第六話 苦し紛れの言い訳
「どうしよう」
憂鬱そうに呟くのは、エリナに押し負けて魔法の実習を受けることになったレイである。魔力を測定されれば、魔力がないことがばれる。そうなれば最悪アハトマギアであることまで発覚するかもしれない。
そして実習の時間になった。
「…元気ないね。どうしたの?」
エリナがひょいと顔を覗かせて聞いた。
「やっぱりうまくできるか、心配で」
苦し紛れの言い訳だった。本音は別にある。魔力がないことがばれるのが怖いのだ。かつてエルミナ学院で、魔力がないというだけでいじめられた。またあの日々が始まるかもしれない。そう思うと、気が重かった。
魔法の実習の授業が始まった。幸いなことに、魔力の測定はなかった。レイは密かに胸を撫で下ろした。
「そういえば、魔法は得意じゃないって言ってたけど、魔力はどのくらいあるの?」
「えっと、たしか80くらいだったかな…」
さすがに0とは言えなかった。咄嗟に出た数字で、その場をしのいだ。
「80か~確かに少し少ないわね。まあでも、魔力が少なくても使い方次第で全然変わるから大丈夫よ!」
「そ、そうなの?」
「そうよ!魔力が多くても使い方が雑な人より、魔力が少なくても丁寧に扱える人の方が強かったりするもの。私の知り合いにもそういう人いるし」
「へえ…」
「それより、どの属性が得意なの?」
「え、えっと…」
レイは言葉に詰まった。属性どころか、魔法自体使えないのだ。
「わ、わからないんだよね。あまり練習したことなくて」
「そっか。じゃあ今日の実習でわかるかもね!」
なんとも前向きな返事だった。レイは笑顔で頷きながら、少しだけ胸が痛かった。




