29 (蘇る不死鳥)
暗闇で包まれた部屋に6機のカプセルが設置されている。
カプセルはヒト1人が入れるサイズで、その中にはヒトが入れられている。
へそには 機械のチューブに接続されていて、上部の人工的に作った胎盤に接続され、中には培養液で満されている。
へその緒のようなチューブで繋がっているが、中にいるのは胎児では無く、どう見ても成人している若い男女だ。
ピー……。
6機のカプセルに満たされていた培養液が足元から排出され、カプセルが開く…。
6人の男女が 自分でへそのチューブを引き抜き…へそにはチューブに接続する為の機械パーツが見える。
「また、死んだみたいだな…。」
「みたいだね…。」
全裸の状態から近くのハンガーに掛けてあるバスローブを着る…ラズロとマリア…。
他の4人もバスローブを来て、とりあえず折り畳みのパイプ椅子を持って来て座った。
各自が まずやり始めたのはARウィンドウを開き、自分の日記の確認だ。
やっぱり…日記に書いてある…ここ1ヵ月の記憶がない…。
脳を入れ替えた際に起きる転送ロスが 今回は大きい。
「へえ…オレらのフェニックス以外のQDLか…。」
機体名は、ファントム…。
乗っているのは、テストパイロット兼エンジェニアのナオに、プロジェクトリーダーのエレクトロンのクオリア…か…。
顔写真付きで、2人の詳細が書かれている…。
この情報の多さからして、どうやらオレはこの2人を気に入っていたようだ。
「まさか、オレが気に入るヤツがいるなんてな…。」
「へえ…結構、楽しかった見たい…私。」
マリアが日記を見て素直に感想を言う。
「通常機で戦ったとは言え、オレらをシミュレーターで撃墜か…。」
「高度な連携で、なす術も無く撃墜されたと書かれている。
悔しいが相当な力量を持っているようだ。」
「生身がね…良くやる。」
ヨハネとイオアンが言う。
「やはり、ネスト攻略作戦が行われたようね…。
それで、エクスプロイトウイルスは…あら、私達が演技で倒れたのね…。
へえ、面白い作戦…。
確かに効果的よね…。」
マルタ…。
「だが、ネスト攻略作戦の詳細も記録も無い…。
律儀な 私が作戦内容を記載して無いとなると…。」
ヤコブ…。
「ああ…ラプラス関係だな…。」
ラズロが言う。
「となると、実行部隊は 私達だろうな…。
私達がネストの情報を持っていれば、後々ラプラスにその情報を使われると判断したか…。
だから、記憶を散逸させる必要があった…。」
ヨハネがネットを使い、作戦を調べている。
「一応成功はしている見たいだな…。
ネットで国連の公式発表されてる。」
「やっぱり、作戦内容は一切無い…。
多分 現場の兵士の記憶でも覗かないと無理だろうな…。」
イオアンが言う。
「まぁ少なくとも、相打ちには持ち込めたって事だな…。
無駄死にしてなきゃ、とりあえず良い。」
オレは笑いながら言う。
「まっ作戦が成功したから良いけどね…。
私達のフェニックスは?」
「クリスタルは作り直さないと行けないが、機体のデータは ここにデータを送ったらしいな…。
うお…キョウカイ小隊と共同開発をして 各段に乗りやすくなってるのか…。
てことは、ファントムにもこっちのデータが渡ってるって事か…。」
「フェニックスの新しい仕様書はこちらにあった…やっぱり私は ちゃんとしている。」
ヤコブがデータをオレに渡す。
「えーと…何だこりゃ…殆ど変わってるじゃねーか…。
こっちが一方的に技術を渡したって思ってたが、スゲーな…。」
「ああ…キョウカイ小隊…良いチームなのだろう…。」
「こっちも、それ関係が多いしね…会って見たいなキョウカイ小隊~」
「当分は無理だろう…こちらの転生システムが 知られる危険性がある…。
私達は しばらく死んでいた方だ良い…。」
「分かってるよ~ヤコブ…。
しばらく休めそう~。
お金は山ほど入ってるだろうしね…。」
「だな…。」
自分の身体に多額の保険金をかけているし、報酬も高い…。
政府の管理下と言う多少の制限や不便があるものの悪くない快適な生活だ。
オレ達はしばらく、変わった今の世界の状況を確認し、部屋の外に出て各自の部屋に向かった。
次にオレ達が死ぬまで全力で生きる為に…。
【読んで頂きありがとうございます】
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ここまで見て頂いてありがとうございます。
現在、続編としてヒトのキョウカイ02とヒトのキョウカイ03を作成中です。
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