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背伸びと本音 その1

「spy×family」と「うる星やつら」の曲をよく聴いてます

とっても最高です!!

あと、話がなかなか浮かびませんでした! すみません!!


10話です

 ふわふわと柔らかく、ゆったり地へと近づく雪が町中にちらつくこの冬休み、僕は一人市内の駅前で手をポケットに入れて、ただぼやっと自然の摂理を見ながら一人の恋人(じょせい)を待っていた。


「はあぁ~寒……」

「ゴメン、お待たせー!!」

「あ、優紀姉ちゃん。おはよぉ……!?」


 急いで来たのか少し息を弾ませながら、気持ちを整えている彼女の格好は黒のジャケットに白の上着、灰色のタイトなミニスカートを着て黒のブーツを履いていた。かなり気合いの入っている服装に僕は驚きと嬉しさが混じりあった気持ちになる。


「待った?」

「う、ううんっ。いま来たとこ!」

「そう……」

「服、とても似合ってるよ。その……キレイです……」

「あ……ありがとう」


 お互いに照れる。身体が温かい、この寒さが少しもの足りないぐらいに。


「さ、行こうか。喫茶店だよね」

「え? えぇ、そうね。行きましょう」


 そして僕が歩こうとすると、彼女は黙ってさりげなく僕の頭に乗っている雪を払いのけてくれた。

(バレてたか……)

 そして僕たちは駅からほど近くの喫茶店に着き、テーブル席で対面になって座って飲み物を頼んだ。


「紅茶で」

「僕はコーヒーで」

「かしこまりました」


 マスターだろうか、綺麗な白髪と口髭の生えた年配の老紳士がダンディな黒のタキシードで注文を訊きに来てくれた。聞き終えて颯爽とたち去る彼のその姿になんともいえない気品さを感じた。

 僕は心からの言葉を出そうとした。しかし、


「エレガントねー……」


 感心して紳士を見る彼女にその言葉を先に言われたのだった。そして僕たちは軽く談笑を始めた。家での過ごし方、趣味のこと、交友関係についてなどなどだ。

 こうして話してみると改めて僕は普段の優紀姉ちゃんのことについてあまり知らないことに気がついた。恥ずかしかった。僕は守るって決めた相手なのに、その子のウチのことをあまり知らないなんて。


「コーヒーです」

「あ、ありがとうございます」

「紅茶です」

「ありがとうございます」


 コーヒーを飲んだが、やはり今でも苦手だった。

 苦い、やっぱり苦い。デキる大人のようになるって本当に大変だ。

 僕はぐっとぐっと少しずつ口に含めながら頑張って喉に通す。そして相手の顔をうかがうようにちらっと優紀姉ちゃんを見ると、なにやらそわそわと落ち着きがないように見えた。


「? どうかした」

「ううん! なんでもない……」

「……?」


 しばらくコーヒーと格闘しながら、僕は彼女と話すが、彼女の様子は一向に収まらなかった。


「どうかした? もしかして話がつまらないの?」

「ううん!! そんなことないわ! とっても楽しいわよ……っ!」

「でも……?」

「………」


 そしたら彼女は徐々に顔を赤らめながら俯いてもじもじし始める。するとミニショルダーから二枚のチケットをすっと取り出して机の上に置く。

 これは……、


「けんと()()()のライブチケット……なの……」


 なるほど、それでか。


「で、いつあるの?」

「今日の16時から……」

「え? 場所は?」

「場所は横浜アリーナ……」

「え!? じゃあ電車で早く行かないと!!」

「う、うん……。でも今日は……直くんとの大切なデートだし……」

「けど購入の倍率とかとても高いんじゃないの?!」

「だ、大丈夫よ! たかだか4倍()()()だから」

「そ、それはすごい倍率じゃん!! なかなか見に行けないだろ!?」

「年に2回も拝めているから問題ないわ……!!」

「それは十分問題だよ!!」

「で、でも直くんに私の趣味につきあわす訳には……」

「何言ってんの! 互いの楽しみを知っていくのが恋人ってもんでしょ!? さあ今から急いで行こう!!」

「あ……。うん!」


 そうして僕たちは急いで会計を済ませて、お店から出ていくのだった。


「いってらっしゃいませ。今宵も愉しく過ごして下さいませ、お客様」

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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[気になる点] >するとポシェットから二枚のチケットをすっと取り出して机の上に置く。 最近はミニショルダーと呼ぶのが一般的らしい。 ポシェットと呼ぶのは古いとか。昭和?知らんけど。 デザインやブラン…
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