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天空聖戦 ドローン.ストライク  作者: シマリス
生まれ出ずる星、去り散り行く星。
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王都、エマール城、攻防戦~ 荒野の道、ヘンリーと巫女の契約。04



《王都、エマール港》




『今夜は、やけに漁船が港に入ってくるねー』



『珍しいことも、あるもんじゃ~』



フランソワの侍女ジューネが、夕食の買い出しに漁港を訪れていた。



魚屋の親父、ドンキー.ハートが魚介類を袋に入れてジューネに手渡した。



『はい!、5000GOLDだよー!』



ジユーネが、驚いた顔をして叫んだ。



『たかーーーー!!』



『このー!、ボッタクリ、 オヤジー!ー!』



ドンキー.ハートも、驚いた顔でジユーネを見返した。



『なによー!』



ジユーネは顔を膨らませて怒った。



ドンキー.ハートは首を左右に振って、慌てた駆け出す仕草を見せた。



『もう!、いいかげんにしてーー!!』



ジユーネのテンションはマックスに達した。



ドンキー.ハートは、ジユーネの後ろ、港に停泊している漁船を指差した。



ゆっくりと後ろを振り向くジューネが叫び声を上げる。



『キャーーーーーーーッ!!!』



『さ、さ、(さそり)ーーー!!』




港は、大混乱に陥った。



次々と表れる紅蠍(べにさそり)の群れ。



その後に続いて現れた、帝国兵士(ボトムソルダ)が無差別に銃を乱射しながら、パレス広場から王城へ続く王冠の(クラウンロード)を行軍する。



エマールの民は、城へと避難を始めた。



ひときわ、大きな紅蠍(べにさそり)スコーピオン.ハーデスの背中に股がり双剣のバロンが叫ぶ。



『一気に城を攻め落とすぞーー!!』



『今夜が、シャベリア王家の最後の晩餐だあーー!!』



王城の門前には、守備隊長の蒼天の(ストーム.スピア)カサブランカと無敵の砲術士パピヨン。



『国母ソフィア様も、粋な図らいをなさる!』



『楽しい、遊び場を与えてくれた!』



真理郷(セオクラ)以来の戦いだーー!!』



カサブランカが蒼天の(ストーム.スピア)を高く翳し叫ぶ。



パピヨンは門の横にある鉄砲塔へと駆け昇る。



最上階の窓から、天から賜ったライフル銃を構える。



『ドンキーじぃちゃんの、海賊船以来のお仕事だあーー!!』



オリゾン河に浮かぶメタボリック号から、砲弾が紅蠍(べにさそり)目掛けて放たれた。



《《ドドモーーーン》》



王都、エマール城、攻防戦の開戦の狼煙(のろし)が上がった。








テラ大陸の東西で繰り広げられる、総力戦の幕開けである。
















ロイヤル三世、治世暦四年【AB-04】





《荒野の道、デリアサス》






暗黒山の麓、真理郷セオクラから荒野の道へと伸びる馬車道。


三頭立ての黒い馬車が砂煙を、巻き上げながら走り抜ける。


『姉上、そろそろ荒野の道へ入ります。』


馬を操るシャーマンのラビが、後ろの座席に乗る月読みの巫女に声を掛けた。


『ラビよ……時を操る術を持つ、お前なら大跳躍(クオンタムリープ)でシヤンソニアの都までひとつ飛びであろう。』


『なぜ、術を使わぬ…何か思惑でもあるのか?』



(((ヒヒヒーン)))



ラビが、手綱を引いて馬車を止めた。


『姉上、荒野の方をご覧ください。中々、面白いものが見えます。』


ラビの声に、黒いカーテンを開けて四角い窓から、外を覗く巫女。


『ほう……多国籍義勇軍(ランチェスター)がドローン陸戦部隊と対峙しておるのう。』


ラビは手に持っていた鞭棒で、義勇軍の 方を指した。


『山の巨人、モンテニューが先頭におり、 北風の天使も中天を舞っております。』


『これは、多国籍軍(ランチェスター)の方に勝ち目がありそうですね、姉上。』


巫女は、帝国陸戦部隊の更に後方に視線を移した。



『いや……そうとも言えぬぞ。』



『ラビよ、ドローンの後方を見てみよ。』



ラビが巫女の視線の先を見ると、高い塔が地響きを発てながら荒野の入り口にある峡谷の間から姿を現した。



『ロゴスの塔!』



『ついに、帝国側の本隊がお出ましという訳ですね、姉上。』



巫女は横に座っている美少年、王宮詩人のヘンリーから、魔剣サザンクロスを受け取った。



『よく、やってくれた。』



巫女は含み笑いをしてヘンリーに言った。


『魔剣サザンクロスが再び、魔物を解き放つ時を待っておるぞ…』




『シャンソニアのドンデン王…あの男の、腹は既に読めておる、エマールの先王ガリウスへの恨みは、まだ消えぬようだのう。』



『妃、マナトリア.サフランとガリウスの間に生まれたクレマチスを僻地へ送るとは…なんと心の狭いことであろうか…』


『マナトリア王朝を滅ぼしても、まだ飽きたらぬとみえる。』



巫女はヘンリーの頭を撫でながら呟いた。



『子どもに、罪はなかろうにのう、ヘンリーよ。』




『まぁよい……この話はこのへんにしておこう。』




『ヘンリーよ、お前の良き働きに、褒美を取らせよう。』




『月読みの血をひく、永遠人(とこしえびと)とし、絶えることのない魂の舟へ乗ることを許そう。』



『闇教典に、書き記す。』



『荒野の道、デリアサスの戦い、後世に語り継がれる逸話となろう。』



ヘンリー少年は、巫女の言葉を馬車の窓から遠くを見ながら聞いていた。



『しばらく、この戦を見た後、シヤンソニアへ向かうことにいたそう…』



ラビは巫女の言葉に頷き馬車を停めた。



『姉上、わたくしは、退屈しのぎに少し遊んで参ります。』



巫女がラビに視線を移し訊ねた。



『何をする気だ……』



ラビは、微かに笑って答えた。



『時を操るのでございます……』



『………………………………』






ひとりの杖を付く老人が多国籍軍(ランチェスター)と、帝国陸戦部隊の間に立ち叫んでいる。




『神の裁きは近い!、滅びよ!、魔王の輩よ』








『預言者……』



ヘンリーは、戦いの行く末を馬車の窓越しに見ていた。


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