表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天空聖戦 ドローン.ストライク  作者: シマリス
集い寄る星々。
16/34

北風の天使、ミストラル。04


ロイヤル三世、治世暦、四年【AB-04】




【桃源郷】




テラ大陸で、唯一の非戦闘地域。


聖域とされる場所。


ここ桃源郷は、桃の花が今は盛りとばかりに咲いている。


(マナ) の湖に映り込む、眩い太陽の光 が教会の壁面を明るく照らしている。


礼拝堂のドアを勢いよく開けて、祈りを捧げている母親の元へ駆け寄るミニヨン。


朗報とばかりに母親の美空に語りかける。


『お母さん! あそこにいる、王都から来た、お兄さんが、街の様子を教えてくれんるだってー!』


『お父さんのことも、わかるかもしれないねー!』


笑顔満面のミニヨンに、美空の顔も(ほころ)んだ。


エスポアールは、ペコリと頭を下げて美空に挨拶をした。


『初めまして。王都エマールから来ましたエスポアールと言います。』


『実は、この村に救世主が、いると祖父から聞いて訪ねて来ました。』


美空は笑顔で、エスポアールをテラスのテーブルへ案内した。


『長い道のり、大変な、ご苦労をされましたね…』


『よく、訪ねて来て下さいました。』


『今、美味しいお菓子と、お茶を用意しますので、ゆっくりと椅子に腰かけて、街の様子を聞かせて下さいね。』


しばらくすると、美空が皿に、出来立ての桃パイを乗せて、テーブルへ出して来た。


『うぁー♪、美味しそうな桃のパイだぁー!!』


ミニヨンが、待ちきれずに、一枚、パクリと桃のパイを頬張った。


『ミニヨン。お行儀が悪いですよ!』


母の叱る声に肩を(すく)めるミニヨン。


それを、横目で眺めながら、エスポアールがクスリと笑った。


『ミニヨンちやんは、とても元気のある女の子だね~♪』


場が和んだところで、(おもむろ)にエスポアールが街の様子を語り出した。




『王都は今、ロゴス帝国の侵攻を受けて悲惨な状況です。』


『度々、空から戦闘機や爆撃機が現れては、ドローンミサイルや、爆弾で街を破壊しています。』



『何の罪もない人々が、怪我をしたり、家族を失ったり、命を落としたりしています。』


『ボクの、祖父もドローンミサイルの攻撃を受けて行方知れずです。』


『生きて いるかどうかも、わかりません。』


『そんな中でも、各地から集まった有志の人々が民兵軍を組織して、立ち向かおうと必死になっています』


『多分、ご主人様も、この民兵軍に入って戦っておられるのではないでしょうか。』


『よろしかったら、ご主人様のお名前を、お聞かせください。』


『何か思い当たる節を、お伝え出来るかも知れません。』


美空はお茶をエスポアールに、すすめながら話した。


『私の主人は天人(ミストラル)という名前です。』


『ご存じかしら?』


エスポアールは、驚いた表情で、返事を返した。


『その方は、民兵達の間で、北風の天使と呼ばれていますよ。 』


『詳しい事は、分かりませんが、民兵達が噂をしていました。』


『なんでも、高い塔の上から、落ちてきた、預言者ヨブを救い上げた天使がいると、もっぱらの評判です。』



美空は近くに立って話を聞いていたミニヨンを、抱き寄せて顔を優しく()でながら呟いた。


『あなたのお父様は、太陽神の

お使いなのよ…』


『お父さん! 元気でよかったー♪』


ミニヨンの無邪気な、声が夕日を受けて煌めく湖のテラスに響き渡った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ