ミソラ 王都に帰る その2 西の魔女と新作ケーキ
西ロータスに到着。
ゆっくり馬車と馬でロリシアから南下して西ロータスを目指している「シャイニングスター」のメンバー。
「ねぇ西ロータスって綺麗な港町だって聞いているけどロリシアとどっちが綺麗なの」とミルル。
「うーんと、西ロータスもロリシアも同じように綺麗だけど・・南ロータスは海水浴もできて楽しいと思うよ。ロリシアや西ロータスでは海も冷たいから、泳ぐなら南ロータスが最高だよ」とミソラ。
「泳ぐ??えー海って泳げるの」とドナ。
「あっはい。海は泳ぐのに体が浮くから良いですよ」とドネルグ。
「へー泳げるのか。海は強い魔物が多いから危険と聞いていたが」とルーマ。
「そっか。南ロータスもいいよね。西も南も行った事無いから」とルナ。
「王都で生まれて王都で育つと、貴族でもない限り他の街にはいかないよね」とドナ。
「「「うんうん」」」
「でもミソラには悪いけど、貴族に憧れは有ってもなりたいと思わない。戦争があれば一番に戦場に行かないといけないし」とルナ。
「そうだね。貴族はアトラム王国から支援金もあるけど、いろいろな制約が多いからね」とミソラ。
「でもミソラはドラゴン退治して受爵されたいでしょう」とリソナ。
「うん、でもそれはね。結婚したくないからなの」とミソラ。
「「「「えー結婚!!」」」」
「驚いた」
「あはは、実は許嫁がいて・・なにも無ければ結婚が決まって・・・」
「「「「許嫁!!!」」」」
「初めて聞いた」
「あはは、言ってないからね」
「どこの貴族様」とルナ。興味は尽きない様だ。
「うーんと。トリタリ街領主長男。内緒ね」
「えー貴族嫡男との結婚・・トリタリは伯爵様だったはず」ルナは驚く。地理の時間習っていた。
「あっでもミソラなら貴族に嫁ぐより、普通にAランクになってドラゴン退治して最低でも男爵になると思うな」
「リソナ、優しい」
「その生き方がミソラらしいね」とドネルグ。
「そうだね」とドナ。
「はははは・・・」
「さて早いけど野営準備しよう」とドネルグ。
「そうだね」とリソナ。
「午後にロリシア出たからもう夕方だものね」とルナ。
「ねっミソラ。西ロータスまでどの位」とミルル。
「うーん普通に行って4日かな。早めで3日か2日か」
「そっかー、では早めで」
「ミルルはケーキが食べたいだけっと」とドネルグ。
「否定しない。食べたいもん」
「でも馬が疲れるから、少しだけ早くする」とドネルグ。
「シャイニングスター」一行は街道を順調に、そして約束通り早めに西ロータスに到着した。
「やったーケーキの街」とミルル。
「はは。お父様から書簡預かっているから、冒険者ギルドで在街登録して宿予約してから領主城にいくよ」
ミソラはスケジュールを伝える。
「ケーキは???」とミルル。
「後で」
「えー」
「ソル子爵の城で食べられかもよ」とドネルグ。
「ケーキ、ケーキ」ミルルの機嫌良くなった。
ミソラはいろいろ回り手続きを済ませると領主城に徒歩で行く。メンバーも一緒だ。
「ソル子爵に書簡を届けにミソラが来たとお伝えください」
警備兵はミソラから書簡を受け取ると城に入っていく。
しばらく待つと通用門が開き「通ってよし」と言われる。
「はい」
遠くで「お待ちを」と聞こえる。
「ミソラー-待っていたわよ。遅いじゃないの」ソル子爵が馬に乗って城内から走ってくる。
デジャブ~なのか・・・
「ソル子爵様、謁見室で待てないのですか」とミソラ。
「何言ってるの。ミソラが来たなら私が・・・」やっと追いついた執事がゼイゼイ言っている。
「それに執事達の運動も」ソル子爵はにこっとする。
ルナやみんなは一斉に緊張する。
「あらあら、今回は大勢で」
「子爵、私の学園チームです」
「ドネルグちゃんは一緒なのですね」
ドネルグは「ちゃん」と言われポカンとする。
「ちゃんだって」ミルルは笑いだす。
「ミルル失礼でしょ」ルナが窘める。
「愉快な仲間たちだね」とソル。
ソル子爵は執事に馬を渡して、ミソラ達と一緒に歩き出した。
「改めてお久しぶりです」
「ミソラちゃんは私の子供同然よ、そんな挨拶は要らないわ」
「あはは、そんな訳には」
「そこのミルルちゃんケーキは好き??」
「はい!!大好きです」とミルル。
「ならみんなで応接に行きましょう。新作ケーキがあるのよ」
「いいのですか」とミソラ。
「いいのよ。ミソラちゃんのお仲間だもの」
「はぁ」
一行はソル子爵に連れられて一番大きい応接に入る。
それはロリシアのロレンシア公爵館と違い、何となく女性らしい淡い色で飾られた、品のある応接である。公爵家の応接は質実剛健と言った容であるが、ここには優しい雰囲気が漂っている。
「うわー綺麗なお部屋ですね」とミルル。新作ケーキが食べられる期待でキラキラしている。
「あら嬉しい。前回ミソラが帰った時から改装したのよ」
「ソル子爵素敵です」とミソラ。
「あらありがとう。ミソラちゃん前回きたときからのお話聞かせて」
「はい、先にメンバー紹介しますね。こちらが私と同じ剣士のリソナ。魔導士のルナとミルル。ルナは風と水、ミルルは火と土。こちらは錬金術師のドナとルーマ。ドナは土魔法、ルーマは回復魔法」
「まぁ回復魔法とは珍しいね。教会の方?」
「いえ、教会には所属しておりません」とルーマ。
「それはいろいろ支障がでますね」
「それからドネルグはご存じですよね」
「ええ、ミソラの尻に敷かれている荷物持ちさん」
「えっ」
「だってそう見えましたもの」ドネルグは苦笑いだ。
「さて、ミソラのお話聞く前にお茶にしましょう」ソルはメイドを呼ぶと「お茶とあれを」と伝える。
ミルルの瞳が輝きだす。
「今日は城の職人が作った試作のケーキですよ。ミソラ、タイミング良くて助かるわ」
メイドが入って来て皆に紅茶を注いでいく。
その後コック服のケーキ職人がうやうやしく入ってきて皿にケーキを切り分けていく。
コック服が説明を始める。
「これは領主様の果実園で取れたイチゴを使った。イチゴのコンポート風ショートケーキでございます」
「きれい・・・」ミルルがうっとりする。
「ソル子爵様の果樹園があるのですか」とミソラ。
「うん。少し魔法の勉強かねて、東の草原に果樹園作って隠ぺい魔法と光魔法で範囲結界を作って珍しい果物を作っているのよ。南のロータス名産のバナナとか」
「えっ西ロータスでもそんな温かい地方の果物作れるのですか」とルナ。
各地の名産や気温については学園の授業で習っていた。
「そうよ」
「すっ凄いです」とミルル。
「さぁ召し上がれ」
皆は一斉にケーキにぱくつく。「うめー」「美味しい」
「ソル子爵、果樹園見せて貰って良いですか」とミソラ。
「うんミソラなら大丈夫よね」
「でしたら明日きます」
「うふ。気に入ったのね。判ったわ明日お昼に来て、お昼食べてから果樹園いきましょう」
「わーい」ミルル・・・
翌日昼になり領主城を訪ねたミソラ一行。
昼食を子爵と食べると、「さっ行きましょう」と城の玄関に領主馬車が2台と警備の近衛兵が6名整列していた。
2台の馬車に乗りこむと直ぐに出発する。
「みんなも学園の課外活動で知っていると思うけど、西ロータスの東の草原は低ランクモンスターが出るので開拓は進んでいないのよ。そこで女神様が使う隠蔽魔法を見よう見まねで生み出して開拓していたの。
でもね範囲は魔力によるから小さい土地しか開拓できなくて・・・それと最近光魔法研究していて、温度は通さず光だけ通す魔法が完成したの。それで温かい地方の果物を作ろうと」
「それだけでも凄い事です」とルナ。
「あらありがとう」
「ルナは子爵様に憧れているのです」とミソラ。
「あらあら嬉しい」
「いえ、尊敬しています」とルナ。
しばらく馬車は草原に作られた轍に沿って走ると止まる。
「子爵何もありませんけど」とミソラ。
子爵は手をかざす。ゆっくりと果樹園が現れる。
「凄い魔法・・・」ミルルも驚いている。
薄い膜の様な結界を抜けると少し暖かい。
「あれ温かい」とリソナ。
「ふふ、光魔法の結界よ。これで回りより高い温度を保っているのよ」
「光魔法ですか」とルナはメモする。
「そう、温度は通さないけど光だけ通して結界内部を温かくするのよ。でもねこの結界は1週間が限界なの、かけ直さないと自然と消えてしまう」
「大変ですね」
「そうね。でも珍しい果物ができるから楽しいわよ」
「イチゴにバナナにメロン・・沢山ある」ミルルは燥ぐ。
「まだ課題が多いわね。隠蔽魔法は西ロータス魔道団にも使えるように公開したけど、光魔法は私だけなので。この先2kmに熱い水がでるので、それを引けば強い光魔法も必要ないのだけど」
「ドナ、できそう?」とミソラ。
「ルナも手伝ってくれると多分できる」
「ミソラ、なにが」と子爵は考えている。
「あっすいません。ドナは土錬金で通路や壁が作れるので、ルナの土魔法で通路作ってドナが土錬金で固めると水路が出来るのかなって」
「それは嬉しい。それが出来れば温度を保つだけの光魔法で良いのだから、私の様に透明な光魔法は難しいの、魔道団は黒い範囲魔法なら出来るのだけど」
「なら魔道団の光魔法と上だけ子爵の光魔法重ねがけすると良いのでは、子爵が何度も来なくても管理できるでしょう」とミソラ。
「まぁすてき」
「私も分析してみますね」ルナは結界魔法に手を触れて分析を始めた。
「ではルナとドナ行って見ようか」とミソラ。
「あっミルルとルーマとドネルグ、リソナは魔物に備えて警戒していてね」
「了解」
1台の馬車で熱い水のでる泉に向かう。
「2kmと聞いていたけど実際には近いな」とドナ。
現地についた一行は作業始める。出発前にドネルグから大量の魔力回復ポーションを預かっていた。
「最初ルナは通路を作って行って、轍の横に作れば良いと思うから」ルナは轍から1m程度離して深さ50センチ程度の水路を土魔法で掘っていく。泉から50センチは離している。
「では僕は水路補修と、蓋を作ります」
・・・しばらくして・・・
「疲れた、あとどのくらいなの」とルナがばてる。
「はぁはぁあと半分」「えーもう無理」
二人の警備はミソラとソル子爵である。
「残りは明日にしましょう」とソル子爵。
「ええ、ポーションも切れましたし」とミソラ。
一旦果樹園に向かいみんなと合流した。
ソル子爵は隠蔽魔法を施して西ロータスに戻る。
「もうだめ・・」ルナが魔力欠乏に陥っていた。
「ありがとうね、助かるわ」
街に戻った一行は、翌日の為に魔力ポーションを大量に仕入れて宿屋に戻る。
ありがとうございます。




