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零の回顧録 〜零の魔術師〜  作者: 朔夜 百舌
第一章 零の魔術師の非日常
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第四話 任務開始!

 しばらくの間、レイはエリナと話をした。といっても、ほとんどエリナが一方的に話していただけだったが。レイにとって人と話すこと自体が久しぶりのことであり、どう返せばいいのかがわからないのだ。

 聞いた話をまとめるとこうだ。エリナは子爵家の娘で、れっきとした貴族らしい。もっとも、この学校では貴族の子息・令嬢は珍しくもない。そしてエリナは魔術師を目指してこの学校にやってきたとのこと。その後も話は続いたが、レイには理解できない話題に移っていった。女性特有の話というやつだ。

「…ねぇ、ちゃんと聞いてる?」

 エリナが少し不満げに言った。

「ち、ちゃんと聞いてるよ」

「ほんとかなぁ」

 エリナは疑わしそうに目を細めた。

「もしかして、レイくんって女の子と話すの苦手?」

「そ、そういうわけじゃないけど…」

 レイは少し言葉を選ぶように答えた。

「ただ、あまり人と話してこなかったから、慣れていないだけで」

「ふーん、そうなんだ」

 エリナは何か面白いものを見つけたような顔をした。気のせいだろうか。たぶん気のせいだ。

「じゃあ私、用事あるから先に失礼するね」

 そう言ってエリナは教室を出て行った。レイもまた、用事があるため教室をあとにした。



レイの用事とは、もちろん任務のことである。まずは学院内の地理を把握しておく必要があった。潜入先について知っておくのは基本中の基本だ。

 さっそくレイは学院内を歩き回った。

 でかい。でかすぎる。さすがはルーネントップクラスの学院だけあって、端から端まで歩くだけでも一苦労だ。広すぎて迷子になりそうだと思っていたら、案の定迷子になっていた。

「どうしよう、今どこにいるんだ…」

 レイはかなりの方向音痴である。これだけ広い学院ともなれば、迷子になるのも無理はない。そうは思うものの、情けない気持ちは拭えなかった。

 それでもしばらく歩き回っていると、ふと学院の裏手に人影が見えた気がした。

「見た感じ、普段から誰も来なさそうな場所だよな。もしかして…!」

 レイの任務は、学院が帝国と繋がっているかの調査だ。怪しい動きがあれば見逃すわけにはいかない。レイはすぐに外へ出て、人影があった場所へと向かった。しかしそこにはすでに誰もいなかった。

「…にしても、歩きにくいな。それになんか、変な感じがする」

 辺りを見回すと、草木が伸び放題で明らかに手入れがされていない。おそらく最後に手入れをしたのは数ヶ月前だろう。レイは少し周囲を調べた後、その場をあとにした。

 寮へ戻るのに、また少し時間がかかった。

「つかれたああああ!」

 部屋に入った瞬間、レイは思いっきり大の字に倒れ込んだ。天井を見つめながら、大きく息をつく。

「なんかどっと疲れたな…しかも体調もなんか優れない気がする。慣れない生活のせいかな」

 その夜、レイは昼間の出来事と謎の人影についてざっと記録をまとめ、そのままぐっすりと眠りについた。

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