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伝説の盗賊王、Fランク冒険者を始める 〜裏社会最強の存在、少しずつ表の世界でも認められ成り上がります〜  作者: すかいふぁーむ


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11/24

010 部下

「くれぐれもルーク様に手出しせぬように言い聞かせ――」

「あー……俺は手は出しちゃいねえがな……他の連中がどうしたかは知らん」

「他の……」


 すでにルーク以外の人間が近くにいる可能性は、そのままビンガル伯爵の絶望を誘う情報だった。


「呼んでやるか」

「呼ぶ……?」

「おい! 出てきやがれ」


 ルークの声が空高く響き渡る。

 次の瞬間、ルークの背後に3人の男女が現れた。それぞれが意識を失った大男を引きずった状態で。


「てめえら……おとなしくしとけって言っただろうが」

「ごめん……兄貴……アカネが……」

「おいっ! 卑怯だろうちのせいにするのは!」

「だがよぉ……おめえのワガママで俺らがとばっちりうけんだぞ?」

「だからっ! うちだけじゃなかっただろってば!」

「はあ……」


 ルークにため息を疲れたのはある意味、ルークよりも有名な団員たちだった。


 大柄の体躯で相手を粉砕するヴィランド。巨人族とのハーフともオーガ族の末裔とも言われており、パワーとサイズは幻夢の盗賊団随一。懸賞金総額、6400万ギィル。

 もうひとりは対照的にとても小柄な男。絶滅したと言われる小人族の血が入っていると噂されるミルノ。幻夢の盗賊団で最も盗賊らしく、素早さに長けた存在としてあらゆる事件の実行犯として名を馳せていた。懸賞金は8600万ギィル。

 そして紅一点。懸賞金こそ960万ギィルと大きくないものの、幻夢の盗賊団において最も知名度があるのは実はこのアカネかもしれない。

 幻夢の盗賊団にさらわれた悲劇の少女。幻夢の盗賊団で最も勢いのあるおてんば娘。団長の隠し子など……好き勝手噂されているが、最もルークを慕う団員の一人であり、またなんだかんだとこうしてわがままを助けてもらえるような、そんな存在だった。

 

「まさか……あれって……」

「俺知ってるぞ! 大木のヴィランド! 一撃で数百の同業者をなぎ倒したって……」

「ミルノさんだ! 俺はあの人に食料を分けてもらって……」

「それよりアカネちゃんがいる! やっぱ可愛い……」

「今回もアカネちゃんのワガママだって」

「アカネちゃんなしで幻夢の盗賊団は語れない!」

「なんかうちの評価だけおかしい気がするっす!」

「仕方ねえだろ……」


 裏で生きる人間たちにとって、こうも表社会の人間に顔や名前が知れ渡っていること自体が多少なりとも恥ずべきことなのだが、残念ながらその辺りの感覚にアカネは疎かった。


「てことは! もしかしてあの人って……」

「へっへー。俺たちの兄貴って言ったらそりゃ、一人しかいねえっすよ!」

「幻夢の盗賊団の団長……生きる伝説……」

「あれが……」


 一人でドラゴンを倒す力を持つと言われる幹部。そんな化け物たちをたった一人のカリスマで束ねてきたのが団長、ルーク=ディ=バルド。懸賞金総額、およそ10億ギィル。

 一人ひとりが一国の騎士団に匹敵する戦力であるという幹部陣が揃い踏みとなれば、街の人間たちにとってはその物珍しさだけで大きな興奮が訪れる。

 一方で、敵対勢力となっていたビンガルはこ世の終わりと思える表情を浮かべていた。


「かはっ! くっ……ぜぇ……ぜぇ……」

「ああ、鬱陶しいな、ほれ喋れ」

「ぐっ……お前ら……許さんぞ……今に私の子飼いの――」

「ああ、それがこいつらだろう?」

「へ?」


 ルークの声に合わせて幹部たちが持っていた人間を高く掲げた。

 意識こそ刈り取られているが、その顔は間違いなく、ベッキャルが最後にすがった子飼いの戦力、その最高峰に位置する男たちであった。


「まさか……そんな……」

「お前が手を出した時点で……もうわしらは負けておった」

「ですが父上!」

「うるさい! もはやこうなればお前まで助からん! お前にしっかり、引き際をわきまえる力があればまだ……いや、もはや言っても仕方あるまい……」


 ビンガル伯爵は状況を良く把握していた。

 子飼いの兵力も削がれ、これだけ好き勝手したのちに手を出していたのが最悪の相手だった。

 もちろんビンガル伯爵にとって非常に重要であったルークに関する情報は、すでにその耳に入っていた。いわく、伝説の盗賊団の団長が部下の身柄と引き換えに自由の身になったと。その代わり、次の道筋は国が縛るために冒険者を指定したと。

 その他多くの情報が入っていた。ただまさかドンピシャで、そのスタートの地に自らの領地が選ばれていることだけは知らなかったわけだ。

 意図せずとはいえ、国が定めた道筋を阻害しかけた。その罪は重い。

 いかに伯爵家とはいえ辺境貴族。王都の上位貴族たちの機嫌を損なわせればどうなるかなど、想像に難くなかった。


「終わりだ……」


 ガクッとうなだれた父を見て、ようやくことの重大さを理解したベッキャルが顔面を蒼白にして気を失った。


当初はここで一度切る予定でしたが感想が嬉しかったので頑張って続けます!

ランキングじわじわ上がってて15位ですありがとうございます!


引き続き感想レビュー評価なんでも嬉しいのでよろしくお願いします

Twitterもエゴサしてるので呟いてもらえたら多分拾います


よろしくお願いしますー

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― 新着の感想 ―
[一言] あっさり完結しそうですな
[一言] 目の前の盗賊と、爵位(権力)を保証してくれていた国とを同時に敵に回しちゃったらもう白く燃え尽きるしかないなー。 というか、もう脱獄してる?部下たち。
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