表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
214/354

09 (入国手続き)

 レナ()達は 砦学園都市に やって来た…。

 砦学園都市は インダストリーワンのように大きくは無く 大きな倉庫になっているだけだ…。

 この中に人が住んでいるのだろうか?

 エアトラFが 動く地面に着陸し、倉庫内に運ばれて行く…。

「さて…荷物を降ろすぞ…手伝え」

 後部ハッチが開き、アントニーとクオリアが 降りて行く…。

「分かった…。」

 そして私も 後に付いて降りた。


「装甲騎兵?」

 レナ()が棚に仕舞われている 物体を見て言う…。

 インダストリーワンが 大規模の治安維持作戦を行う時に使う 巨人だが、騎士のような装飾(そうしょく)が無い…多分、似た巨人なのだろう…。

 巨人の中に人が乗って操作している らしいのだが…私もスラム街の大人達が 武装蜂起(ぶそうほうき)した時に一度見た位だ。

 ただ…扱う銃の威力が非常に高く、外す事は まず無く、撃たれれば赤い血だけを残して 人が()き消えてしまう…。

 それだけ 圧倒的な力を持った巨人だ。

「何をしているレナ…このパレットに乗せるぞ。

 ん?ああ…DLか?」

 棚を見ていた私にクオリアが話しかけてくる…。

「DL?この装甲騎兵の名前?」

「インダストリーワンでもあるのか…。

 そうだ…これはDLと呼ばれている兵器で、この機体は バランスの良いベーシック機体…。

 名前は ベックだ…。」

「ベックね…。」

 私が周りを見る…。

 棚には そのベックが いっぱいに詰められ乗せられている…。

 これだけあれば 一つの都市を滅ぼす事も 容易なのではないだろうか?

「あっ仕事ね…。」

 アントニーが 積み荷のベルトを外し、クオリアがローラーの付いたはしごを持ってくる。

 クオリアは エアトラFに その はしごを乗せて、アントニーが 箱をはしごに乗せて押す…。

 はしごのローラーが回転し、勢いで前に進んで行く…。

 が、途中で止まった…。

 ここが 私の仕事だろうか?

 私は エアトラFに乗り、止まった箱を更に押してクオリアにパレット前のクオリアに届ける…。

 クオリアは 軽々と箱を持ち上げ、パレットに積み上げていく…。

 左から、横方向に3個、余ったスペースに向きを変えて、2個…ピッタリでは無い見たいで、少しスペースが余っている…。

 それを4段…えーと、1つ20㎏だから…1段で100?4段で400か?

 でも積み荷は全部で300だったはず…ああ ワインが瓶に入れられているから、入れ物の重さが入るのか…。

 それと冷たい…多分、肉を冷却して置く何かも入れられている。

 箱を積み上げたパレットに固定用のネットを取り付ける…。

「でも、これを如何(どう)やって持って行く?」

 重さが400㎏…これでは、人で運ぶ事は出来ない…。

「これは 知らないか?」

 クオリアが取っ手の付いた赤い何か持ってくる…。

 何かの下には、二本の長い鉄の爪が取り付けられている…。

「これは?」

「ハンドリフトだ…。」

 クオリアがハンドリフトをパレットの横の穴に突き刺す…。

 それをクオリアが取ってを上下させる事でパレットが(わず)かに持ち上がる…。

「え?何で?」

 400㎏を持ち上げた?クオリアがそれ(ほど)力を入れたようには見えなかったが?

「油圧を知らなのか?

 なら、やってみるか?」

 クオリアが取っ手に付いているレーバーを握るとゆっくりと、持ち上がっていたパレットが下がって行く…。

「良いの?」

「ああ…やり方は簡単だ。」

 クオリアが離れ 私が持ち手を持ち、下に下げる…そして上に上げ、上下運動を繰り返す…。

 繰り返す度にパレットが少しずつ地面から離れて行き、私の非力な力で 400㎏のパレットを持ち上げる事が出来た…。

「出来た…。」

「あ~レナ…こっち…。」

 入国管理の詰め所だろうか?アントニーが警備員と話している。

「レナ…パレットを持って行こう…。

 引っ張れる…。」

 引っ張れれる?

 ああ…ハンドリフトの下にはタイヤが付いているのか…。

 私は 少し力を入れて ハンドリフトを引っ張ると、パレットが驚くほど 軽く動き始めた…。

 私は ハンドリフトを引っ張り、小走りでアントニーの所まで持って行こうとする…。

「ゆっくりとだ…。

 バランスを崩すと1000万UMが 吹っ飛ぶぞ…。」

 クオリアが 少し傾いたパレットを支えながら言う。

「……気を付ける…。」

 私は 冷や汗をかきながら スピードを落とし、歩く位のスピードで ハンドリフトを引っ張り、アントニーの元に付いた。

 

「さて、レナ…こちらは 入国審査官…。

 ちゃんと説明を聞いて手続きをして…。」

「分かった…。」

 入国審査官…ようは 砦学園都市の入り口を守る警備員だな…。

 流浪民だから法で罰せないと言っても、私は かなりの数の犯罪行為をやって来ているので緊張する…。

「いや…そんなに緊張しないで…。

 では…まずお名前は?」

「レナ」

「レナさんね…入国目的は?」

「移住するか どうかの観光」

「移住を希望ですね…。

 この都市では、特殊技能持ちか 都市民の推選(すいせん)が必要になります。

 推薦者(すいせんしゃ)はいますか?」

 レナがアントニーの顔を見る…。

 アントニーは、うんと首を縦に振った。

「アントニー・トニーの推薦(すいせん)…。」

「アントニー都市長、それは 事実ですか?」

「はい…レナを都市民候補(こうほ)として推薦(すいせん)します。」

 アントニーが片手を上げて(ちか)う。

「分かりました…観光として1週間の滞在…。

 都市民になるなら、登録手続きで 更に1週間延長で…それでいいでしょうか?」

「問題ない…。」

「では、規約を…。

 入国者が この都市に滞在中は、砦学園都市、砦都市、トニー王国法の法律が適応されます。

 これは流浪民でも適応され、これを守る対価として アナタの生命維持の為の生活資金を政府が保証します。」

 アントニーが言っていた()えさせない為の保証か…。

「その守る法律は?」

 都市の法律となれば かなり多いのだろう…。

 流石にここで覚えきる自信は無い。

「レナが引っかかりそうなのは、自衛以外での殺傷、暴行、窃盗、詐欺 位か?

 大丈夫か?」

「食べ物に困らなければ…空腹の為の窃盗は自衛に入る?」

「入る…まぁそんな事 まず起きないだろうけどね…。」

「なら、守れる…。」

「後は、自衛用の武器ですが…手ぶらですね…。

 リボルバーを貸し出せますが…あ…。」

 入国審査官がアントニーを見る。

 多分、私に武装させるかを聞きたい見たいだ。

「リボルバーの非殺傷弾6発って所ですかね…。

 流石に殺傷用を持たせる程の信用は まだ無いかな…。」

 アントニーが言う。

「レナさん…どうしますか?」

「それで 良い…。」

 私は 入国管理官からリボルバーの入ったホルスターを受け取り、ベルトにぶら(さげ)、リボルバーをホルスターから取り出して見る…。

「あれ?リリースボタンが 押せない…。」

 私が何度か押してみるがマガジンが出ない。

 銃は グロックしか触って無いから、細かい所までは分からない…。

「ああ…ここ」

 アントニーが 私が親指を掛けているボタンを引く…ああ引くのか…。

 アントニーが 私の手を取り、リボルバーを横に振り、シリンダー(マガジン)を出す。

 弾は 入っていない…。

「空の状態で撃って見な…。」

 アントニーがやったように リリースボタンを引き、リボルバーを振ってマガジンを入れ、銃を構えて 誰もいない所を狙う…。

「ちゃんと構えられている…。」

 入国審査官が言う。

 グリップ部分に違和感が出ているけど 構え方はグロックと同じで大丈夫だろう…。

「撃つよ」

 引き金(トリガー)を引く…トリガーは グロックに比べ 少し重い…。

 カチッ…。

 上のハンマーが起き上がり弾を叩いた…が当然ながら 弾は入っていないので撃てない…。

如何(どう)にかなりそう…弾は?」

「はい。」

 入国審査官は後ろの巨大金庫を開けて、弾が入った箱を出す。

「確認して下さい…9mmスタン弾です。」

「いや…私は 文字が…アントニー?」

「ああ…ちゃんとスタン弾…。」

 入国審査官から弾を受け取り、一発一発を手作業で入れていく…。

 なるほど…銃弾の尻を叩いて撃つ仕組みは グロックと一緒。

 ただ、自動で排莢(はいきょう)される仕組みは 無い見たいだ。

 まぁ…6発で 足りなくなる事も無いだろう…。

 私は 慣れない手つきでリボルバーをホルスターに入れる…。

「では最後に…。」

 入国審査官は 私に 腕時計のような物を渡す。

「これは?」

「財布と監視機です。

 左手首に付けて下さい。

 レナさんの行動は 都市のシステムに常時 監視されています。

 違反を起こしそうな場合、その腕時計から警告が入ります。

 それと 発砲した場合は それが正当であるかを判断する為の証拠としても扱われます。

 観光中は極力(きょくりょく) 外さないで下さい。」

「分かった…。」

 監視されるのは 少し抵抗があるけど、監視するのは機械だろうし、冤罪(えんざい)をでっち上げられて略式(りゃくしき)で処刑される事も無くなるので まぁ良いだろう…。

 それに 危険性のある 他所者(よそもの)を入れる時の対応としては理解できる。

 ()()()()()()()()()ずっと付けたままに しておこう…。

 レナは 左手の手首に監視機を巻き付けた…。

「それじゃあ…エレベーターが来ているから乗って…砦学園都市に行くよ…。」

 ああ…やっぱり地下か…。

 中はインダストリーワンの3層に近い構造なのか?

 そう思いながら、私達は大型のエレベーターに乗り、下に降りて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ