利用し、利用され
すみません
なかなか更新出来ず……
16話です
宗太郎に拠ると、主犯格Kが東高の友達を使って、東高演劇部を利用したそうだ。自主映画を作り、どこかのコンクールに出すために、友達Aは演劇部とともに映像研究会を立ち上げたという。
ここまでは分かった。しかし問題はこっからだ。東高の友達Aとは一体誰なのかということになる。どうやってその子を特定すれば………。
しばらく僕は生徒会の事務作業をしながら考えた。もちろんここには優紀姉ちゃんもいる。元気はないがそこは生徒会長。ほとんど顔に出さず、ひたすら仕事に邁進していた。
生徒会長と副会長が会話していた。
「あら? なにこれ、新部活申請?」
「はい会長。なにやら別の部の5人が集まって、結成したいらしい……と」
「ふーん、『サブカル部』。ふむふむ。なかなか面白そうな部ね。うん、採用!」
二人の話を聞いていて、僕はハッとする。
結成………そうか!!
そして僕は少し早めに生徒会を退出して、急いで東高演劇部へと向かった。
◇◇◇
「こんにちは。僕は北高の生徒会会計、喜多村と申します。少しお伺いしても宜しいですか?」
そして色々と演劇部の人に聞いてみると、その友達Aの正体が判明する。彼女の名は夢野ひさ子、文芸部二年生だ。彼女が映像研究会の発足の主要メンバーの一人だ。そして僕と同中である。
あとは彼女に訊くだけか……。さてと、しかしどう上手く彼女に訊いたら良いだろうか……。そうか、こうしよう……! よし、明後日が勝負だな。
そして翌々日。
「……! あら……喜多村君じゃない……」
久しぶりに夢野さんに会った。どうやら彼女は今回の自主映画のシナリオを書いているらしい。映画の進捗が気になってときどき演劇を見に来るらしい。
「久しぶりだね。優紀姉ちゃんの件では色々お世話になったみたいで」
「え? えぇ……」
おや、嫌な顔はしていない。むしろ嬉しそうな顔をしている……。どういうことだ………なぜ怪訝な表情にならない……? 主犯格と手を組んでるのではないのか……?
「ところで……花音ちゃんは元気?」
「……!? げ、元気だよ……? ………花音がどうかした?」
「なんか……花音ちゃん少し前まで元気なかったから……心配で……」
「……」
なんか思ってた反応とかなり違う……。拍子抜けというかなん………。
「喜多村君は………花音ちゃんの彼氏なんだから……ちゃんと彼女を支えないと……」
「!?……。どこまで花音から話を聞いてる?」
「………え? 話って?」
彼女に詳しく訊くと、なんと彼女も花音に利用されていた事実が発覚した。
その事実を伝えようと思ったが、夢野さんは純粋に花音のことを信頼している。彼女にその現実を言うには少々残酷かもしれない。僕は彼女に真相を伝えるのは止めにした。
「あ、それと………。花音ちゃんが言ってたんだけど………」
「………?」
詳しいことは分からないがとの前置きで彼女は僕に語る。なにやらあいつはいま第二の計画を立てていることが分かった。
急いであいつの犯行を止めないと………!
一体どうすれば………。
「喜多村君……?」
僕が難しい表情で考えているからか、彼女は不安そうにこっちを見ていた。
「あ、ごめん。なんでもな………」
あ、そうか……!
「夢野さん、少し協力してくれないか? これは花音のためだ」
「?」
こうして彼女と打ち合わせを行った。どうやら3日後に花音が夢野さんと会うらしい。
この時を勝負の日として僕は早川先輩とともに入念な計画を立てるのであった。
そして3日後の本日、運命の日がやってきた。
場所はなんと………相葉家であった。
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