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終業式 その1

ごめんなさい、展開を考えるのに時間がかかりました


8話です

 本日はもう二学期の終業式だ。町には雪がちらつき、近くの学校から子供の賑やかな声が聞こえてくる。そんな登校中に僕は昨日帰り際に話をした新聞部部長・早川先輩との会話がよぎる。


◇◇◇


 尾行を中断させて、彼女の自宅近くまで送る僕はいろいろと雑談したあとに本題の話をした。


「それで今回の噂の件についてなにか分かった話とかありました?」

「黙秘権を行使する」

「………。そういえば最近、生徒会に申告する部の出費金を一部改ざんした部活がありまして」

「………!?」

「調べてみるとどうやら、隠蔽工作した形跡がありました」

「………ほう、それは良からぬ部活だね。さっさとその部に乗り込んで、()()()()に不正のことの顛末を追及したら良いのに」

「……まあ、言及はしません」

「なぜ?」

「いまからその材料を使って、不正を()()()()()新聞部の部長と取引するからです」

「! 職権乱用だよ!?」

「なら会長に申告しますよ?」

「くっ……汚い」

「それはお互いさまです」

「……」

「……でどうなんです?」

「この写真とこの文言が突然1年女子のグループチャットに投下されたみたいだ。これがどうやら発端のようね」

「………」


 それは複数の写真と『生徒会長、相葉優紀。自らの妹を陥れ、彼女の元カレに手を出すサイテー泥棒クソ女』。

 そしてその複数の写真とは僕と優紀姉ちゃんとが仲良く歩いているところを後ろから撮っている場面だった。


「一体誰がこんな……」

「さあ、流石にそこまで分からなかったさ」

「………」

「とにかく会長に対してかなりの憎しみを持ってる子に違いない。だから彼女の身はかなり危険な状態だ」

「………」

「さあ、君はどうする?」


 僕は一体なにが出来る……………いつも優紀姉ちゃんに頼ってばかりのこの僕に………、あれ……? けどこの写真、どこかで……?


「あぁ、それとこの話は君も一応知っておいた方が良い」

「?」

「明日、相葉生徒会会長が終業式で何かを言う予定が急遽入ったみたいよ」

「え?」


 寝耳に水だった。え? どうして急にしかもこんな時に? ………まさか、あの噂について?


「なんでです?」

「さあ? なんでかは流石に分からないさ」


 彼女は手のひらを上に向け、まったく知らないといった具合の素振りを見せる。しかし早川先輩の顔はやたら終始二ヤニヤしている。


「………」

「まあ、とにかくだ昨今に起きた学校での例の噂のこともあるし、彼女は生徒会長としてなにかしらの手を打ってくるのだろう。だから君も気を引き締めたまえ」

「………はい」

「ニヤニヤ。………あ、そういえば、それと……」

「………?」


◇◇◇


 僕は周りの様子を警戒しながら体に緊張を走らせて、各クラス列に並んで体育館へと向かう。どいつだ、一体どいつが犯人だ? 隣を見る、後ろを見る、前を見る。同級生の動きがすべて怪しく見えてしまう。疑えばきりが無い。しかし諦めずに僕はずっと観察を続けたのだった。

 そして体育館に入り、しばらくしていつものように校長のあいさつ、校歌斉唱をする。そして進行役の教諭があのアナウンスを言う。


「えー、続きまして、生徒会会長が終業式のあいさつを行います」


 そしたら学生たちがキョロキョロと周りの友人を気にしながら、ざわざわとし始めた。


「生徒会長のあいさつとかあったっけ?」

「なんで?」

「えー、なに話すつもりかしら?」

「まさか……?」


 壇上に上がった会長は頭を下げて、あいさつを述べる。


「みなさん、こんにちは。私から冬休みにおけるとるべき行動について手短にお話したいと思います」


 そして生徒としてこの休み中に気をつけるべき行動をテキパキと述べる。


「……以上が気をつけるべき内容で、それ以外は楽しく自由に過ごしてほしい」


 以上が南高生としてする行動の趣旨である。そして……と話を続ける。


「次は学校で広がっている私の噂の真偽について述べようと思う」

「!?」


 さすがの話に体育館全体がざわつく。しかし相葉会長は気にもせず壇上で淡々と述べ始める。


「学校のグループチャットに例の動画と音声を流したのは間違いなく私だ」

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読みやすいし、テンポがいい。 ストーリー展開に、引き込むチカラがある。 [一言] はじめましてm(_ _)m なんだか感想欄に失礼な感想が多くて、作者様の創作意欲によからぬ影響がありそう…
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