表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/113

十九、二度目の誘拐

皇帝、家豪(ジャーハオ)琳琅(リンラン)月亮(ユエリャン)雪華(シュエファ)(ハン)について話していた。

「月亮も翰には頭が上がらないようだな」

「申し訳ございません。皇上。私の教育不足です。どうも雪華のこととなると」

皇帝は良い兄ではないかと褒めていたが、家豪は翰が雪華のことを妹としてではなく、女として見ているように思えて複雑な気持ちだった。

隣で琳琅は、そうなのです、いい子なのですと翰を誉めていた。

(翰の婚姻相手でも決めたほうがいいのか?・・・いや、無理だろうな)

家豪だけが翰について悩んでいた。


皇帝は真剣な顔つきになり、

「家豪、琳琅と二人で話したいことがある。すまないが、下ってくれるか」

家豪は何の話なのか理解した。

琳琅に外で待っていると伝え、皇帝に一礼をし出ていった。


「琳琅、もうそろそろあの二人に話すべきだと思わないか?」

皇帝と琳琅はお互いに見つめたまま止まっていた。




家豪が出るとすぐに何恩(ホーエン)がいた。

「何恩、なぜここにいるのだ」

「旦那様・・・雪華お嬢様が何者かに攫われました」

家豪はゆっくりと何恩を睨みつけた。

何恩はその場で跪き、申し訳ございません、と頭を下げた。

家豪は大きく深呼吸をして、心を落ち着かせた。

「何恩、立て。お前だけが悪いわけではない。何があったのか話せ」

何恩は小走りしながら、経緯を伝えた。

(もしかしたら・・・劉家の中に・・・)

「あと、冰夏(ビンシャー)がある者からこの地図を渡されて、ここの✕印のところに来てほしいと伝えてくれと言われました」

家豪は立ち止まり、

「誰だ?ある者とは」

「冰夏は万昌(ワンチャン)と言っておりました」

「万昌?」

家豪は思い出していた。

(たしかあの時、勝手に屋敷をうろついてたやつだったな・・・。そんなやつを信用していいのか?しかし・・・)

家豪には考えている時間はなかった。

「何恩、琳琅がまだ皇上と話している。ここで琳琅を待って馬車で送ってくれ」

「御意」

家豪は何恩が乗ってきた馬に乗り、急いでその場所へ向かった。




雪華は目を覚ますと手足を縛られ、口は布で塞がれており、声を出すこともできなかった。

(ここは馬車の中?一体、どこに向っているの?)

馬車が何かに乗り上げたのだろうか。一瞬宙に浮き、馬車の中で下に落ちた。

(痛たたた・・・。これは!)

雪華はあるものが目に留まった。




(チョン)はいつものように胡風(フーフォン)の指導の下、訓練に励んでいた。

「先生、あいつは今日来てないのですか?」

「あぁ、あいつは最近何か探っているような感じだったな。残念ながら、私もそのことについては尋ねることができない」

胡風は憂しげな顔をしていた。

「ところで忠、(リウ)家の新年の祝いは盛大にやるのだろう。私も行って構わないか?久しぶりにお嬢様にも会いたいしな」

「えぇ、ぜひ来てください!きっと・・・」

忠は急に眉をひそめ、周りを見渡しはじめた。

「忠、どうし・・・」

忠は口元に人差し指をあて、静かにしてくださいと言って、再び見渡していた。

忠は神経をとがらせ、自分の両耳に集中していた。

「・・・!」

忠は急に走り出し、

「先生!馬借ります」

と許可を出す間もなく、駆けていった。

(どうしたのだ?・・・まさか!)

胡風は送り出すことしかできない自分に腹立たしく感じていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ