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5/17

秘密の姿

答えはこれでした~。


5話です

「これって……」


 この封筒の中に入っていたのは、ある女子を中心に写っている数枚の写真だった。まず一枚目はライブ会場だろうか。『こてつ♡LOVE』と書かれたハチ巻きを頭に巻いて、ハート型のサングラスをつけて、ペンライトを両手合わせて6本持って、楽しそうに踊っている写真だ。

 二枚目もほぼ同じだったが、ハチ巻きの文字だけが『けんと♡LOVE』になっていた。そして三枚目が、


「……ぶっ!!?」


 ほぼ全裸である女子が寝ている写真だった。だらしなく寝ている。パンツは穿いているみたいだが、他の大切なところは黒塗り線で隠されていた。しかし背景は一体どこだろうか……加工されて分からない。………けど、


「エロ…………」


 誰か分からない女子の写真で、不甲斐にも興奮してしまった。しかし一体誰が、どうして、何の目的で、こんなプライベートな写真を……? というか、そもそもこの写っている女子は一体………ん? この左肩にぽつんとある小さなホクロって、


「まさか………」

「おはよう、直くん」

「わーーーーーーー!!!?」


 僕は今にも体から心臓がはみ出しそうなくらい驚いた。え、優紀姉ちゃん……!? なにこの超がつくぐらいのバッドなタイミングは!!?


「え!? なにどうしたの!??」

「え? あ、いえ何でもないです………」

「朝から下駄箱の前に立ってなにしてるの?」

「あ、いやその~……」


 まずいまずいまずいっ!! この写真を彼女に見られるのは非常にまずい! だって……、


「あら? 写真?」

「!?」


 まずいまずい、早く隠さないと……!


「なんの写真? 風景? それとも歴史的建造物?」


 バレてはまずいっ! だってこれは……!


「なに慌ててるのよ? あ、落としたわよ」

「!」

「もうなにして………」

「あ!!」


 だってこれは………。


「あらっ。…………え? ……!!」

「~~~~~~!!」


 彼女はその写真を見て、どんどん顔が赤らめ始めた。当然だ……。この写真に写っている女子は優紀姉ちゃんその人なのだから! しかし僕は一体どの写真を落としたんだ!? せめてオタクの時の写真を…………二枚とも持ってた。じゃあ優紀姉ちゃんが見てるやつ一番駄目なやつじゃん!!


「………いったいなによこれ」

「いや、僕もなにが何だかさっぱりで………!」

「バッ!!」

「ビクッ!?」

「………写真はこれだけ?」

「……え?」

「写真はこの一枚だけ?」

「……いえ、あったのはあと二枚……」

「見せて」

「……はい」


 そして彼女は残りの二枚も見る。しばし無言だったが、急にふらふらし始めた。


「あ、優紀姉ちゃん!?」


 僕は急いで彼女を支える。ブルブルと彼女の小さな肩が小刻みに震えてる。顔は少し泣き顔だ。


「…………幻滅したでしょ?」

「……え?」

「私がどうしようもないキャラヲタ、声優ヲタだってことに」


(キャラと声優だったのか……)


「ううん、まさか」

「……え?」

「優紀姉ちゃんは昔から何でもスマートにこなして、クールで先導能力があって、完璧でかっこいい存在だったから、ずっと遠い存在だと思ってた。けど、本当の優紀姉ちゃんは少し違ってた」

「……?」

「この写真を見て、とても純真で情熱的な一人の女の子なんだなとつくづく感じたよ」

「直くん………」

「だから自信を持って趣味にまい進してね」

「うん……。ありがとう直くん……」

「優紀姉ちゃん………」

「オホン…!」

「!?」

「仲が良いのはとても素晴らしいことだが、チャイム一分前」


◇◇◇


 生徒会を終えて下校時。


「もっと早く言ってくれたら良かったのに」

「その………いままで築き上げてきた私の理想の姉のイメージが……」

「あぁ、なるほど……」


 なんかそんなことを聞くと、彼女の新たな一面が知れて、余計に微笑ましい。そしてしばらく一緒に帰り道を歩いていると、くいっと彼女は僕の袖を引っ張る。やたら顔を赤らめて恥ずかしそうだ。


「?」

「………あの、その……」

「ん?」

「一枚唯一違った趣向の写真……」

「!」

「あの……その………、どうだ…」

「…っゴメン! あの写真のことはちゃんと忘れるね!!」

「………え?」

「ん? いま、なんて………」

「そうね!! あの写真は忘れましょう!!!」

「………?」


 いま自分の言葉と被さってよく聞こえなかったが………まあいい。それより気になるのは……、


「一体誰があんなことを……」

「………! そうね。確かにそれは気になるわ」


 いつものキリッとした優紀姉ちゃんに戻る。僕たちはあの現場の状態から色々と考えを巡らしたが、まったく良い案が浮かばない。


「特定する材料が少な過ぎるわ」

「うーん、確かに……」


 と、二人で話しているその時だった。僕たちの前に突然本気(マジ)な表情をした()()()が現れたのは……!


「え!? かっ、かのん!!?」

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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[一言] 姉の嫌な写真渡しても勝ち目ないでしょ
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