れる唯一の人物。




コマターニャ



性別[男]年齢[56]


シャンソニアの大臣。


ドンデン王の側近。







【品々】





聖剣エメダリオン




光の象徴。


魔剣サザンクロスと並び称される至宝。


闇を祓うとされ、魔物も恐れる封印の神器。






(パラドス)の箱



宝石板(クリスタル.タブレット)を納める箱。



すぺてを空へと戻す、禁断の器。



月読みの巫女にしか、扱うことのできない品。










ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





この先は終結付録章です。







………………………………………………………………☆








終結付録章(ファイナル.エピローグ)






……………………………………★★★★★★★





〈第十七話〉





〈響け!、魂の声、愛の讃歌。〉






ロゴスエンパイヤを取り巻いていた王国民兵は魔物の出現に我先にと敗走してゆく。



頭に二本の鋭い角を持ち瞳は赤く光るルビーのようである。



全身が漆黒の闇のようで長いカギ爪が鷲を思わせる様相。



背中の大きな翼が羽ばたく度に火炎を地上の民兵にあびせかける。



『うゎーーー!!』



『お!神よー!!』



『お助けください!!』



地上を走るドローン戦車が王国民兵に追い討ちを掛ける。



空を黒く染めていた炎の魔物'(フラム)は王国民兵を尻目に神像の丘を目指した。



ドローン戦車にライフル銃で応戦する王国民兵たち。



ドローンミサイルの正確な軌道攻撃により次第に王国民兵の数は減り銃声も次第に聞こえなくなった。



『ここまでなのかー!!』



民兵指揮官となっていた希望(エスポアール)が叫ぶ。



その時、空を駆け抜ける三機の戦闘機の姿が希望(エスポアール)の目に飛び込んできた。



赤く光る機体の窓から希望(エスポアール)に挨拶を投げ掛けるガリバー。



それを見上げる希望(エスポアール)の目にも明るい光が差した。



三機の戦闘機は大空で高く舞い上がりドローン戦車の死角である真上から急降下爆撃を行った。



みるみる炎上爆破されるドローン戦車群に残り少なくなった王国民兵の間から歓喜の声が上がる。



ガリバーのカナリア号が希望(エスポアール)の元へ降り立った。



希望(エスポアール)を収容した三機の戦闘機はオリゾン河の戦線へと戻って行った。



それを追うように魔王デモニスの化身、龍の背に乗る帝王ロゴスと月読みの巫女の姿があった。



三つの頭を持ち四枚の大きな翼を広げ六本の尾を靡かせる様にエマールの国民は恐れおののき声をあげる。



『魔王!デモニスー!!』




『 滅びよーー!!』




『神の剣が、必ず汝を滅ぼさん!!』


'


両手を合わせ神に祈る老婆が叫ぶ。



一羽の魔物が老婆の上空から火炎をあびせかけた。



やがて炎の中に老婆の姿は見えななった。


隻眼の火の鳥の窓から怒りに満ちた表情で、これを見っめる希望(エスポアール)



首から下がるクリスタル.タブレットの鍵を握り締めて涙ながらに呟いた。



『おばあさん……』



『天国で、安らかに、お休みください。』



『魂の声!』



『この希望(エスポアール)が必ず愛の讃歌に変えてみせます!!』





…………………………………………★★★★★★★★





《第十八話》





〈水上を歩く女神テラ、聖戦へ赴く。〉






『花おねーちゃん!』



『来てー!』



少女のカン高い声が教会の裏庭から聞こえた。



花は囲む人だかりを掻き分けて裏庭に駆け付ける。



(みずうみ)手漕()ぎボートに乗って遊んでいた男の子の姿が見えなくなったと少女が話した。



『湖に落ちたのかも、知れない!』



花は履いていた靴を放り投げ湖に飛び込んだ。



春風の季節、凍ってはいないはずの水面を走る花。



足下に水飛沫(みずしぶき)は上がるが体は沈んでいかない。



花はボートに飛び乗ると今にも溺れそうな少年を両手で引き上げた。



『花おねーちゃん!』



『ありがとうー!』



顔をクシャクシャにして泣く少年が、ずぶ濡れの体で花に礼を言った。



花はボートを教会の裏庭にある岸辺まで漕ぎ少年を降ろした。



岸辺で、ざわめきたつ人々。



驚きの表情で花を見ている。



母の美空が花に駆け寄る。



『あなた、泳げなかったんじゃないかしら?』



『どうやって、この子(少年)を助けてあげたの…』



『お母さん!』



『私、湖を走って、この子を助けたのよ。』



何事も、なかったかのように花は母に語った。



村人たちは花の周りを囲み膝ま付き両手を合わせて祈っていた。



『女神様じゃ!』



『この桃源郷の村に女神様が降りてこられたのじゃ!』



花がパンを余分に布で繰るんで渡した老婆が叫んだ。



『えー!』


『わ.た.し.が……女神様?』



花は困惑の表情を見せた。



人々は口々に……



『女神様!女神様!』



叫んでいる。



『おかぁーさん!』



『みんなに、なんとか言ってー!』



『わたし、女神様なんかじゃないしー!』



花は美空の腕をつかんでしきりに振った。



その時、村人の中から一人の柏ノ木の杖を付いた老人が花の前に立った。



『この村では見ない顔の、おじぃさんね…』



『パンが欲しいのなら列に並んで、下さいね…』



花の母、美空が老人に話しかけた。



老人は、それには答えず手に持っていた七色に光る(ホーリーロック)を花の前に高く(かざ)した。



『水礼の儀式を終えし、乙女よ!』



『 汝は、これにより、神託により、天に上げられん!』



『救世主、女神(テラ)の覚醒の時、来たり!!』




《《《ヒヒヒーン!!》》》




白馬の(いななき)の声が辺り一面に響き渡った。



聖なる(ホーリーロック)が輝きを増し七色の光が花を包み込む。



白馬に股がる白い衣で身を装った大祭司シャーマンのラビが駆け寄り花の手を取った。



女神(テラ)よ!』



『 いざ!』



『 聖戦へ赴かん!』



大祭司シャーマンのラビは白馬に花を乗せ天高く舞い上がった。



『我、時を操りし月よりの使者なり!』



救世主、女神(テラ)に栄光あれ!!』





………………………………………………★★★★★★★★★





〈第十九話〉





希望(エスポアール)、妹アミを探して王都、エマールへ。〉





『何の、騒ぎだろう?』



光の教会の裏庭にある癒しの湖で顔を洗っていた希望(エスポアール)の耳に村人たちの、ざわめきの声が聞こえてきた。



ひとりの老婆が叫んでいる。



『女神様じゃー!』



『 わしらの村に女神様が降りてこられたのじゃー!』



困った表情の花が母の美空の袖口を掴んで揺さぶっている。



老婆の後ろから忍び寄る少年が布に包んであるパンを一本かすめ取り走り出した。



老婆は少年を追いかけるが到底、追い付けないと思い引き返した。



希望(エスポアール) の元へ駆け寄る少年。



『 お兄ちゃん?』



『誰。ここらで、見かけない人だね。』



不思議そうに希望(エスポアール)を見っめる少年。



エスポアールは湖の水面に映る自分の姿に驚いた。



少年だったはずの顔がスッカリ青年の顔に変わっていた。



背格好も大人と変わらない程に成長していた。



ロッキングチェアに座る白馬の騎士シャーマンのラビが遠目で希望(エスポアール)を見て微かに笑っているようにも見えた。



村人を押し分けて花の前に現れた一人の老人が杖を空に高く(かざ)して何やら叫んでいる。



やがて白馬の騎士、シャーマンのラビが花を馬の後ろに乗せて天高く舞い上がった。



目映い七色の光を放ち白馬の姿は、やがて見えなくなった。



花の突然の旅立ちに動揺冷めやらぬ美空。



美空に歩み寄り横に立つ希望(エスポアール)



青年の姿になった希望(エスポアール)に視線を移し美空が呟いた。



『あなたも、桃源郷を旅立つのね……』



希望(エスポアール)は妹のアミを探さなければならない事を美空に打ち明けた。



『王都エマールのパレス広場の噴水で竪琴を弾く女性がいると噂で聞いたことがあるわ。』



『妹さんかも……しれないわね…』



希望(エスポアール)は美空に礼を述べて旅立ちの挨拶をし馬を借り桃源郷を後にした。






……◆





《第二十話》





〈聖戦!救世主の顕現。〉







『お母さん……お空が真っ暗だよ。』



『嵐が来るかも、しれないわね…』



エマール市街から、空を見上げる、母と娘。



その視線の先には、エマール王都の上空を埋めるコンドリア戦闘機(三足鴉)の大軍の姿があった。



指揮を執るのは、帝王ロゴスの腹心、シスター.トリィタァー。



空中母艦プロパガンダの艦橋からトリィタァーが叫ぶ。



『最終最戦だ!』



『 全機、神像の丘を目指せ!!』



『漆黒の魔女、アルデウスにも劣らぬ働き!』



『帝王ロゴス様に、お見せします!』



この大戦のためにシスター.トリィタァーは秘かに大型航空戦艦。



双頭の(ファルコ.ゴルドバロン)を建造していた。



王国側もメタボリック提督とパピヨン大佐率いる光子大砲戦艦で応戦の構えを見せた。



三機の王国戦闘機、ガリバー編隊が空を舞う。



隻眼の火の鳥。



勇翔の荒鷲。



華麗なる白鳥。



王国の強き味方。



ガリバー、ポルト、カサブランカの三人の勇姿。



神像の丘の上に立つ、翔、ロイヤル三世、執事のマジロダムが、この様子を見上げている。



上空に白馬に股がる騎士、シャーマンのラビと女神(テラ)が眩い光と(いなな)きの雄叫びと、ともに現れた。



白馬の騎士シャーマンのラビは翔の近くに降り立ち女神(テラ)を翔の傍らへとエスコートした。



女神(テラ)は思わず翔に叫ぶ。



『お兄ちゃん!』



『会いたかったよ!』



再開を涙ながらに喜ぶ兄と妹。




『花は、やはり、ボクの永遠の女神様だよ!!』



兄妹の瞳に偽りのない真実の涙が流れる。



漁船の看板から預言者ヨブが歓喜の声をあげる。



『ここに救世主と女神!!』



『そして、月、星々が集い寄った!!』




すると竪琴の聖女アスピラスイォンのハープのメロディーが天より響き渡った。



その音色に重なるように招礼の歌姫、美空(ゴスペリーナ)の讃歌が聞こえてきた。



すると翔の後ろに目映く光る玉座が現れ四人の天使が翔を囲み虹色の光が空を染めた。



玉座に座る救世主の顕現を目の当たりにする臣民の間から祈りの声が上がる。



『我らが救世主(マスター)女神(テラ)そして星々に栄光あれ!!』



オリゾン河を挟んで対峙する三足鴉の大群にガリバー戦闘機王国編隊が先制攻撃を仕掛けた。



漁船の上から伏兵、踊り子ラバンが時空を乱す。



『ラパパン、ラパパン、ラパパンパーン!』



『オレーーーーッ!!』




たちまち、帝国戦闘機、三足鴉は攻撃目標のターゲットを狂わせ互いに同士討ちを始めた。



ガリバー戦闘機王国編隊が巻き起こすトライアングル竜巻(トルネード)



この必殺戦法により帝国戦闘機、三足鴉の多くがオリゾン河へと墜落してゆく。



帝国指揮官トリィタァーは戦況を打開するために遠距離大型ドローンミサイルを双頭の鷹ファルコ.ゴルドバロンから神像の丘へ向け構えた。



大きな電磁場が双頭の鷹ファルコ..ゴルドバロン取り囲んでいるため流石の伏兵ラパンも、これにはお手上げである。



帝国指揮官トリィタァーが叫ぶ。



『鷲の双爪!』



『撃てーーーー!!』



双頭の鷲から大型ドローンミサイルが神像の丘へ向け発射された。



救世主(マスター)の傍らに立つ女神(テラ)が右手を高く(かざ)す。




《《ドローン.ストライク!!》》




すると大型ドローンミサイルは軌道を変え、その目標を双頭の鷹へと向けた。



その時、救世主(マスター)の持つ聖剣エメダリオンから七色の光が双頭の鷹へ放たれた。



双頭の鷲を防御する電磁場は聖剣エメダリオンの光により消滅した。



逆行したドローンミサイルは双頭の鷹を直撃した。




《《ドドドドドドーーーーーン》




帝国指揮官トリィタァーが業火の中で叫ぶ。



救世主(マスター)は実在されたのかーーーー!!!』



『神の ご慈悲をーー!!!』




帝国の切り札、双頭の鷹は空中で木っ端微塵(こっぱみじん)砕け散った。



帝国主力軍の最後である。



帝国の女豹として恐れられたトリィタァーは双頭の鷲と、ともにその生涯を閉じた。



この様子を帝都エンパイヤーからスクリーンで見ていた帝王ロゴスは魔剣サザンクロスを抜き放った。



空中庭園で黒雲が渦巻く空へ向け魔剣を真っ直ぐ突き上げる。



『今こそ、その時ぞーーー!!!』



『陰の軍団、出でよーーー!!!』




『我、願い叶いし時、来たり!!』



『光を覆いほふるのだーーー!!!』




その声に呼応するようにロゴスエンパイヤの上空に渦巻く黒雲から黒い翼を持ち炎を吐く魔物(フラム)が次から次へと現れ出た。



ロゴスエンパイヤーを取り巻く王国民兵たちは恐れおののきながら背走した。



『うぁー!』



『 火を吹く魔物が現れたー!!』



一人、魔物を睨み付け蒼白き光を放つ山の聖人、モンテニユー。



帝国エンパイヤー.タワーに飛翔する北風の天使ミストラルは自らの体を回転軸とし竜巻を起こした。



モンテニューとミストラルの連携攻撃により魔物(フラム)が一羽また一羽と力尽き三分の一が地に落ちて行った。



残りの魔物(フラム)たちはエマール市街を越えてオリオン河対岸の神像の丘を目指した。



ミストラルとモンテニューも、これを追う。



しばらくした後、大きな翼龍がロゴスエンパイヤーの上空に現れた。



魔王デニモスの化身が雷の如く声を発する。



『現世の王、ロゴスよ!!』



『 お前の願いを叶えよ!!』



魔王デニモスの化身、翼龍の背に乗る月読みの巫女がパラドスの箱を手に審判の時を待つ。



『天と地の間にありしもの(まこと)(ことわり)を現さん!!』





…………◆◇






《第二十一話》






〈破壊の序曲、ロゴス.エンパィヤー〉





『ロ……ロゴスエンパイヤーが、動いたぞ!!』



エマール市街を、敗走する王国民兵が口々に叫ぶ。



市民の間に、どよめきが起きる。



ひとりの少女がドローンシティの方に視線を移した。



大きな山が立ち並ぶ街並みを、まるで積み木を壊すように進む。



『お母さん!』



『山が動いてるよ!』



逃げ惑うエマール国民に陸戦ドローンの別動隊が追い討ちを掛ける。



町を逃れてオリゾン河沿岸に泊まる大型戦艦メタボリック号に乗り込む市民の群れ。



沿岸に横一列に並ぶ艦隊のメタボロック提督は副官で参謀のパピヨン大佐の市民収容完了の連絡を待っていた。



そこへパピヨン大佐が駆け寄ってきた。



『親方ー!』



『注文の品、高級牛肉、確保しましたよー!』



『親方ではなーーいっ!!』



『メタボリック提督と、呼べと何度いったらわかるんだぁー!!』



顔を真っ赤にして怒るメタボリック。



『なんか、どこかで、同じこといわれたよーな?』



鉄板の皿の上に牛肉を置いて考え込むパピヨン。



メタボリック提督がパピヨンの後ろを指差し叫ぶ。



『後ろー!、うし、うし、後ろー!』



『そんなに牛、牛て、よっぽど、牛肉ステーキが食べたかったですか~ロック提督。』



パピヨンの手を引っ張りデッキの隅に倒れれ込むロメタボリック提督。



舞い降りて来た魔物(フラム)の一羽が火炎をあびせかけ飛び去った。



間一髪のところで難を逃れたメタボリックとパピヨン。



『わたし求められてもメタボリック提督に特別な感情とかないっすよ~』



上にのし掛かっていたメタボリック提督を押し退けるパピヨン。



『ばかもーん!』



『今の情況を把握しておらんのかー!』



鉄板の皿に乗っていた牛肉から美味しそうな臭いが漂ってきた。



船内から走り出て来た踊り子ラパンが嬉しそうにはしゃいでいる。



『牛肉ステーキ!』



『コンガリできてるよー♪』






…………◆◇◇






《第二十二話》






〈光と闇の激突!〉





エマールの街を真っ二つに分断しながら進むロゴスエンパイヤー。



王都エマール、 オリゾン河に迫る巨大な塔。



白い飛行機雲を(なび)かせ上空を行き過ぎるガリバー戦闘機王国編隊の姿。



しばらくすると空を真っ黒に染める魔物の群れがロゴスエンパイヤーを取り囲んでいた。



『よくも、まぁ、あんなに集められたもんだねぇ~』



カナリア号の窓から魔物の群れを見ながらガリバーが呟いた。



『ガリバーさん』



『ボクを神像の丘で降ろしてもらえますか。』



希望(エスポアール)は首から下がるクリスタルタブレットの鍵を握りしめた。



『あいよ!』



『民兵隊長さん!』



ガリバーは愛想よく答えを返し神像の丘へ希望(エスポアール)を降ろした。



希望(エスポアール) は翔と花のもとへ駆け寄った。



救主(マスター)となった翔。



女神(テラ)となった花。



そして国民の希望、エスポアール。



幼い日の思い出が重なる。



希望(エスポアール)は神像の足下にある小さな扉を首から下がっていた鍵で開き中からクリスタルタブレットを取り出した。



そして玉座に座る救世主(翔)と傍らに立つ女神(花)の前に立ちクリスタルタブレットを盾とした。



救世主の手には全ての悪魔を祓うエメダリオンの聖剣。



希望(エスポアール)の手には希望と堅守の盾クリスタルタブレット。



女神の手には太陽の象徴、紅玉があった。


救世主と女神そしてクリスタルタブレットを囲むように星々たちが集い寄った。



オリゾン河対岸にある瓦礫(がれき)と化した対岸の街。



王都エマールに視線を移す希望(エスポアール)



オリゾン河に迫るエンパイヤタワーの頂上に降り立つ帝国ロゴスと月読みの巫女。



そして上空を、うねるように、廻る魔王デニモスの化身。



三つの頭を持つ巨大な翼龍である。



白馬の騎士、シャーマンのラビが空飛ぶ馬を駆けオリゾン河の中程まで進み出た。



これを見た月読みの巫女も炎の魔物の背に乗りシャーマンのラビに近付いた。



『時の限りが尽きましたぞ!』



『姉上!』



シャーマンのラビが先に口を開いた。



『パラオの箱は(わが)手にある!』



『弟よ!』



『時を乱せし罪 、許されるものではないぞ!』



『我ら姉弟(きようだい)が思いを一つにしておれば、このような事には成らずに済んだものを』



『愚かなー!』



この言葉にシャーマンのラビが答えた。



『姉上の心、完全に悪に染まっていること、お気づきになられないようですね…』



憤慨した月読みの巫女が叫ぶ。



『エエィーー!!、黙れ!!』



シャーマンのラビは落ち着いて巫女に話した。



『姉上は、お忘れようです…』



『魂の成長(アセンション)は神に近付く者に与えられるものです。』



『そのパラドスの箱を、今世でも開封なさのですか?』



『同じことが繰り返されるだけです。』




『姉上!』




『私と、ともに光の元へ……』




『太陽神の元へ……今こそ帰す時でございます!』




『サア、ともに参りましょう!』



『今世こそ、目を覚ましてくださいませ!』



月読み巫女は、大きく高笑いした。




『弟よ!』



『お前の戯れ言に付き合う暇などない!』



『お前の言う太陽神とかいう者の元へ戻るがよい!』



『我は何度でも、このパラドスの箱を開封し、お前が誤っていることを分からせてみせようぞ!』



『天はなぜ、お前を大祭司とし、我を、その影としたのか』



『この宿命の輪廻は永遠の時を隔てて続くのだ!』



大祭司シャーマンのラビは月読みの巫女を、しばらく見た後、最後の言葉を掛けた。



『姉上様!』



『あなたは、天の最高星リベルなのですよ!』



『太陽神が最高の愛を注いだのは、姉上、あなたなのです。』



『それゆえに運命の鍵が姉上様に、そして私の手には時を操る力が与えられました。』



月読み巫女は、怒りに震えて叫ぶ。




『ええーい!!』



『失せよ!』



『世迷い言を申すでない!』



シャーマンのラビは、ため息を一つ吐いて言った。



『姉上、また、来世でお会いしましょう……』



大祭司シャーマンのラビは翼馬の(きひす)を返し救世主(マスター)女神(テラ)の元へと帰って行った。



オリゾン河沿岸に並ぶメタボリック艦隊は王国の国民と近隣の住民の収容を終え岸を離れ神像の丘の岬を目指していた。



踊り子ラバンが甲板の上から月読みの巫女とシャーマンのラビが別れたところを目撃していた。



『始まるー!』



メタボロック提督とパピヨン大佐がパーティーテープルでビールと焼き肉を手にラパンの方を振り向いた。



『こめんね~』



『先に焼き肉パーティー始めちゃってたぁ。』






………………◆◇◇◇






《第二十三話》






〈激戦!、蒼き水龍、復活戦!〉






真昼の太陽を黒雲が覆い尽くすが如く空を漆黒に染める炎の魔物(フラム)の群れ。



その中でも、ひときわ異様を放つ巨大な翼龍の姿。



魔王デニモスの化身である。



『遂に、この時が来た!』



『幾つもの世代を越えて繰り返される、この全ての結末とも言える終焉の戦い』



『月読みの巫女よ!』



『あの忌まわしきクリスタルタブレットを、お前が持つパンドラの箱へ納めるのだ!』



『その時、お前の望みも叶うであろう!』



魔王デニモスの雷の様な声が辺りに響き渡る。



帝王ロゴスは魔剣サザンクロスを真っ直ぐに突き立て、希望(エスポアール)が持つクリスタルタブレットの方へ向けた。



神像の丘に立つ女神(テラ)が玉座に鎮座する救世主(マスター)に語りかけた。



『兄さん!来るわよー!!』



空を魔物の群れが真っ黒に覆う。



炎を吐きながら神像の丘に迫り来る大群。



地上ではオリゾン河の沿岸に到達した、おびただしい陸戦ドローン戦車部隊の隊列。



砲口を対岸の岸辺に横一列に並ぶメタボリック艦隊に向けていた。



メタボリック提督が叫ぶ。



『全艦!』



『三列陣形を組め!』



副官のパピヨン大佐が これに応えた。



『了解!!』



『炎の矢、体制に入ります!』



迅速に陣形を変えるメタボリック艦隊。



『蒼き水龍、復活したか!』



丘の上から国王ロイヤル三世が笑みを浮かべた。



沿岸のドローン戦車部隊から激しい砲撃が開始された。



((((( ドドーン ドドーン ドドーン))))



砲弾の1発がメタボリック提督が乗る旗艦の艦橋に的中した。



『メタボリックのオヤジーーー!!』



パピヨンが叫ぶ!



炎上し船首を次第に上に向け沈み始める旗艦。



救出用のポートが各艦から旗艦に集る。




上空から魔物の群れが炎を吐きながら迫る。



『助けてーーー!!』



ポートに乗り移る、避難民の声。



その時、炎の魔物が一羽、また、一羽と悲鳴を上げ水面へ落ちて行った。



空を舞うガリバー戦闘機王国編隊のトライアング攻撃。



光の槍の前に魔物の数は次第に減っていった。



隻眼の火の鳥ガリバーがメタボリックの旗艦に最後の敬礼を捧げた。



『提督さんよ!』




『勇敢だったぜ!』




『さすがの俺も、お前さんには脱帽だ……』



戦死したメタボリック提督に代わり指揮を取るパピヨン大佐の指示が飛ぶ。



『全艦隊!』



『炎の矢、発射準備!』



『目標!』



『前方、ドローン戦車部隊!』




『ファイヤーーーーーー!!!』




嵐の如くに、パピヨン艦隊の艦砲射撃がドローン戦車部隊を襲った。



(((( ドドーン ドドーン ドドーン))))




次々に爆破炎上するドローン戦車部隊。



ドローン戦車部隊の後方に到達したミストラルとモンテニユーウが、これに、挟撃を仕掛けた。



ミストラルの巻き起こす 竜巻(トルネード)がドローン戦車部隊を巻き上げ地面に叩きつける。



モンテニユーウの怪力が戦車部隊を積み木を崩すように打ち払う。



彼の前ではドローン戦車部隊も、ただの鉄屑と化してゆく。



地上の帝国戦力は完全に沈黙した。



しかし、王国側にもメタボリック提督の犠牲という代償が伴った。



パピヨンとラパンが甲板から花束を河へ投げ入れた。



『メタボリックのオヤジーーー!!』



『あんたのこと、決して忘れねーぞ!!』





戦いの舞台は空へと移る。






……………………◆◇◇◇◇






《第二十四話》





〈漆黒の魔女、アルデウス参戦!〉






エンパイヤータワーの頂上で仁王立ちする、ロゴスに近寄る影。



『妹の顔が見えぬようだが…』



修道女の裏の顔、漆黒の魔女、アルデウスがロゴスに語りかけた。



『これは…漆黒の魔女様のお出ましか』



『シスター.トリィタァーは黄泉の国へと旅立った。』



『最後まで忠実な部下であった。』


………………………………


しばらくの沈黙の後



アルデウスが重たい口を開いた。



『ロゴスよ!』



『お前や月読みの巫女が付いていながら、とんだ失態を犯したものだ。』



『妹を黄泉の国へ送った者は、どこにおる』



ロゴスは魔剣サザンクロスを神像の丘へ向けた。



『ロゴスよ!』



『妹の弔いをしてくるゆえ、お主は手を出すな!』



漆黒の魔女アルデウスは梟の森を向き直り両手を広げて叫んだ。



『出でよーー!!』



『大鷹の軍団!!』



すると大きな翼を広げた鷹の群れが次々と現れた。



アルデウスは鷹の背に乗った。



鷹の軍団は逆Vの字の体制を取った。



鷹の軍団は空を滑空する、ガリバー、カサブランカ、ポルカの戦闘機編隊を包囲した。



『これは、三足鴉のようにはいかないな!』



ガリバーがカサブランカ、ポルカに急上昇を命じ、離脱を謀った。



三機の戦闘機は上空高く舞い上がり難を逃れた。



しかし鷹の群れは上昇するどころか避難民たちの乗るパピヨン艦隊へ下降していった。



『しまった!』



やっらの狙いは、パピヨンの艦隊だ!!』




ガリバー戦闘機編隊は急ぎ急旋回して艦隊を襲う鷹軍団の背後についた。



しかし時、既に遅く鷹の軍団はパピヨン艦隊の上空から火の玉を嵐の如く落下させた。



炎上し爆発する戦艦の列。



救出用ボートに乗りパピヨンやラパンも避難民と共に神像の岬にたどり着いた。



エンパイヤータワーで、これを見ていた帝王ロゴスが含み笑いを浮かべた。



『敵に背を向けるとは隻眼の火の鳥ガリバー油断したな!』



エンパイヤータワーからドローンミサイルが火の鳥、カナリア号に向けて発射された。



((((ドドーン ドドーン ドドーン))))



トライアングル体制を取っていた白鳥号機のカサブランカが火の鳥カナリア号に迫り来るミサイル群に、いち早く気付いた。



『うぁーつ!!』



『後ろを取られたか!』



ガリバーはカナリア号の中で覚悟を決めて祈った。



『カサブランカ!』



『今度、生まれ変わったら一緒になろうぜー!』



((((ドドドドーーーン))))




空に大きな爆音が轟いた。



カナリア号は爆煙の中から無傷で飛び出した。



カナリア号の窓から外を見るとカサブランカの機体が炎を噴き上げ落ちてゆく。



カサブランカは機内の窓から笑顔で手を振り投げKISSを贈った。



やがて白鳥号は丘の中腹に激突し砕け散り爆破した。



『カサブランカーー!!』



ガリバーは喉が張り裂けんばかりに叫んだ。



『クレマチスは津波で死にカサブランカも、この有り様だ!』



『俺の愛した女は、みんな先に逝っちまう……』



『許せねーー!!』




『あの鷹の野郎!!』



冷静さを失ったガリバーは諌めるポルカの言葉も聞かず単独、鷹の軍団へ向かった。



『それほど、死に急ぐか!』



『お前も黄泉の国へ送ってやろう!』







…………………………◆◇◇◇◇◇





《第二十五話》






〈ドローン.ストライク!(最後の審判)〉





単独、鷹の群れの中へ飛び込んで行ったカナリア号は乱れ飛ぶ炎の弾幕に包まれながら姿を消した。



ポルカの乗る荒鷲号も鷹の群れに周りを囲まれ翼をもぎ取られらるようにオリゾン河へと落ちて行った。



これによりエマール王国の制空権と海の戦力は皆無と化した。



大鷹の群れは(さえぎ)る防御網を無くした王都のシンボル、神像の丘を目指した。



その時、オリゾン河から一隻の大型漁船が現れた。



ドクロに牛の角をあしらった旗印。



パピヨンの父。



義賊、ドンキー.ハートである。



甲板に搭載された光子砲が鷹の群れを襲う。



《《ヒューン ヒューン ヒューン》》




凄まじい光子砲の弾幕。



鷹の軍団は、たちまち粉砕された。



思わぬ伏兵、 海賊船を睨み付ける漆黒の魔女アルデウス。



アルデウスは光子砲をかいくぐり漁船の上にたどり着いた。



『余計な邪魔をしてくれたな!』



大声で叫ぶアルデウス。



その前を横切る美しい王妃の姿。



アルデウスは、その顔に見覚えがあった。



行方知れずになっていた少女リシュールの成長した姿だった。



パピヨンの父が王妃を(かば)うように前に出た。



『王妃様!』



『お下がりください……』



王妃フランソワは、その声を制して両手を空に上げ妖精術を唱えた。



『ブルーアイビリーブ!』



漆黒の魔女アルデウスは光に包まれたかと思うと、そのままドンキー.ハートの腕の中へ倒れ込んだ。



やがて、彼女の表情から闇が消え光が差した。



漆黒の魔女から輝きの聖女へと姿を変える瞬間である。


ドンキー.ハートは何が何やら分からず右往左往していた。



王妃フランソワは輝きの聖女を船内へと付き人に運ばせ呟いた。



『あはたはパラドスの箱へと間もなく帰れます。』



『心安らかに、お休みください。』



輝きの聖女の瞳に安堵の光が戻った。



エンパイヤータワーから帝王ロゴスの合図と共に幾つもの核ミサイルが神像の丘目掛けて打ち出された。




(((ドドドドーーーーーーーーン)))




帝王ロゴスは魔物の背に乗り魔剣サザンクロスを真っ直ぐに突き立て希望(エスポアール)の持つクリスタル.タブレットの盾へと迫った。



魔剣サザンクロスがクリスタル.タブレットを突き刺す。



《《ガガガガガガガーーーーーン》》




クリスタル.タブレットは希望(エスポアール)の手から離れ地面へと落ちた。



パンドラの箱を抱えた月読みの巫女が帝王ロゴスの前に出た。



クリスタルタブレットに手を伸ばすが、わずかに届かない。



希望(エスポアール)は落ちたクリスタル.タブレットを拾う。



月読みの巫女のカギ爪が希望(エスポアール)の首筋をかすめた。



再び、舞い上がる翼龍。



『終焉は、我の手の中にある!』



空から魔王デニモスの化身、翼龍が巨大な炎を救世主(マスター)女神(テラ)へ吐きながら迫り来る。



神像の丘へ迫る核ミサイルと魔王デニモスの化身が絶え間なく吐く炎の嵐。




『光の時代は終わる!!』




『これよりは、闇が世を支配するのだ!!』



『全ての光を闇で覆い尽くすのだ!!』



魔王デニモスの声が辺りに響き渡る。




『我!勝てりーー!!』




帝王ロゴスが勝利の雄叫びを上げた。




玉座に座る救世主(マスター)が女神テラ(テラ)に語りかけた。




『最後の審判を下す時が来た。』




女神(テラ)は右手を高く(かざ)して声高に叫んだ。



『光を覆いし陰を今こそ打ち祓う!!』



『太陽神ーー!』



『 ご加護をーー!!』








《《《ドローン . ストライク》》》







女神(テラ)は最後の審判の言葉を唱えた。




すると核ミサイルと魔王が吐き出す炎の嵐は方向を変え魔王デニモスの化身、翼龍と帝王ロゴスの元へと軌道を変えた。



帝王ロゴスが叫ぶ。




言葉帝国(ロゴスエンパィヤー)は永遠に不滅なりーー!!』



凄まじい爆音をともない巨大なキノコ雲が空を覆い尽した。



魔王デニモスも自らの放った業火の中で悶え苦しみ、やがて空の中へと姿を消して行った。



言葉帝国と、その王ロゴス、魔王デニモスの最後である。



神像の丘には仲の良い兄妹、翔と花の姿。



そして万民を救いへ導く者。



希望(エスポアール)の姿があった。



傍らに立つロイヤル三世。



フランソワ王妃。



加護星々たち。





空が茜色に染まり聖戦の終わりを告げていた。



白馬の大祭司シャーマンのラビと姉の月読みの巫女の視線が重なった。




『弟よ!』



『来世で、また会おうぞ!』



月読みの巫女がパラドスの箱を開封した。




すると一瞬にして辺りが真っ白になり世界は空へと戻された。




色、即、是、空



形有るものは皆



有るようで実態がなく



無いようで存在している。



全く無いとも言えず



全く有るとも言えない。



全てのものは



空より出でて空へと帰る。



始まりが終わりであり



終わりが始まりとなる。






………………………………◆◇◇◇◇◇◇





《第二十六話》





【最終話】





〈神像の丘に立つ青年。〉





一人の老人が神像の丘から下を流れるオリゾン河へ箱を投げ捨てた。



手には何やら光る板のような物を抱えていた。



老人は神像の足下に有る台座に光る板をはめめ込んだ。



老人が、しばらくオリゾン河の水平線を眺めていると一人の青年が救世主と女神の像の前に立っていた。



老人は腰を上げて持っていた杖で青年の背中を突っきながら訊ねた。



『名は何と言う……』




希望(エスポアール)です。』



ここから、始まる物語。






end。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー







永い物語りに、お付き合い下さ り、まず、読者の皆様へ御礼の 言葉を申し上げます。



この作品を書くに辺り、特にス ポットライトを当てたテーマは 人々の心の中にある様々な葛藤 です。



人それぞれに、考え方や行動の 仕方、また思想、環境、置かれ た立場ど様々です。



その中で、懸命に生きる人間ド ラマをパレットに絵を描くよう に筆を走らせました。



あなたの心に少しでも、響くも のがありましたら作者冥利に尽 きます。



これからも、執筆活動に邁進し て参りますので、今後とも宜し くお願い申し上げます。






平成二十七年、八月、二十三日。





縞栗鼠(シマリス)











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