ミソラ祝福される
リクエストが多いミソラの外伝を書きました。
戦闘国家日本の途中に書きますので短くてすいません。
1話2000~3000文字程度になります。
ソア・ミソラ・バレンシアは10歳となった元気な公爵家の長女である。
アトラム王国では氏名の前に洗礼名が付くので本名は長くなってしまう。
実はアトラム王国は祝福を受けるまでは母方の性を名乗る習慣がある、悪魔に正式な名前を憶えられて連れ攫われるのを避ける為の風習であった。
アトラム王国は女神教が広く信じられ、また使徒と言われるハイエルフ様が王都ブリシアシティーの東側山脈にお住まいになっている。
女神教はハイエルフ様を使徒としてではなく、生き神様として、人間は神殿を作り神として崇めている。
ただし、ハイエルフ様は神と呼ばれるのを嫌い、神殿や教会に来た事は一度もない。
ミソラには弟が一人いる。名前は、ドル・リーブス・バレンシア。
彼はまだ7歳であるが、将来ロレンシア公爵家を継ぐ事になる長男である。
つまりミソラは公爵家から婚姻により他家に嫁ぎ、嫁ぎ先を繁栄させる運命にあった。
「ぜっーーたい、イヤー」とミソラは活発な服が好みで、外に出て剣の修行をしたいと、いつも思っているのだが、言うと怒られるので極力お父様とお母様の前では公爵家令嬢として描く淑女を演じるのだった。
因みに、ミソラ5歳の頃にスンダーラ辺境伯の長男との婚約が成立していたが、それも嫌な原因の一つであった。
地理的に言うとミソラの生まれはアトラム王国西に位置するロリシア街であり、婚約者のドル・トミル・スンダーラは6歳で王都東のトリタリ街領主長男である。
「ミソラ、今日は神の祝福の日ですよ、支度は済んでいますか」
ミソラの母であるスル・リアナ・バレンシアが聞いている。
「お母さま、5つも服を用意されては迷ってしまいます。助けてください」
「あらあら、ミソラがこれって決めた物で良いのですよ」
「みんな良くて・・・この緑にしようかな」
「うーんミソラにはピンクが似合います。これにしてはどうです」
「はい、ではピンクでお願いします」
ミソラはどれでも良かった。と言うよりどれも気に入らなかったのである。
普段ミソラは男装に近い活発な恰好をしており、スカートは苦手であった。
「ではミソラ、このピンクのドレスでね。トルマお願いね」
「はい奥様。」女中筆頭のトルマがミソラの着替えを女中5人で手伝いをする・・と言うより等身大の着せ替え人形である。これがミソラは一番嫌である。
「はぁー」
「お嬢様、ため息一つで幸せが1つ逃げますよ。女神様のお教えです」
「解っていますが・・はぁー」
「またですか。お嬢様は公爵家ご令嬢なのですから淑女として、しっかりしてください」
「トルマー、そう言ってもスカート嫌いなの知っているでしょ」
「お嬢様、今日は祝福を受ける日です。ドレス以外考えられません」
「はぁー」
「仕方ありません。お帰りになったら筆頭剣士のリルルに頼んで剣の稽古でもしますか?」
「!!するするするー」
「ご機嫌が直ってよございました」
それから着替えを済ませたミソラは黒馬車(家紋付き)に乗せられて、ロリシア街にある女神教神殿に向かってた。
5歳になったらこの女神神殿で、洗礼を受け洗礼名を教えられる。
10歳になったら年に一度「祝福の日」を迎える。今日は大掛かりな降神の儀式である。
不思議な事に女神様が神であるのに、祝福の日に降神する神は違うらしい。変な宗教である。
今日の神は人生で一度だけ絶対神と言われる「ゼノス」様が祝福をくれる日であると、そして神に選ばれた子は魔法力を得られるのだと言われている。
ミソラは剣なら祝福も関係ないと思っている不敬な信者であった。
時間が迫り、街からたくさんの子供が集まってくる。
「あれ、領主様の娘だろ」「シィー不敬罪で死刑だよ」「綺麗なドレス。私も着てみたい」
後ろで様々な声が聞こえるが、ミソラは気にしていない。それより早く終わらせて剣士として腕を磨きたいと思っている。
「皆そろったな。今日来られない者は来年になるから、来ていない者に伝える様に」と女神教神父が現れた。
「皆用意は良いか、皆で絶対神「ゼノス」様を呼び出し祝福を受けるぞ」別の神父が言う。
前に神父が3人集まり、「よいな私たちが言う、祈りの言葉を続けて言うのだぞ」
「かしこみかしこみ、ぜったいしんさま」「かしこみかしこみ、ぜったいしんさま」
「ひかえしものは10さいとなりしゅくふくをおさずけください」
「ひかえしものは10さいとなりしゅくふくをおさずけください」
そのとき教会に「ウォーーン」と音が響く。
「さっ皆、祝福が授けられました。自分で解りますよね。魔法が使える者は前に」
3人の神父はさんかくを作る様にはなれる。
「かじやはこちら」「のうふはこちら」
「それ以外の者は帰ってよろしい」
ミソラは「ウォーーン」と鳴った時、頭に炎の剣が浮かんだ。
ロレンシア家とロレンシア家に仕えている家族には炎の剣が浮かびあがる事がある。
これはロレンシア家家族とロレンシア家臣の子供だけの事で、火を纏った剣を持ち剣技を行うロレンシア流剣士の特徴である。
この技量のうえに国王から公爵家を徐爵されており、国家の一大事には、重要な国家戦力としてロレンシア家は存在するのだった。もちろんロリシア街の領主でもある。
通常は男の子が炎剣で祝福され、女の子は魔法だけの場合が多いのだが、ミソラは炎の剣スキルを授かってしまった。
ミソラは内心大喜びなのだが、領民が見ているので騒げない。
魔法グループに入ったミソラは神父から一人一人に祝福の内容を説明されていた。
「あなたは・・・土だね。土魔法が使えるから努力して敵や魔物を遠ざけたり、農地の開墾を頼みますよ。」
「あなたは・・・水だね。水魔法が使えるから敵や魔物を攻撃したり、日照りが続いたら農作物に水を撒いてください。」
「あなたは・・火だね。火魔法が使えるから敵や魔物を燃やしたり、魔物や敵の死体を火葬にしてくださいね。」
「あなたは・・・剣と炎ですか、ロレンシア家の・・ミソラ姫様。これは・・・珍しい。私が見て来た15年の間で女の子が剣と炎は初めてです。優秀なロレンシア流の後継者となれるでしょう。」
ミソラはそこまで聞くと大急ぎで屋敷に戻り、父と母に報告する。
「お父様、お母様聞いて、ミソラの祝福は剣と炎だったよ。ロレンシア流の使い手になれるね」
両親は言葉も無い。「女でロレンシア流とは・・・我が家系初めての事だ。」
「ほんとミソラ・・戦争に行かなければならないのよ。」
「お父様、お母様、ミソラはそれでもロレンシア流の免許頂きたいです。私は・・・・
ずーと思っていました。外に出て冒険者がやりたいです」
「お前本気で言っているのか。」「ミソラ・・シクシク」
「怒らないでお父様、泣かないでお母様。ミソラは一人でも将来徐爵されて貴族家を興して見せます」
「ミソラ・・・よし解ったお前がその覚悟なら、今日からロレンシア流の稽古つけてやる。」
「ミソラ・・怪我しないでね。」はいお母様。
ミソラは10歳に神の祝福を受けて、ロレンシア流の使い手となる。
祝福を受けてロレンシア性を名乗る事が許された。
それから毎日稽古を、ロレンシア家家臣と打ち合いを行い上達していった。
ミソラ10歳の冬である。
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