ミソラ野外遠征に参加する その4
いよいよ野営が始まりました。
「みんな音立てずに丘の上に行くよ。」
「はーい」みんなは小さい声で答える。
ミソラ一行はゆっくり歩き、丘の上にうつ伏せになって下を確認する。
「ミソラいたぞ、一角兎3匹。」
「了解。みんな最初の狩だから慎重にね。それと・・一角兎はやみくもに突進してくるから、防御は最初に展開するべきだと思う。それで私とリソナで切り込むから、ルーマはリソナにメイルをかけてね。」
「ミソラは??」とルーマ。
「大丈夫。それと魔力は限りがあるから大切に使わないと。」
「あは。Cランクだものね。」
「では各自役割が解ったら始めようか。」
「「「はーい」」」
「リソナ、行くよ。」ルーマはリソナにメイルをかける。
二人は立ち上がり丘を駆け下る。
「目標決めて攻撃して。」
「まかせろ。」
ミソラは剣を抜くと炎を纏わせ切り込んでいく。
一角兎は突然現れた冒険者に驚き、そして一斉に向かっていく。
1匹はリソナに向かい、2匹はミソラに向かっていく。
ドナは丘を下り、「ロックフェンス」と唱え、防御陣地を作り始める。
遅れてミルルはミソラに向っている一角兎に向かって「ファイヤーボール」を放つ。
1匹の一角兎にファイヤーボールがヒットして怯む。
リソナは一角兎を一度避けると半回転して両手剣を回して斬りつけたが、一角兎の方が早くかわされてしまう。
ミソラは2匹の内1匹に向かって剣を振るった。
一角兎はミソラに飛びかかる所を首を刎ねられてしまう。
続いてミソラはファイヤーボールが当たり、少し焦げた一角兎に向き合う。
リソナは取り逃がした一角兎が行き過ぎ、戻ってきたところを上から振り下ろした剣が当たり、一角兎はその場で倒れる。
ミソラは最後となった一角兎と戦う、少し焦げた一角兎は殺気を漲らせ、ダッシュする。
ミソラはサイドステップで躱すと同時に剣を水平に薙ぎ払う。
一角兎は飛び上がり躱そうとしたが、足が剣に触れてしまい、後ろ2本が切られてしまう。
一角兎は動けなくなる。そこをミソラが止めを刺した。
「よし」ミソラは思わず声にする。
「やったーチーム最初の獲物だ。」ミルルが喜ぶ。
「私出番無かった。」ルナは口をとがらせて言う。
「次出番あるよ。」とリソナが慰める。
「ふむ。これが冒険者なのだな。」ドナが冷静に分析する。
「みんな凄いよ。」初めて魔物討伐に参加したルーマは興奮する。
「本部まで近いから、一角兎持って行こう。」「はーい」
ミソラ達は一角兎を3匹持ち、本部まて戻る。
「おっ早速だな。」ウルメス先生が待っていた。
「はいEチーム一角兎3匹お願いします。」
「よし記録して置く、サーナさんお願いします。」
荷物持ちのサーナは一角兎を収納する。
「まだまだ始まったばかりだ、それにしても最初に持ち込むのがミソラ達とは幸先良いな。」
「まだまだ狩りますよ。」
「おう、よし記録したから行け。」
「はい」
ミソラ達は再度草原中央に向かって歩き出す。
「次見つけたら、ルナ、最初にウインドカッターを撃って引き付けるといいと思うよ。」
リソナはアドバイスする。
「そっか、剣士に向かっていくもんだと思っていた。こっちに引き付ければいいのか。」
「うん。3匹以上なら1匹は引き付けてくれると助かるよ。」
とミソラ。
「うん。解った。次沢山いたらこっちが引き付ける。」とルナが張り切る。
しばらく歩いて行くと、突撃羊の群れを見つける。
突撃羊の羊毛は服の材料になる。肉は少し臭みがあるが血抜きを丁寧にすると旨い。
「前方に突撃羊が5匹。2匹は後衛に任せる。私が2匹、リソナが1匹。それで良い?」
「うん頑張る。」なぜかミルルが答える。
「頼むね。危険なら応援に入るから。リソナも1匹終わったら後衛の警護に入って。」
「了解。」
「よし行くよ。」「「「「おう」」」」
ミソラは走りだす。遅れてリソナも走る。
ルーマはリソナに「メイル」を唱える。
ドナはロックフェンスを唱え障害物を作る。
ルナがさっき言われた通り「ウインドカッター」を1匹に向けて放つ。
ミソラは2匹に向かって剣を抜く、リソナは剣を振り回し1匹に向かっていく。
ルナのウインドカッターが1匹に当たり、切り裂く。
それを見た突撃羊が1匹、ルナに向かっていく。
ルナは障害物に隠れると同時にミルルはファイヤーボール放つ。
突撃羊は加速していく。
障害物まで3mとなった所で、ドナは「アースホール」を唱えると突撃羊の前に1m位の穴が突然開く、突撃羊は止まれずに穴に落ちてしまう。
深さ2m位の穴の底で突撃羊は「メーメー」と鳴く。鳴き声はまるで羊であった。
「ミルル、止めだ、ファイヤーボールを放て。」とドナ。
「あいよ。」
ミソラは突進してくる突撃羊を飛び上がり、一旦避けると回転しながら剣を振る。
1匹の頭を落とした。
リソナは剣を構え、突進してくる突撃羊に対し水平に剣を構えて、正面から剣で貫く。
ミソラは戻ってくる突撃羊に対し剣を構え直し対峙していた。
突然、突撃羊はミソラに向かって突撃してきた。
それを躱すと、上から剣を振る。
また、頭が落とされる。
「終わった!!つかれた。」ミルルが叫ぶ。
結局穴に落ちた突撃羊に対して5発のファイヤーボールを撃っていた。
ミソラは突撃羊2匹の足にロープをかけて、みんなの元迄引っ張って来た。
リソナは付き刺した剣が抜けなくて苦労したが、結局抜くことができた。
その突撃羊を担いで戻る。
障害物の後ろに仕留めた突撃羊を3匹置く。
「私が仕留めた突撃羊、持ってこないとダメだよね。」
「うん。頑張って。」ミソラは冷たい。
「あは。ルーマ手伝って。」ルナが言い放つ。
「えっ僕が。」
「見てただけだから良いでしょ。」
「仕方ない。」
二人は切り裂けた突撃羊まで行き、ミソラをまねて足にロープをかけると二人で引っ張ってくる。
「ねっドナ、穴どうする。」
「埋める事は出来るけど、中の突撃羊とりださないと。」
「えーーー」
「当然だと思うけど。」
「手伝ってよ。」
「仕方ない。」
ドナは地面に対して錬成を行い、穴に向かって斜めに道を作る。
ミルルは穴まで降りて行き、羊の後ろ足を持って引きずりだす。
「おっおもい。ドナ手伝って。」
「はいはい」
結局5匹の突撃羊を並べた。
「また本部に持って行こうか。」
「そうだね、このままに出来ないからそれが良いよ。」とリソナ。
「じゃ2匹引っ張っていくから、のこり3匹をみんなで。」
「ミソラちっこいのに力強いよね。」とルナ、ミソラは睨む。
やっとの事で本部まで突撃羊5匹を引きずっていく。
「お疲れ。突撃羊5匹ね。お前達ハイペースだな。」
「これで3点と15点ですね。」とミソラ。
「そうだな。これで18点だなEチームは。」
「残り12点ね。みんな頑張るよ。」
「うほ。ミソラがいると点が貯まるね。」リソナが感心する。
「でもみんなの頑張りがあるからだよ。30点でいいのなら簡単だね。」
「ミソラ、チーム対抗なのだけどね。もっと狩れ。」とウルメス先生。
「はーい」
「みんな魔力どの位残っている。」
「私は大丈夫。」とルナ。
「私はさっきファイヤーボール沢山撃ったから、あと2回くらい。」ミルル。
「錬成は魔力使わないから平気だよ。」
「あっ魔力使わないんだ。」
「うん。土の精霊にお願いして錬成するからね。」
「そっか。」
「まとめると、のこり1回狩ったらおしまいと言う事ね。」
ミソラ達は話しながらさっきの場所まで戻る。
「ロックフェンスはこのままで良いと思うけど、穴は埋めないと。」
「了解。」ドナは穴と通路を塞ぎ始める。
「よし」
「さて野営の準備しようか。」とミソラ。
「えっ狩しないの。」ミルル。
「うん。テント設置したりかまど作ったり、それに忘れているしいけど、夜は交代で警備しないと。」
「その為に体力残さないとダメだよね。」とリソナ。
「うん。」
ミソラ達は野営場所を探す。草原なので隠れる場所はない。
「あそこにする??」木が1本だけ生えている場所がある。
「うんいいよ。」リソナが答える。
「では木を中心にテント張って、中央に焚火するか。」
みんなは無言でテントを張る。
「うーん見張り番どうする?」とドナ。
「これは野外演習だから、全員が交代でしよう。」ミソラが答える。
「そうだね。」リソナも納得した。
「でも質問だけど、見張りって普通1人でするの??」ルナが基本的な質問する。
「うーん、私は一人だったけど・・と言っても2人のチームだし。」ミソラが言うが説得力がない。
「僕聞いたけど、普通は商人キャラバンなどでは、2~3人が見張るらしいよ。」とリソナ。
「提案だけど、ドアに周囲の囲いと落とし穴を作って貰ってはどう??」とルナ。
「でも1m位の穴だと、一角兎位しか防げないよ。」ミソラ。
「いや、重ねがけすると最大4mまで作れるよ。」とドナ、心強い発言だ。
「よし解った。周囲に障害物を作って、出入口1か所にして周囲に落とし穴作ってはどうかな。」リソナ。
「うーん。出入口は2か所必要だけど・・襲われたら反対側から逃げるのに・・・1か所だけならみんなが餌になってしまうよ。」
ミソラは警備の人たちから聞いた事を言う。
「そっか。難しいな。」リソナ頭をかかえる。
「なら、出入口作らず、襲われたら障害物を乗り越えて逃げると言うのは。」リルル。
「落とし穴があるのに?」ミソラ。
「あっ僕ひらめいた。全部囲って内部から出入口に階段つけよう。外は穴無しで。」
ドナが言う。
「「「「「先に言ってよ。」」」」」みんなから突っ込まれる。
「それ頼める??」とミソラ。
「はーい。」ドナが作業を始める。
ミソラとリソナはかまどを作り始める。
ミソラは炭を並べ、油をしみこませた布を丸めて突っ込む。
乾燥していない枝を1本取ると、念じて火をつける。
やがてかまどに火が起こった。
「ミソラ便利だな。」
「これ炭だよ。野営の時は持っていくの。」
「いや、炎の方。」
「あっそっち。」
やがて水を入れた飯盒を火にかける。
「お茶位飲みたいよね。」とミソラ。
やがてドナの作業が終わる。
「立派な砦だな。」リソナが褒める。
「えっただの障害物だよ。」ドナは謙遜する。
「でも野営って障害物無いから守るの大変だと聞いているよ。これは凄いよ。」
「そうかな。野営なんかした事無いから、よく解らない。」
「いや凄いよ。」ミソラも褒める。
「Cランク冒険者に褒められると照れる。」
「ははは。」
「さっ手の空いた者から食事しよう。」とミソラ。
6人はかまどの周りでお茶を飲みながら干し肉をかじる。
「カタパン持って来たけど、お茶に浸して柔らかくしてから食べてね。」とミソラはパンを剣で斬り分ける。
「うほ、硬い。」初めてカタパンを手にしたルーマが感心する。
「野営の時は、狩った魔物の肉や干し肉、そしてカタパンが食事だよ。」
「そっか普段の食事に感謝だな。」ドナも手を合わせる。
「一角兎1匹解体すれば良かった。1点なら食べても平気だよね。」とリソナ。
「いやーー。」ルナとミルルが拒絶する。
「でも冒険者するなら解体できないと。」とミソラ。
「明日考えよう。」とリソナ。
「ミソラは貴族だから、野営でも豪華な食事していると思ったよ。」とドナ。
「荷物多くなるし、時間が掛かれば腐るからね。保存食だよ。普通は。」
「そっか野営は平等なんだね。」と納得する。
「変なの。貴族だから魔物に襲われないとか、ないから。」
「それはそうだ。」ドナは納得する。
こうして野営1日目が過ぎていく。
ありがとうございます。




