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ミソラ炎が出たが転んで髪が燃える

第3話を投稿します。

炎が出たようですよ。


 ミソラは毎日の剣修行で、10歳にしてはそれなりに剣も上達している。

「リルル、どうやっても炎が出せない。」

「お嬢ちゃん心配するなよ。スキルがあれば、その内炎は出せる様になるから。」

「私一生炎が出ない夢を・・グス」

「大丈夫だって、俺だって半年かかったんだ、お嬢ちゃんが2か月そこらで炎出したら俺の立場がない。」

「そうかも、だけどロレンシア流を継ぐためには炎が必要なのです。」

「そうだな、ロレンシア流剣技には炎の特性を利用した物が多いから炎無しだと威力が半減してしまうからな。だが諦めるなスキルがあれば突然炎が出るようになる。」


「そうだといいのだけれど・・・」


「お嬢ちゃんは物事に真剣過ぎる。そんなんじゃ出る物も出ないぞ。良く寝て良く食べて適度に体を動かす。

 これが一番さ。」


「なんかおじいちゃん見たい。リルルそんな歳だっけ。」


「ばか言えまだ31歳だぞ。それにロレンシア家筆頭剣士だぞ。いくらお嬢ちゃんでも「おじいちゃん」は無いぞ。」


「ごめん馬鹿にしているのではなく、言い方が祖父に似ているなと。」


「お嬢ちゃん俺は、ミソラの祖父、アルベ・フォン・ルシナ・ロレンシア様の愛弟子だぞ。

 似ているのは当然だ。」


「うん知っているけど、話し方まで似てきているけど。年だからかなと。」


「ふふふ、貴様、言ってならん事を言った様だな。今から打ちこみ300回。サボるなよ。」


「えー、やるよ、やればよいのでしょ。まったくもう。」

 ミソラは木に縛り付けた縄に向かって右から左から剣を打ち付ける。

「お嬢ちゃん左右で一回だからな。飯の時間までに終わらせろよ。」

「鬼、悪魔、やってやるわよ。」


 ミソラはフラフラになるまで剣を練習をしている。

 やがて夕方となり・・夜となった。

「鬼め、これで299回、悪魔め、これで300回。はぁーー」

 ミソラはその場で倒れた。


 弟のリーブスが呼びに来た。

「お姉さまお食事・・アレ。大変だ。「みんなお姉さまが倒れてます。」トルマ、ユーリス。来て手伝って。」

「まぁまぁ、ミソラお嬢様何てこと。」

「儂が抱えていきましょう。」

 筆頭女中のトルマと筆頭執事のユーリスが駆け付けて来て、ユーリスがミソラをおぶって部屋に連れていく。

 トルマは手の空いている女中を集めて、ミソラは脱がしてお湯で体を拭き、新しい服に着替えさせる。

「お嬢様、ほどほどにしてください。お体が持ちませんよ。こんなに傷だらけで公爵令嬢なのに。」

「トルマ、すまない。後でユーリスにも礼を言ってください。ミソラはこのまま寝ます。」

 ミソラは食事も摂らずに寝てしまった。


 食卓では「姉様が稽古疲れで倒れていました。ユーリスとトルマに部屋に連れて行って看病して貰っています。」

「リーブス本当ですか、そんなに剣を・・あなた何とか言ってやってください。」

「ははは、ミソラも稽古で倒れたか。なかなか見込みがあるぞ。」

「おなた・・そんな事言っていないでお願いします。」


「リアナ心配はいらないぞ、剣士は誰しも最初はそんなんだ。」

「おなた!ミソラは剣士ではありません。娘ですよ。そんな体中傷だけにして。」

「いや、大丈夫だ。逆にその位の根性が無いとロレンシア流は覚えられん。リーブスも良く覚えておくのだぞ、お前が10歳になりスキルが解ったら毎日剣の稽古だ。」


「お父様・・・倒れるまで稽古ですか・・」

「当然だ。」

「うわー。」リーブスは食欲がなくなってしまった。

「リーブス今のうちに言っておく、リーブスが次期領主だ、そうなればロレンシア軍を率いて魔物退治や帝国と戦わなければならない。その覚悟を今からしておいて欲しい。」

「あなた、リーブスはまだ7歳です。覚悟は3年後で良いと思います。」

「まっそうとも言うな。ははは。」

「あなた・・・」


「お母様リーブスは祝福を受けたならば、ミソラ姉さんに負けない剣士になります。今から覚悟しないとミソラ姉さんを抜けない気がします。

 2番目の実力で領主などと言われたくはありません。」

「よく言ったリーブス。それでこそ次期領主だ。期待しておるぞ。」

「はいお父様。」

「リーブス。」


 食事もしないで自室で寝ているミソラ。体が悲鳴を上げているが翌日もリルルとの打ち合いを続けていた。

「お嬢ちゃん動きが遅い、足の配りも下手になっているぞ。」

「言われなくても自分が一番わかっている。えい。」

「弱い弱い、剣筋が止まって見えるぞ。」

「これならどうだ、エイエイ。」

「ダメダメ簡単に逃げられる。打ちこみはこう、エイ。」

 リルルが強烈な上段からの下段切りを行う。ミソラは足がもつれて逃げられない。

「イター」ミソラは転んでしまう。

 その時、ミソラの剣に炎が溢れ燃え盛る。「あちち」ミソラは急いで剣を持ち立ち上がるが変な匂いがする。

「お嬢ちゃん毛が燃えているぞ。井戸に早く。」

 バシャーとリルルが水をミソラにかける。どうやら消火したようだ。

「お嬢ちゃん火が出たねェ」「うん出たみたい。」

「だけどお嬢ちゃん、自分の意思と偶然は違うからな。良く解っただろ。

 炎は力を入れたり強く念じるのではなく、息をする様に力を抜いて「炎よ」と念じるだけでいいんだ。

 やったみな。」


「念じるだけ、力を抜いて。」

 ミソラは「炎よ」と軽く念じる。

 剣に炎が纏わりつく。

「やったなお嬢ちゃん。これでロレンシア流の練習ができるぞ。」

「うん、ミソラ自分の意思で炎を出せた。嬉しい。リルルありがとう。」

「成功だな。お嬢ちゃんは何事にも真剣で前向きだ、だがスキルの発動は「息をする」のと同じで強く力んでも続かないのさ。力を抜き、軽く念じるとスキルが発動するのさ。」

「その為の猛練習だったのね。」

「さぁどうかな。」

「リルルの意地悪最初から言ってくれれば・・・」

「んっお嬢ちゃん最初から言っていたけどな。けどお嬢ちゃんが力むのでやり方変えただけだ。

 それよりその髪どうする。」

「えっ見てない。どうしよう・・・」

 自分では髪の先しか見えないので触ってみると火傷はしていないが髪は少なくなっている。

「えい、いいわ、炎の剣と引き換えなら安い物よ。ふふふ、これでロレンシア流の練習ができる。」


 ミソラは屋敷に戻ると大声で「トルマ、トルマ、大変だから来て。」

「そんなに騒いでどうしました・・・・その髪はどうしたのです。」

 ミソラは10歳になるまで切る事を許されず長い髪は淑女の印であった。

「トルマ、炎の剣が出来たのよ。それで髪が燃えて・・切って。短く切って。

 火傷がひどいから短く切りましたと言い訳してくれれば良いわ。」

「ミソラお嬢様。おいたわしや。」

「ううん。短い方が剣士らしいでしょ。ふふふ。」

 ミソラは髪の毛が燃えたのにも関わらず炎の剣が出来た事で上機嫌だった。

 ミソラ10歳の秋である。


あらあら髪は女の命ですのに・・・

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