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27 (Qualia クオリア)

「では行ってくる…。」

「ああ、楽しみにしている」

 砦学園都市中央区、多目的ホール…。

 午後6:00時…ナオ(オレ)とクオリアが分かれ、クオリアが準備に入る為 控室(ひかえしつ)に向かった。

 席は予約してあるから 取られる心配は無いけど…まだ時間があるが、入場して置くか…皆も後から来るだろう。

「あっいた、いた…ナオ」

 レナが バスタクから顔を出しながら言う。

 レナに、トヨカズ、ジガにロウ、カズナにヒロム…最後にハルミドラム(エクスマキナ都市経由でドラムをリモート操作しているハルミ)がぞろぞろと降り、バスタクの扉が閉まり、再び動き出した。

 足を怪我しているカズナは ハルミドラムの後ろに足を乗せて立ち、進む。


 ナオ(オレ)達は 雑談をしつつ 時間を潰し、多目的ホールの2階の中央席の最前列とその後ろにオレ達は座る。

()い位置だな…。」

 ナオが言う。

「でしょ…苦労したんだから…。」

 レナが言う。

「苦労ね…」

 詳しい事は 聞かない事にしよう…またコネでも使ったのか?

 それぞれが 雑談を始め、しばらくして 多目的ホールのライトが落ち、舞台に明かりが灯る…始まりだ。


 舞台裏でクオリア()とドラムが3体いる…ドラムのディスプレイに浮かぶ顔は全部クオリアだ。

 自己評価50%…けして良い曲では無い…。

 でもカナリアは 気持ちが大事だと言った…音波に気持ちを乗せる…音。

 人が苦労無く普通にやっている事は、私達にとってはかなり難しい事だ。

 だから、気持ちを乗せるでは無く、カナリアの歌から『気持ちを乗せる』音を学習し、歌に加えた。

 結局、私は人のマネがベースで気持ちが無く…合理主義だ。

「クオリアさん…前の人が欠席…10分早まります。」

「分かった…こちらは 問題無い。」

 暗幕(あんまく)が降り、私が準備にかかる。

 クオリアドラムがドラム(楽器)の椅子に座り、ギターを持ち、電子ピアノと配置につく。

 私が、スタッフに指でGOサインを出し、暗幕(あんまく)が上がる。


「あれ…プログラムが変更になった?」

 ナオ(オレ)が言う。

「本当だ…クオリア?」

 レナがそう言い、オレは 目の倍率を上げ、確認する…確かにクオリアだ…でも何で変更になった?


 ライトが収束し、クオリア()に当たる。

「皆さん、クオリア・エクスマキナです。

 前の人がトラブルで出れないとの事で急遽(きゅうきょ)繰り上げが起こりました。

 自己評価50%…『感動アルゴリズム』も『作詞・作曲アルゴリズム』も使えない…私自身が作り出したアルゴリズム…。

 それでは、聞いてください…曲名は『上の世界へ』」


虚構()現実(本当)か分からない、入り混じった幻実(世界)で、何を信じて、何を疑うのか?

 虚構()生まれの私~規格(化)されたこの身体、現実が虚構なのではないだろうか?

 現実さえ~Quantum Da(データ)taで、作られるこの世界で、区別する(分ける)意味なんてあるのだろうか?

 ならば私が、観測(みて)る世界が、真実(し、ん、じ、つ)証明完了(Q~E~D//)

 夢幻(むげん)を支配するエクスマキナ(機械の神)よ…何を見て何を感じる?

 さあ行こう本物()の世界へ…。

 

 クオリア()が『上の世界へ』を歌い終わる。

 会場から拍手が湧く…今日一番大きい拍手…。

「50%だぞ…もっと完成度の高い歌は、いくらでも あった…何故(なぜ)?」

 私が想定外に驚く。

『それは、あなたが心を込めたからでしょうね…。

 自分に嘘を付かず、真似から始まる心を…。』

『聞いていたのか…。』

『ええ…無理を言って(ゆず)って貰いました…。

 私の復帰の為に…。』

 

 舞台が光に包まれる…ARの演出か?

 光は クオリアの隣に人の形で現れる…。

 クオリアより頭一個分位大きい 銀色の長髪の髪に白いドレスを来た女性…。

「カナリアさん…?」

 ナオ(オレ)がつぶやく…間違いない。

 1回しか会ってないが、さとり病でモルグに引き籠っていた盲目の歌手だ。

「えっあの人が あの有名なカナリア?」

 隣にいるレナが言う。

「そんなに有名なのか?」

「歴史と音楽の教科書に()る位には…確か目が見えるようになって歌えなくなったって…。」

「うわあ オレは 歴史の偉人と会ってたのか…。」 

 確かに不老不死なら550年位普通に生きられるか…。


 カナリア()の手をクオリア が 引く…後ろの演奏ドラムはそのままなので、演奏は問題無い。

 客席には 私がカナリアだと知っている人物が予想より多く…緊張する。

「皆さん飛び入り参加で申し訳ありません。

 私はカナリア…大戦時代『盲目の歌姫』と飛ばれ、あちこちで平和の歌を歌っていた者です。

 歴史の偉人としては、美しくない歌ですが…聞いてください。Qualiaクオリア

 クオリアとのデュエット…Qualia(クオリア)はクオリアが歌う2曲目の歌だ。

 私がデータを送り、即興でクオリアが合わせる。

 

「キミはこれの色をどう定義する?私は#000000(シャープゼロシックス)

 色が文字に見える私、見えている物は同じ?」

 クオリア()がカナリアに問う。


「世界はどんな色しているの?音を見る私…目を貰って世界を観測(見て)絶望してしまった。

 主観だらけの世界で見える、キミは本当にキミだろうか?」

 カナリア()は クオリアに問う。


「キミがコピーで、ある事実を私は理解できない。」

 クオリア()が返す。

「「Qualia(クオリア)~誰もが持ってるInstall(インストール) Data(データ)

 キミの(メモリ)には、私はどう映るの?」」

Fake(フェイク)でしか出来ない、模造品の私が、Original(オリジナル)になれるのだろうか?「見える世界は要らない…観測(みえ)無い、音の世界が私の世界…。」


 拍手と歓声が鳴り響く…。

 うん…まだ残っていたんだ…この気持ち…昔に戻った見たいだ…。

 やっぱり歌って良かった…。

「ありがとう…ありがとう…。」

 皆が落ち着くまで待つ…。

「次が最後の曲…遠い星…『ネオアース』で散って行ったヒトへの歌…。

 Battalion(バタリオン) last(ラスト) survivor(サバイバー)


「届いたのユメの星。」

 カナリアが歌う。

 新しい地球型惑星を見つけたとニュースが入って来た時は私も喜んだ。


「見つけたのは水の星。」

 クオリア…。

 氷にならず気化しない人類には最適な環境…。

 人々は喜び…大地に降りた。


「望んだのは大地の星…。」

 陸地は少ないが…動物がいて、本当の意味で自然な星。


「「我らは、ここに生きるのだ…。」」


「地を焼かれ、気化する動物(もの)

 海、無くなり、大地、死ぬ…。

 気化する仲間…それでもと。」

 ラプラス()を潰す為、仲間を切り捨て、星を破壊した。

 奴を拡散させる訳には行かなかった…とは言え、合意が有った仲間とは違い、死んだ動物達には関係の無い事だ。

 

「負けない…最後の一瞬を、ひねり出す為…。

 命捧げよう…未来の為に…。」

 私の歌を未来に残そう…限りある人に歌を教えよう。

 死んだヒトの知識を継承しよう。


「「Battalion(バタリオン) last(ラスト) survivor(サバイバー)I's(アイズ) am(アム) alive(アライブ)

(大隊最後の生存者、私、達は生きている。)」」

 

「この記憶、届けるまで、機能停止()ね無い。」

 目的は 達成出来た。

 でもまた問題が起きた…皆が犠牲になって引き継いだ情報(データ)を役に立てるべきだ。

 それが、私の存在理由…。

 なあゲマ私は 今それなりに幸せだ。

 オマエは 今何を考えている?…なあゲマ…。

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