ミソラ 王都に帰る その3 温泉と果樹園でご機嫌だね
温泉果樹園が完成するようです。
次の日一行は、前の日途中になっていた水路に取り掛かる。
作業自体は前日と同様である。
ルナが風魔法で土を削り、ドナが土魔法で通路を固定化して固める。
そこにミルルが作成した通路の蓋をはめていく。
約2kmの温泉水路が作られていくが、途中に点検用のトラップを作成していく。
「これ必要なの?」とミルルが聞く。
「うん。途中でごみなんかが詰まったらどこまで蓋を開けていくか判らないだろう。その為の点検用の穴でもある」とドナは説明する。
「ふーん。ドナは考えているのね」とルナ。
「だって俺たちが居れば途中で詰まっても対処できるけど、いなければ領主城の方々がしなければならないでしょ。それ考えるとやはり点検は必要かなと」
「ドナさん。ありがとうね。そこまで考えてくれて」
ドナはソル子爵に感謝の言葉を頂いた。
「あっその、思い付きなので」とドナはどもりながら答えた。
うしろではミソラが何か考えていた。
「もうすぐ完成ですね、ソル子爵果樹園にどの様に巡らせますか」とドナ。
「そうね。木々の間を縦に伸びる様にしましょぅか」
「はい、判りました」
ドナは果樹園の横に大きな温水たまりを作り、そこから土を掘りながら丸管を作り埋めていく。
「この方が温水にゴミや土が混ざらず温度だけ土に伝わるので良いかなと」
「素敵だわ。これなら果樹園を大きくするのに手間がかからないのね」
「はい配管だけ延長すれば何とかなるでしょう」
「でもドナ、折角の温泉、果樹園の先はどうするの」
「温泉ですし、飲料には使えないので捨てるしか」
「はい、はーい」とミソラが手を上げる。
「どうしたのミソラ」とドナ。
「ならいい方法があるよ」
ミソラは土に木の枝で図を書き始める。
「ふむふむ」
「なるほど」
「でね、ここを掘り下げて・・」
「そうか」
「それでね、果樹園には柵を作って入れない様にするの」
「そうだね。誰でも入れたら困るからね」
「うん、なんとかなりそう?」
「これなら大丈夫」
ドナはミソラの書いた図に従い土を掘り下げていく。
「よしこんな感じ」
「できたね」
「これに屋根と控室が出来れば良いね」
「なら周りに柵を作って低レベル魔獣たちが入れない様にするべきでは」とリソナが提案する。
「採用!!」
ドナは魔力回復ドリンクを飲み干すと、土魔法で柵をつくり、それを岩化して頑丈な柵にしていく。
「さて水路は完成したけど・・・温泉流れるかな」
「水源に戻って貫通させよう」
一行は馬車に乗り水源迄戻る。
「では始めるよ」
ドナは水源に50センチ程度離してから水路を作っていたが、それを水源とつなげる作業を始める。
水源と水路の間を深く掘り下げ、周囲を固める。そして通路に流れ込む温泉に蓋をかぶせると水路には温泉が流れ始めた。
温泉は熱すぎて手を入れる事はできない・・・
ドナは温泉の周りを魔物や間違って人が入らぬ様に柵で囲った。
「さっ果樹園に戻ろう」とドナ。
「わー楽しみ」ミルルがはしゃいでいる。
やがて果樹園まで戻って来た一行は、水たまりトラップの蓋を持ち上げて温泉が流れて来るのを待つ。
やがて水たまりに少し流れてきた温泉は、やがて勢い良く流れてきて、果樹園へと流れていく。
「では出口に行こうか」とドナ。
果樹園の横と言っても100m程度離れている急遽作った浴場を見つめる。
「おっきたきた」とリソナ。
「きたね」とミソラ。
浴場迄降りて行ったミソラは温泉に手を当てる。
「少し温いけど大丈夫」
「溜まれば浴場として使えるね」
そこは街道から10m程離れた場所を少し、1m程度掘り下げて階段をつけ、大きな休憩所とその先に大きな浴槽を2つ持つ浴場となっている。
つまり源泉から流れて来た温泉は街道脇に作られた水路を通って、果樹園に流れ込み、次に浴場に流れる仕組みであった。
「いかがですソル子爵」
「素晴らしいわ。後は西ロータスの職人組合に建物と管理をお願いすれば良いのね」
「はい、後は魔道具で排水を貯めて置く施設が必要です」
「くみ上げて何かの際には使えるようにするのね」
「ええ」
「素敵だわ、観光名所になる筈よね」
「ええ、まだ建物が作られてないので入る事はできませんが」
「そうね、早急に建物と排水をくみ上げる魔道具ね。簡単よすぐできるわ」
こうして西ロータスでは扱いに困っていた熱い水が湧く温泉を有効活用する手筈が整った。
ソル子爵は約束どおり、温泉施設の建物に飲食も出来る食堂と宿泊場と果樹園で取れた珍しい果実たちをケーキなどに加工して、果実ともども販売する事を決めた。
「これで西ロータスの財政は上向きよ。ミソラ達には感謝しかないわ」
西ロータスも海があり、観光客を集めるだけであったが、南ロータスに比べて海が冷たいので「見るだけ」であったが、温泉もできてもう一つ西ロータス観光の目玉ができた。
それと誤算ではあるが、温泉は長い水路で冷やされ、適温の39度となっていてた。
それに排水も30度程度あり、これを浄化魔法で浄化して温水プールを作る事を子爵は決めた。
浄化は浄化魔法を仕込んだ魔石を排水たまりにおいて浄化している。
こうして西ロータスには果樹園と男女別の温泉浴場と泳ぐ事が出来ない海にかわり、温泉プールが開業する事になった。
西ロータスの住民は住民パスを役所で貰えば、浴場は半額、宿泊や飲食店にお土産屋は20%割引となる。
これで西ロータスでは懸案であった住民台帳もしっかり管理できるようになった。
翌日。
「なにからなにまでミソラとミソラのチームにお世話になったわ。またワイバーン飛んでこないのが残念だけど西ロータスの領主として感謝するわ」
「そんな、やめてください。ソル子爵の構想を少しお手伝いしただけですよ」
「いえいえ、ミソラ達の功績は大きいわよ。これあげるね」
「これは??」
「西ロータス名誉市民章よ、温泉無料だから入りに来て」
「えっいいんですか」とドナ。
「ええ、みなさんに感謝の印です。温泉の飲食もお土産も原価ですからね」
「あは、学園卒業したら西ロータスに住もうかな」とミルル。
「大歓迎ですよ」とソル子爵。
「そう言えばミソラ達は卒業試験よね。がんばってね」
「はい、南ロータスを回って王都に戻れば学園の卒業試験です」
「そっか、また西ロータスにも遊びにきてね。みなさんもミソラちゃんのお仲間として大歓迎ですからね」
「はい、いつか来たいと思います」とドナ。
こうして大きな仕事を終えたミソラ達は領主城から宿泊所に戻り、出発の準備を整える。
「なんか西ロータスでいい事した気分だね」とドナ。
「うん。ソル子爵感謝していたしね」とミソラ。
「さっみんな明日は南ロータスに向かって出発だよ」とドネルグ。
「うん」「はい」
みんなは楽しさを胸に就寝するのであった。
ありがとうございます。




