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あの日拾った花は 触れてはならない華だった  作者: 日昇
第一章 林小蘭編

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十七、劉雪華

劉翰(リウハン)朱輝(チュウフゥェイ)はあまりの美しさに目を見開いたまま固まり、瞬きするのも忘れていた。

(やはり母上に似ている・・・)

愛おしそうに小蘭(シャオラン)を見ている劉翰の隣で朱輝はふと何かを思い出していた。

いきなり、あー、と小蘭を指さして叫びだした。

劉翰はびっくりして耳をふさぎ、朱輝さん急に何ですかと迷惑そうな顔をしていた。

「思い出した。お前、あの時の包子娘(パオズむすめ)だろ。いやー、大きくなったなぁ。あの後、一度お前に会いに行ったんだが、店ごとなくなっててな。もう会えないと思っていたよ。まさかこんなところで会えるとは」

朱輝は昔のことを思い出したせいか、以前の口調に戻っていた。

(包子娘?)

小蘭は朱輝の顔をじっと見つめ、思い出していた。

「あぁ、あの時のお兄さんですか。あの時は顔に傷がなかったので包子娘と言われなければ思い出せなかったですよ。あの後すぐ、この町に越してきましたので。元気そうでよかったです」

それを聞いて、そうだったのか、うん、うんと頷きながら昔話に花を咲かそうとしていたが劉翰がとめた。

その時朱輝に向かってむけられた目は恐ろしいほど殺意に満ちていた。

耳元で奥様に若い娘と楽しそうに話していたと言いますよ、あと妹と昔会った時の話は後ほど詳しくと言われ、朱輝は背筋を伸ばし固まった。

(そういえば包子娘に会った後、劉毅(リウイー)に会ったんだったな。まさか、私が劉兄妹に会っていたとは。これは絶対に言えないな・・・)


では改めましてと劉翰が話を切り出した。

「はじめまして、小蘭お嬢様。私は劉翰と申します。こちらが朱輝です」

朱輝は言葉を発すると劉翰に何されるかわからないと思い、軽く頭を下げた。

(お嬢様?)

小蘭は普段言われ慣れてない敬称にむずがゆく感じていた。

「本日お伺いしましたのは、小蘭お嬢様の今後について、あるお方からのお言葉を伝えるよう命を受けたからです」

劉翰は一呼吸おき、話を続けた。

「まず、小蘭お嬢様の本当の身分ですが、お嬢様はこの国の大将軍、劉家豪(リウジャーハオ)のご息女です」

林晨(リンチェン)徐媛(シュイユエン)は衝撃的な事実に顔を見合わせ、声もでないほど驚いていた。

「そして私ですが、大将軍劉家豪の息子で次男です。つまり、お嬢様の実の兄です」

「私の・・・兄上?」

さすがの小蘭も驚いた表情をしていた。

「こちらの朱輝は私の兄、お嬢様の兄でもある、劉毅の部下です。兄は父の補佐をしております」

三人は次から次に出てくるこの国の重鎮の名前に頭が混乱するばかりだった。

「ちなみにお嬢様にはもう一人、一つ年上の兄がいますよ」

今まで兄弟という存在に接してこなかった小蘭は、一気に三人も兄が増え、もう何が何だかわからず、苦笑するしかなかった。

「お嬢様の本当の名前ですが、劉雪華(リウシュエファ)です」

「劉雪華?」

小蘭は自分の本当の名前に少し戸惑った。十五年もの間、林小蘭として過ごしてきたので、劉雪華という名前に違和感を感じることしかできなかった。

「それと、あるお方とは皇上のことでしてね」

林晨と徐媛は驚きのあまり椅子が倒れそうになるくらい反り返った。

この男は飄々としたやつだな。そんな軽々しく言うことではないだろうと小蘭は考えていた。


劉翰は席を立ち、椅子の後ろに回り、珍しく真面目な顔をした。

「聖旨である。林小蘭は本来の名、劉雪華と改め、劉家に帰還せよ。林晨と徐媛は劉雪華と共に謁見することを許す」

林晨と徐媛はすぐさま劉翰にひれ伏した。

小蘭は納得いかない様子で立っていた。

劉翰はいつもの表情に戻り、一度それっぽく言ってみたかったんですと言った。

三人は、はっ?という顔をしたが、皇上の聖旨であることは本当ですよと言って広げた巻物を三人に見せた。

林晨と徐媛は感謝いたしますともう一度ひれ伏した。

小蘭は劉翰をにらめつけ

「答えてください。なぜ私は捨てられたのですか」

本来の小蘭の声は少し幼いが、この時は重みのある声に聞こえた。

劉翰は再び真面目な顔をして

「小・・・いや、雪華。捨てるわけないでしょう。雪華はさらわれたのですよ」

「・・・さらわれた?」


これは父上から聞いた話ですがと言って、劉翰は十五年前の誘拐事件について語りはじめた。

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