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02 (Xmas-クリスマス-)

 12月24日…夜、クリスマスイブ…。

 ノスタルジア号、艦橋(ブリッジ)

 ワーム侵攻まで残り7日…。

 ARでクリスマス仕様に飾り付けされた 艦橋(ブリッジ)にテーブルを設置し、お菓子にケーキ、ハンバーガー、ポテト、フライドチキンと全部、真空包装された宇宙食だが、テーブルに乗せられ、立食形式のパーティをやっている。

 もちろん 消化器官が無い ナオ(オレ)ら義体組は、食べ物が食べられないのでARでクリスマスケーキと骨付きのフライドチキン、それに七面鳥をテーブルに出している。

「「かんぱ~い」」

 キョウカイ小隊のメンバーが スパウトパウチに入ったジュースやARの酒を掲げ、飲む…。

「それにしても…クリスマスか…全然やった事が無かったな…。」

 ARの赤い帽子を(かぶ)ったトヨカズが言う。

流石(さすが)(すた)れちまったか…。」

 ARのサンタクロースの衣装を着たオレは ARのワインを飲みつつ言う。

「一応、日本文化が残っている所では やっているらしいんだが…日本人自体が もうレアだし、キリスト教徒も地球のごく一部になっちまったからな…。」

 ARの黒いシスター服を着たハルミがオレに言う。

「キリストさんの誕生日だっけ?」

「いや…キリストの誕生日は不明…クリスマスは キリストの誕生を祝う日だな…。」

「まぁ最後の審判もウチらがやっちまったからな…。

 伝承(でんしょう)では 過去に死んだ人間が全員復活して、空から彗星(すいせい)が降って来て、その衝突の熱で 周辺の鉱物を融解させるらしい。

 で、その熱にさらされた者は善人は耐えられ、悪人は耐えられず身体が焼かれて苦痛で泣け叫ぶとか…これが3日間続いて、神が作った理想郷で生まれ変わるとされているな」

 頭に十字架の帽子を被った赤い王様のような服装のジガが言う…。

 衣装の意味が分からず、検索して見るが如何(どう)やら『シンタクラース』と言う、オランダのサンタクロースの衣装のようだ。

「あ~コロニーを彗星(すいせい)に見立てて落として、その後に エレクトロンが3日で世界を制圧…エレクトロンが作った理想郷で人類が過ごすと…。

 大戦で審判の日を再現したのか…。」

「そう言う事…反乱を防ぐ為にも 世界を一度 終わらせる必要があったからな…精神的にも…。

 だから、ウチらは神の使徒(しと)役をやった訳だ。

 まぁ実際には 違う神のデウス・エクスマキナの使徒だった訳だがな…。」

 ジガが少し苦笑いながら言う。

「で、神が作った理想郷になった事でキリスト教の目的を達成して衰退したって訳」

「あれ?キリストさんの復活は?」

「少し歪んだ形だけど復活はしたよ…彼の構成要素の大半は キリスト教の教えだからな…。

 キリスト教徒の生活や行いを機械学習させて、イエス・キリストを復元した。

 彼の言う復活も そう言う意味だろうからな…。」

 ハルミも少し苦笑いを浮かべている。

「で、ヒトの闇を濃縮して学習したキリストさんは キリスト教徒の望む聖人とは かけ離れてたヒトだったって訳だ。

 聖人とは言え、元は ただのヒトだったって事かな…。」

 ジガが言う。

「ははは…と言っても、実際に過去に戻ってキリストさんに会わないと比較検証が出来ないからな…。

 ただ 宗教と言うのは 組織を形成する為の治安維持システムだから 整合性自体は あまり関係無いんだろうけど…。」

 オレが言う。


「おりゃあぁ」

「まけない!!」

 赤鼻の狼のAR服を着たロウとARのトナカイのツノのカチューシャをした カズナがトヨカズが投げる ARコインを床に落ちる前に靴下で回収して行く…。

 6分の1重力だけあって、壁や天井を使ったトリッキーな戦術を駆使した白熱した戦いになっている。

「靴下にプレゼントじゃなくて金を入れるのか…。

 長い時間を掛けて風習が変わったのか?」

 2人の光景を見ながらARのフライドチキンを かじり ナオ(オレ)が言う。

「あ~一応これにも元ネタがあってな…。

 サンタクロースの元ネタのニコラオス伝説だな」

「ニコラオス?」

「そう、貧困で3人の娘を身売りしなければ ならなくなる家族の存在を知ったニコラウスが、真夜中 窓から金貨を投げ入れたんだ。

 で、その金貨は暖炉の前に下げられていた靴下の中に入った事で、その金貨で身売りを避けられたって言う伝説だな…。」

 七面鳥を切り分けて食べているハルミが言う。

「で、その金を幼女2人が(みにく)く取り合っているんだが…。

 身売りされないように必死だな」

「まぁあくまで、それが元ネタのゲームだしな。

 それに本人が望んでやっているなら身売りも良いんじゃないか?

 と言うかこの話、男だった場合 救済されずに確実に奴隷行きだろうからな…。」

 ジガが言う。

「まぁ…ラノベだと救済されるのは いつも美人の女の子で、男は主人公以外は基本的に悪役だからな…。

 これも男女差別って言うのかね…。」

「いや、性別じゃ無くて 若い容姿と見た目の良さが優遇されるってだけだろ。

 『可愛いは正義』とか『※ただしイケメン、美少女に限る』って奴だな。

 今度は年齢と容姿差別になるけど、ネオテニーアジャストは10代後半で容姿が固定されて老化しないし、エレクトロン(ウチら)だって あえてブサイクなデザインになっているヤツはいないからな…。

 見た目を重視するのは 社会システムが望む需要なんだろう」

 元セクサロイドのジガが、自分に顔に指を()して言う。

「まぁ…オレも昔は 黒髪の黒ぶちのメガネと言う事もあって散々叩かれたからな~」

 中学に入る前辺りにオレの視力が悪くなり、じいさんから貰った黒ぶちでフレームが太いGIグラス(軍用グラス)のレンズを交換して貰って 使っていた。

 更にオレの地毛である茶髪に生活指導が入り、強制的に黒く染められた事で『The オタク』と言った風貌(ふうぼう)になり、当時 流行(ブームにな)っていたオタク叩きに乗り いじめに発展した。

 まぁインテリ系のオタクだったって事は 否定しないが…。

 で、こっちが民間人を攻撃出来ない事を良い事に 意味も無く殴られる日々が中学3年の始め位まで続き、流石にブチ切れて いじめっ子の腕の関節を外して 頭を床に叩きつけたり、関節を神経にあえて接触するように入れて最大限の苦痛を与えたて殺した事で、警察沙汰になり、教室に警官が突入…。

 だが、に運が悪い事にオレの狂気(きょうき)を見た新米警官が オレにリボルバーを向けてしまった為、正当防衛が成立し オレは 体術を駆使してリボルバーを警官から取り上げ、新米に2発とベテラン警官に3発を撃ち込んで殺してしまった。

 そして、その後に立てこもり事件として機動隊が突入し、理科室に誘い込んで盛大にガス爆発を起こして返り討ちにした事を覚えている。

「おっと…今を楽しまないとな…。」

 見るだけで胸焼けしそうな…直径24cmで8~12人で食べる事を想定している8号サイズのARいちごケーキを こっちの会話をガン無視で1人で食べ終えた ARの天使の羽を生やしているクオリアを見て オレは 再びクリスマスを楽しみに行った。

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