ウィルの足跡
それぞれの想い
■プロローグ
殺しても満たされないであろう憎しみと、吐き気を遥か通り越す悲しみが、胸の最新部を抉り続ける。
感じてしまっているのだ。この人に、愛を。自分が嫌いだ。嫌いだ。あなたの話を聞きたいよ。物語を。
父さん。あなたを殺します。そんな目をしないで。神様がいるなら僕を殺して欲しい。
「父さん」と呼んだ兄さんの口は震えていた。こいつを殺せと、心は叫ぶ。自分の手で殺したいと願っていた。そうだよ、兄さんには、兄さんにとっては。
胸一杯にこいつを殺したいよ。ごめん兄さん。
クソみたいな気分だ。神はいないよ。俺が生まれたんだから。俺にはお似合い過ぎるぜ。なんの喜劇だ。
全くクソだよ。おれにはおまえがいたんだよ、ウィル。
そんな顔すんなよ。お願いだ。殺してくれ。
不思議と私は冷静だった。納得している。うん。戦争に参加した時から愛する人と一緒になって、愛を育んでなんて、期待してない。私は今しがたレイプされた。雨が気持ち良いよ。流してしまってよ。あいつの体液と、とまらない涙を。雨が、気持ち良いよ。
俺の家族だ!ウィル、キール、そしてダリル。愛している。俺は君たちを幸せにできているだろうか。
ダリル、君は「全てを忘れて」と言ったね。到底、僕には無理だった。君には言わないよ。でも俺はあいつを
許さない。