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06 (MY部屋が無いと眠れない)

 都市長と話に行っていたクオリア達から メールで合流場所が指定される。

 こっちは まだ トヨカズの調整中で、もう少し時間が掛かる…。

 静かの海都市のマップをダウンロードし、座標を検索…あ~何だ(ほとんど)ど隣じゃないか…。

「コリンズ…後どれくらい掛かる?」

 ナオ(オレ)がコリンズに聞く…。

「ああ…もう、すぐ終わるね…。

 それじゃあ…ダイブを解除するよ~。」

 コリンズがそう言い、無重力の宇宙空間にいたトヨカズが帰って来た。

 トヨカズが気怠げにベットから起き上がる…。

「あ~クラクラする。」

「大丈夫か?何か前と対して変わって無い気がするけど…。」

「変わっては いるんだが…治療方法がな…戦闘機でもあんなにグルグル動かねーぞ…。」

 トヨカズが コリンズを見て言う…。

「いやーちょっと悪ノリしてハードモードにしましたが、原因は感覚の微調整をしたからですね…。

 はい…最後にコレを飲んでください…酔い止めです。」

「は?あんだけして、酔い止めが あるのかよ…。」

 トヨカズが 力なく突っ込む…。

「これは 感覚を鈍化させる薬ですから…酔わなくはなりますが 反応速度が若干(じゃっかん)下がります。

 日常生活では 全く問題無いですが、DLでの戦闘では 致命的な隙に繋がり かねませんからね…。」

 トヨカズが錠剤型の酔い止めとスパウトパウチに入った水を受け取り、多少(つら)そうに飲む…。

「うっぷ…飲み()くっ…重力が小さいと錠剤が引っかかって落ちないんだな…どーも…。」

「それじゃあ…1週間分出しときますね…。

 保険会社は 砦学園都市ですよね…。」

「ああ…。」

 砦学園都市での医療は 医療用マイクロマシンの常時監視をされる事を条件に無料で行われている。

 ただ…砦学園都市の外に出て治療を受けた場合は、有料となり、医療費の3分の1の負担になる。

「なら、実費が 1000UMですね…。」

「はいよ…。」

 コリンズが手のひらを上に向け、トヨカズが手を重ねる…決済システムが作動し、トヨカズの口座から1000UMがコリンズの口座に移動された。

「それじゃあ」

 薬が効いて来たのか しっかりとした足取りで 部屋を出る。

「またのご利用をお待ちしております。」

 コリンズがトヨカズ達に向かって笑顔で言う…。

「病院で その言葉はなぁ」

 オレは少し笑いながら そう言い、皆の後を追って部屋を出た。


 さて、合流ポイントの宿泊施設に付く…。

 12階建て建物で横に長く、建物自体は 宇宙規格の標準仕様の物だ。

 1階には、スーパー…いや、規模的には コンビニが近いか?

 規格通りなら600人は住めるはずだが、コンビニの規模が小さすぎて、600人の需要に耐えられると思えない。

「やっと来たな…ナオ、こっちだ。」

 クオリアが 右手を上げながら メインホール横の談話室から出て来た。

 その後ろに レナとジガが続く…。

「ここが宿泊施設か?

 明らかに寮の規格だよな…。」

 談話室の隣に規模が小さい自販機とテーブルがあるだけのオートレストラン…倉庫もあるが 砦学園都市とは違い1階。

「ここは 静かの海都市の運営が使う 役所寮だったからな…。

 人が月の裏側に拠点を造った事で、こっちには(ほとん)ど人は いない。

 人口は 引きこもりのエレクトロンを除けば、1000人位だったか…。

 この寮の大半の住民は 引きこもりのエレクトロンだ。」

「どうりで、コンビニや食堂の規模が 小さい訳だ。」

 エレクトロンは 食事を取らず…いや、食事は電気なので、有機物の食事がいらない。

 しかも、彼女らにとってネットの中が現実で、こちらが 仮想空間の感覚で 生きているので、ベットに横になって常時フルダイブしているのが普通になる。

 つまり、現実から見た場合…部屋から一歩も出ない引きこもりに見える訳だ。

 そうなれば、この規模のコンビニでも 十分に生活が出来るだろう…。

「人が食べる食料の(ほとん)どが輸入に頼ってるしな…。

 少し前までは、降下部隊の兵が大量に来ていたから 小規模な食料生産をしていたのだが…。

 今は 人の出入りが落ち着いて また停止しているな…。」

 クオリアが言う。

「それじゃあ…コンビニで買い物をして、部屋に入って今日は終わりかな…。」

「そうなる…レナ達は 丸一日起きているからな…。

 そろそろ眠らないと また倒れる。」

「え?…ああ…そっか昨日の夜に出てからずっと寝てないのか…。

 と言うより、眠ったのは更に前だよな…。」

 眠くならないから忘れていた…トヨカズ達はこっちの感覚で生きている訳じゃなってのに…。

「とは言え、宇宙だと寝れ無いんだよな…。」

 トヨカズが言う。

「無重力での睡眠障害か…低重力なら寝れるか?

 戦闘が起きる可能性は無いだろうし、睡眠薬でも飲むか?」

 クオリアがトヨカズを気遣(きづか)い言う。

「いや…いい…いざとなったらVRのオレの部屋で寝る…。」

MY(マイ)枕が無いと眠れないは 聞いた事はあるが、寝る為に自分の部屋を持ち歩くのか…。」

「環境が変わるとしばらく、寝れ無くなるんだよな…。

 シーランドでも、慣れるまでは VRで寝てたし…。」

 あ~そうか…トヨカズは、寝る為の訓練はしていないのか…。

 オレみたいに 警戒しつつ 半覚醒状態で眠るようになるのは難しいとしても、何処(どこ)でも、どんな精神状態でも、寝れるのは 戦う為の必須スキルになるんだが…まぁそれを一般人に押し付けるのは(こく)か…。

 レナは 境遇から場慣れしているだろうから、何処(どこ)でも寝れるだろう…。

 ロウは 半覚醒状態で寝れるが 熟睡が出来ない為、睡眠時間を長く取る必要がある…寝不足にならないように注意が必要だな。

 それで、カズナは…如何(どう)だろうか?

 シーランド艦にいた時は普通に寝れていたし、加速Gに弱い位で 体調不良は起こしていない。

 大丈夫だとは思うが 一応気に掛けてみるか…。

 オレはそう思いつつ、皆と一緒にコンビニに向かった。

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