第一話 裸足で駆けてく陽気な専業主婦
なんで私はドラ猫を追いかけているんだろう。
なんか裸足になってるし。
それより、あんたが食わえている魚、めちゃ高いの!!さっさと返して!!
私は19歳で22歳の会社員と結婚して早3年。
私はその間専業主婦として夫の生活を助太刀している。
それでも子宝に恵まれない自分にグッジョブな毎日を過ごしている。
それに近所の人と仲が悪くなってしまった。
なんかMDコンポの音量キーがぶっこわれてしまい、最大の音量でしか聞けなくなってしまった。それが騒音の原因になったのだろう。
「なんで修理しないの?普通するよ」
とご近所の方(へっ、本当はごはつけたくねぇんだよ)に言われてるが、私は修理しない。
だって6万もしたのに、信用できない人にむやみに触れられたら嫌だもん!!(うざい)。
ま、そうゆうわけで仲が悪い訳。ニャハハ。
私の名前は涼子。
じゃんけんで勝った兄ちゃんが付けた名前。(普通、じゃんけんで決めるか!?)
夫の名前は槙。
育児をしたいという夢のエリートサラリーマン。
(じゃてめぇがやれよ!!家事全般!!)
さて、本題だが何故私が走ってるかと言うと、私が夫の好きな鮭(一切れ120円)を焼いていたら、小さい窓からドラ猫参上。
「フー!!」
となんか知らんけど威嚇してたぜ。
「ふっ、ドラ猫、あんたなんか菜箸で勝てるよぉ!!いざ鎌倉!!」
私はそういって菜箸をドラ猫に向けた。本気だった。
「どうりゃー!!!!!!」
私はおもいっきりの速さで菜箸でドラ猫をつついた。
勝てるっと心の中で思ったが、ドラ猫はすっとよけて私の鮭一切れを優しく、そして強く食わえた。
「なっ、このドラ猫!!」
私は菜箸をダーツのように投げたが、ひらりとかわして小さい窓から逃げた。
私はこうしちゃいられないとドアを開け、外に出てドラ猫を追いかけた。
この時のドラ猫の足は異様に速い。
私がこいつは食うなと確信した犬に追いかけられた時と同じ速さだ。
多分だが、自分の足で人生が決まると思っているのだろう。ちなみに私もそうだった。
いざ食われるか食われまいかの勝負、結果を白星にしたいから必死に生きているものは走るのだ。
そんな事よりこのドラ猫、商店街の方に向かってるじゃないか!!
やめてくれ、今はタイムサービスだから人が多いんだ〜なんて猫なんかに伝えられないから私は真面目に焦った。
猫はペースを変えずに走って商店街へと近づいていく。
「やめてぇ(超小声)」
はい。商店街へ突入。なんとか人をよけて走れるぐらいだ。
なんか知らないけど猫がスピードを速めた。
こいつ、人になったらいい陸上選手になれるなと確信しながらあいつを追いかける。
人々が笑いながら私を見る。
店員も手を止めて私を観覧してる。さっさと仕事しろよ。
私は鮭を取り返したい執着心より人々の目を心配する自分の心を優先してドラ猫を追いかけるのをやめた。
ドラ猫がだんだんと私から離れていく。
なんで私はそんなに運が悪いんだろ?仕事がやりたいけど専業主婦だし、MDコンポ壊れてるし(だから直せよ)、ご近所の皆様と仲が悪いし、はぁもう死にたいなあ(夕飯どうするんだ)。
私がそんな事を思ってると、足下になんかあるような感じがある。
私が足下を見ると、それは紙で紙にはこう書いてあった。
「商店街開店5周年!!超豪華賞品が当たり放題!!外れてもMD5枚の大福引き大会。一枚で二回できます」
これは福引き券だそうだ。
一枚で二回出来るし、外れてもMD五枚って所がまたいい。
私はそれを拾って辺りを見渡すと、持ちきれないほどのMDを必死に運んでいるおばさんがよろけながら歩いていた。私はあんな風にはなりたくない。
探した結果、目の前にあった。
私が来てみると、店員が笑顔で私を歓迎してくれた。
「ようこそ!!商店街5周年(長いのでカット)」
「これ、二回出来るのですよね?」
「はい。この商店街5周年(長いのでカット)は一枚で二回出来るし、おまけに末賞でもMDをプレゼント」
「はぁ。じゃやります」
「はい!!」
私は福引き機を回した。MDはMDコンポが壊れてるから嫌だ。
玉が落ちた。
見ると、紫だった。普通なら4等ぐらいの色だ。私は喜びながら玉を持って言った。
「紫出ました」
「はい。MDです」
はいっよくある〜。もしかしてこいつらイカサマしてるな。
私は二回目を回した。
夫にMD10枚でもプレゼントするかと思った時に玉が落ちた。
玉は青色だ。これは3等ぐらいでしょ。
「青色です」
「……」
店員さん?
私が異様な心配してた時、手で持つ鐘をカランカラン鳴らした。
私は何がなんだか分からなかった。とりあえず当たったことは確かだが。
「おめでとうございます!!1等です北海道の旅3泊4日です!!」
あはは。これは鮭返せどころじゃないな。
あはは。
そういえば私、裸足でドラ猫を追いかけてたのか。
これじゃサザエさんだな。明日町に買い物に行ったら財布忘れるかも。
MD5枚と北海道の旅の券が入った封筒を持って私は歩いていた。
今日の夕飯はどうしようと思った時はもうほとんどの店が閉まっていたし。
すると、前にあのドラ猫がいた。もう鮭は食わえてない。
私が立っていると、ドラ猫はにゃーと鳴いた。
この鳴き声はまるで借りは返したぜって感じだった。
私は笑顔になった。
家に帰ると、夫が立っていた。
「槙。あのね」
「はら減ったな。飯は?どうしたの?」
「それよりも、見て」
「ん?」
「北海道の旅!!三泊四日も!!」
「ぬぁああにぃ!?」
ありがとう。猫。