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VOL.46:海で遊ぼう―セクハラは制裁よ―

 昼食を終えた一行は、早速海へ出ることにした。

 峻佑たち男性陣は先に着替えを済ませて別荘を飛び出していき、後には女性陣だけが残された。

「うわ、千佳さん胸おっきい〜」

 水着に着替えながら、ちひろが自分の胸と比べてため息とともに呟いた。

「そ、そう? ちひろちゃんやみちるちゃんだって決して小さくはないと思うわ……って、何? 皆してその野獣みたいな目は……」

 千佳は落ち込むちひろをなんとか取り繕おうとしたが、周りで着替えているみんながジッと見ているのに気づいて、内心冷や汗をかきながら訊ねる。

「うふふ……千佳ちゃんってずいぶん着やせするのね。普段のメイド服姿からは想像できなかったわよ」

「そうそう、よかったら私たちにもその巨乳の秘密、教えてくれないかな〜」

 などと言いながら、さゆりやエリコ、さらにはちひろやみちるまでもが手をわきわきさせながら千佳に迫る。

「あはは……ちょっと待って、落ち着いてよ、ねえ、みんな!?」

 千佳はどうにか逃れようと後ずさりしていくが、部屋の広さは無限ではない。やがて壁にぶち当たってしまった。

「もう逃げられないわね、千佳。さあて、覚悟はいい? みんな、やっちゃえ〜!」

 千佳を追い詰めたのを確認すると、先頭に立っていたエリコの号令の下、いつの間にかいた雲雀とさとみを含めた全員が千佳に飛びかかった。

「い――――――――や――――――――!!」

 哀れ、千佳は全員にもみくちゃにされ、海で遊ぶ前から疲れ果ててしまうのであった。

 同時刻、海辺にて。

「あれ? いま何か別荘のほうから悲鳴みたいなの聞こえなかった?」

 パラソルとかを設営していた男性陣のうち、峻佑が千佳の悲鳴を聞きつけ、みんなに聞こえたか訊いてみた。

「うっすらとだけど、聞こえたぜ。もしかして、何かあったのかな? 俺、ちょっと見てくる。こっちは任せたぜ」

 耕太郎がそう言って別荘のほうへ歩いていった。すると、一樹と藤原が「一緒に行こう」と言ってともに別荘に向かい、残された峻佑と一条は引き続きパラソルを立てていった。

「なんでもないと思うのはオレだけだろうか……」

 峻佑がボソッとつぶやき、

「いや、私も同感だ。おそらく、今の悲鳴は女性同士のスキンシップのひとつだろうな。我々男の出る幕ではなかろう」

 黙々とパラソルを設営していた一条が峻佑の意見に同意した。

「やっぱ会長もそう思いますか。あの3人、生きて帰って来れるといいけどな……」

 峻佑が彼らを心配する声は、当然だが彼らには届かなかった。



「大丈夫か!? 何かあったのか!?」

 一樹がそう叫びながら別荘に飛び込むと、揉み尽くされて身体をピクピクと痙攣させた千佳が床に倒れ伏していた。そして、女性陣の半分くらいは着替えの途中で千佳の揉み倒しに突入したため、半裸だった。慌てて脱ぎかけの服で体を隠したが、耕太郎も藤原もバッチリ見てしまったらしく、鼻血を垂らしていた。

「えーと、別になんでもなかったんだね。僕らはお呼びでないと。こりゃ失礼しました〜」

 一樹は鼻血を垂らして固まっている耕太郎と藤原を引っ張って、「お後がよろしいようで」と言いながら出ていこうとしたが、その肩を誰かに掴まれた。嫌な予感がビンビンするなか、恐る恐る振り向くと、笑顔で釘バットを構えるさとみ・ちひろ・みちるの3姉妹の姿があった。

「女の子の着替えの途中に堂々と突入してくるなんて、覚悟はできてるわよね、あなた?」

 さとみがまず釘バットを一樹に突きつけ、

「いま見たものを忘れてくれないと、あたし怒っちゃうよ♪」

 続いてちひろが満面の笑みで耕太郎に釘バットを突きつける。

「あんまり職場の先輩にこんなことはしたくないですけど、女の子の着替えを堂々と見に来るようなおイタをする人には、お仕置きをしないといけませんよね♪」

 さらにはみちるまでもが釘バットを構えて藤原に突きつけた。

「待った! 話を聞いて――」

 凶器を前に一樹は事情を話そうとしたが、

「問答無用! 真昼の星になりなさいっ!」

 さとみはバッサリ斬り捨てて、釘バットを炸裂させた。

「って、どこから釘バットなんか持ち出したんだああぁぁぁぁ…………」

 耕太郎の叫びも空しく響くだけで、彼らは窓ガラスをぶち破って空高く飛ばされ、星になった……


「やっぱりこうなったか。止めようとしたのに、さっさか突撃していくから……」

 パラソルを設営し終わった峻佑は、さとみたち3姉妹に弾丸のごとくかっ飛ばされたあと、潮の流れで浜辺に流れ着いた3人を見て、つぶやきながら手を合わせた。

「ふっ……痛い目には遭ったが、いいもん見れたぜ……」

 いち早く復活した耕太郎が親指をグッと立てて、ニヤリと笑って見せた。

 と、その直後。突如として上空を黒雲が覆い、耕太郎めがけて雷が落ちた。

「のわあああ!」

 避ける間もなく雷の直撃を受けた耕太郎は、黒こげになって再び倒れた。上空にあった黒雲は、雷が落ちたあとは何もなかったような青空に戻っていた。

「全く、沢田くんってば、反省してないみたいね」

 あまりに突然すぎ、またあまりにも正確すぎる落雷に、峻佑や一条は魔法ではないか、と考えて別荘のほうを振り向いた。すると、やはりちひろとみちる、そしてさとみがにこやかにこちらに向かってきていた。

「おいおい、ちひろ。こんなところで魔法なんか使って、誰かに見られたらどうするんだよ?」

 峻佑は黒こげになった耕太郎をあえて見ないフリして、小声でちひろに詰め寄った。

「大丈夫よ。ほら、いまこのビーチにいるのは魔法のことを知ってる人だけだし、唯一知らない藤原さんは釘バットで気絶したまま。他の女性陣はまだ着替え中で出てきてないしね」

 ちひろは安心してと言わんばかりに胸を張った。

「まあ、大丈夫ってんならいいんだけどさ、殴り飛ばした上に雷まで落として、コータローのやつ、生きてるか?」

 そこでやっと黒こげの耕太郎に目を向けると、まだ倒れていたが、ピクピクと動いていたので大丈夫と判断された。

「お待たせ〜。覗きトリオの制裁は終わった〜?」

 ようやく着替えが終わった他の女性陣が別荘からビーチに出てきた。

『…………デカい』

 女性陣を見て、峻佑たちが真っ先に目がいった場所、それはやはりというかなんというか、千佳の胸だった。峻佑や一条だけではなく、いつの間に復活したのか、耕太郎たちも千佳の胸に釘づけになっていた。

「推定Gカップ、いやHはあるんじゃないだろうか……」

 耕太郎がジッと千佳の胸を見つめてそうつぶやいた。

「そんなに見ないで〜」

 千佳はすっかり恥ずかしがって胸を手で隠そうとしているが、あまりの大きさに隠し切れていなかった。

「でも、千佳さんだけじゃなくてさとみ姉さんやさゆりさんもなかなか……」

 峻佑もやはり年頃の男子。胸にばかり視線が行っていた。パッと見で見比べて、大きめのサイズを持つさとみやさゆりに気づいて、つぶやいた。

「おおう、これはこれでなかなか……さとみさんがDにさゆりさんはCってとこ……ん?」

 耕太郎がそちらを見て、サイズを推測していると、誰かが肩を叩いた。耕太郎が振り向くと――

「この、セクハラ大魔神っ! 煩悩、退散〜っ!」

 今度は全員からの釘バット攻撃だった。同時に峻佑もターゲットにされ、殴り飛ばされていた。

「だから、いったいどこからそんなに釘バットを出したんだあああぁぁぁぁぁぁぁ!」

 全員にタコ殴りにされた挙げ句、峻佑はちひろに、耕太郎はさとみによって特大のホームランとして空高く打ち上げられたあと、そのまま海に沈んだ。

 数分後、2人は潮の流れでなんとか浜辺にたどり着いたものの、日が暮れるまで一切女性陣の胸の話はおろか、話しかけることすらせずに、同じ心の傷を持つ藤原や一樹とともにみんなから離れた場所で遊んでいたのだった。

楽しげに海を満喫するちひろたち一行。だが、そんな彼らを見つめる怪しい影があった。果たして彼らの正体と目的は?

次回、VOL.47:謎の男(仮)  7月23日0時更新予定、お楽しみに。

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