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07 (顎と舌と歯で感じる)

 コンビニに入る…。

 中はレジにドラムがいる無人コンビニで冷蔵棚が無い。

 棚を見ると食料品が置かれているが 妙に量が少なく、小さい…いやこれは…。

「フリーズドライ食品…宇宙食か?」

 軽くてある程度丈夫で 冷蔵庫などを使わず長期保存が出来る宇宙食だ。

 商品に付いているQRコードに目を合わせると、商品情報が表示されCMが流れる。

 CMをOffに切り替え…情報を見る…。

 生産元は『プトレマイオス』か…。

 月の裏側に位置するプトレマイオス・クレーターの下に建造された人の都市だ。

 静かの海都市は 主にヒューマノイドや、エレクトロンが住んでいる為、人の食べ物などの生活必需品は ここから輸入する事で対応している…。

 そう言えばクオリアが 降下部隊が来た時に、一時的に食料生産を再開していたって言ってたよな…。

 何かないかな?

 ナオ(オレ)は端から商品を見ていく…トヨカズやレナ…ロウにカズナも、棚の商品を見ている。

 おお…見つかった。

 茶色、緑、オレンジ、黄色、赤とカラフルな色のフリーズドライのペーストが見つかった…。

 もしかして…これは…。

「ん?ただのペーストじゃない?

 ソイフードになる前のペーストに ただ味と色だけ付けて、食品加工しなかったヤツね…。」

 オレの反応が気になったのか、後ろからレナが言う。

「いや…ナオが興味を持ったのは 映画で出て来てたからだろ」

 更に後ろから見ていたジガが話しかけてくる。

「映画?」

「そ『2001年宇宙の旅』って映画で使われていた宇宙食だ。

 ロクに宇宙に行けない時代だったってのに ちゃんと考えて作られたのか 今でも生産効率と実用性が良いってんで 最近一時的に人口が増えた時に生産されてた。」

「何か『コレこそが 宇宙食』って感じがしない?」

 オレはジガに言う。

「まぁ…今の時代、宇宙食は 身近過ぎるからな…。」

「そうなんだよな…。」

 例えばフリーズドライ技術で出来ているのは カップ麺だろう…。

 冷凍食品などの加工技術も宇宙食の開発時に生まれた副産物だ。

 本当に宇宙食技術が身近になり過ぎていて、逆にディストピア飯気味のペーストのデザイン方が宇宙食らしいと感じてしまう…。

 まぁ…固形状のミートキューブも、十分にディストピア飯なのだろうが…。

「とは言っても…食べれねーんだよな…。」

 はぁ…とオレは 付けない 溜め息を付く…。

 この義体(からだ)は、食べ物を食べて消化して、エネルギーに変換する機構は搭載されていない。

 エネルギーその物である電気を直接取り込んだ方が明らかに効率が良いからだ。

 後でAR食品で探してみるかな…。

「クオリア…スペトラの中って宇宙食の調理は出来る?」

 宇宙食を興味深そうに見ているレナがクオリアに聞く。

「ああ…エアトラと違って、温水が出る給水機とヒーターが搭載されているからな…。」

「なら、これを持って行きますか…。」

 レナ達が カゴにドバドバと宇宙食を入れていく…。

 あ~また経費で落とす気だな。

 まぁ…砦学園都市が立て替えはするだろうが…最終的には国連に経費として請求されるだろうからな…。

 長い平和が続いていた事もあり、自分の都市の防衛で 精一杯で他に戦力を割けない都市は、代わりに国連に作戦に必要な経費を払っている。

 今では オレ達みたいな独立小隊が、ワームによる防衛と都市の治安の悪化防止目的で あちこちに周っているみたいで、ありがたい事に金の問題は気にしなくて良くなっている。

 まぁ、大隊の運営に掛かる金に比べて、小隊運営の金の方が驚くほど小さくなるからな…多少の贅沢をさせた所でメリットの方が勝るのだろう…。

 オレはそう考え、宇宙食を棚に戻す…。

 レジでは レナ達が1カゴ分の大量な宇宙食を買い込んでいた。

 予想通りレナは カードを取り出し、経費で落とす…。

「なぁ…何で宇宙食をそんなに買うんだ?

 ミートキューブが まだ残っているんだろう…食事は ARで良いし…。」

 趣向品程度だと思っていたが、いくら何でも買いすぎだと思いオレが言う。

「AR食品も美味しいけど、実際に美味しい物を食べるのとは また違うのよね…。

 あ~何て言えばいいのかな…。」

 レナが適切な表現が見つからない見たいで考え始めた。

「ナオに分かりやすく言うなら、接続デバイスの違いだろう…。

 脳に直接では無く、舌と(あご)、歯を使って情報を受け取るんだ。

 恐らく レナは、そこの違いを楽しんでいるんだろう…。」

 クオリアが レナの代わりに答える。

「あ~それ…そう、それが近い…。」

 正直レナの考え方は理解出来ない…接続デバイスが違っていても味覚信号は 最終的に脳で解釈されるのだから 物理的に違うとは思えない…。

 が…この世の中には、オレと同じ 効率重視の機械思考の人は少ない。

 ここは多様性を受け入れた方が良いだろうな…。

「まぁ…それなら良いんだけど…。」

 オレは渋々納得した…積み込みすぎて死重量にならないと良いんだけど…。

 まぁ…危険だったら クオリアが言うか…。

 オレは 会計を済ませて カゴごと持って寮室に行くレナ達の後を追った。

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