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03 (6発じゃ解決できない事態)

 A.E(アイス・エイジ) 500年…8月18日(月)

 ナオ(オレ)とレナは、新装開店して初めて トヨカズが経営している『ノスタルジア』に行く。

 普段は 店員一人に任せて滅多に店に来ることが無いのだが、事前に連絡を入れた事もあり、ちゃんといる…。

「何で ここ何だ?

 直接ガンスミスの所に行けば良いってのに…。」

 店の奥でドラムと一緒に商品棚を整理しているトヨカズが言う。

「だって前は ここで銃を設計して貰ったからな…。」

 ナオ(オレ)が言う。

「レナが来るとは聞いていたんだが、ナオも来るとは…。」

「まぁ公費で銃作って良いって言われたし、前はリボルバーで十分だと思ってたんだけど…ピースクラフトでの戦闘を考えると火力不足かなって…。」

「まぁ…普通 あそこまでの戦闘は しないからなぁ…。」

 ピースクラフトでの戦闘を考えると6発で解決するのは難しく感じる。

 サブウェポンはリボルバーで良いとしても、メインウェポンが必要だ。


「じゃあレナから…銃には詳しくないんだろ…。」

 トヨカズがレナ()に聞く。

「そうね…引き金を引けば 撃てる位の感覚で撃ってたから…。」

「本番では 25m先の人型に当てる位の精度が必要なんだが…スラム街にいた時は 何の銃を使ってたんだ?」

「う~ん『グロック』?」

 私は トヨカズの質問に大雑把(おおざっぱ)に答える。

「いや…グロックだけで30種類はあるぞ…。

 しょうがねーな。

 そいつと同じ銃は レナの都市でどれだけ普及していた?」

「ハンドガンは全部グロックだった…銃はそれしか無いと思ってたし…。」

 トヨカズは 私が使っていた銃が流通している大量生産品だと当たりを付けて検索を始める…。

「じゃあ…フルオート射撃には対応していたか?」 

「出来た…弾が勿体(もったい)ないし、ジャムるから やらなかったけど…。」

「なら、グロック18Cだな…。」

 トヨカズがARのモデルガンを出し、私が受け取る。

「あーコレコレ…ん?コレ重くない?」

「いや…それ 純正品だぞ…。」

「見た目はコレなんだけど、もっと軽いはず…5歳の私でも撃てたから…。」

「相変わらず、スンゲー人生送ってるな…。

 てことは 改造品か…あ?軽い…ああ『炭素繊維強化プラスチック』か…。

 そっか そりゃ素材の見直しが入っているよな…。」

 氷河期が来て 大規模な物流が維持出来なくなり、生産品目を減らさざる負えなくなって、銃自体の素材に見直しが入った。

 なので、今は軽くて丈夫な素材が使われ、性能も総合的には向上している…らしい。

 トヨカズが再び検索を始める。

「あったあった…これか…。」

 グロック18Cが消え、新しく現れた銃を私に渡す。

「あーこれ…しっかり馴染む…名前は?」

「グロック18 CFRP…今の都市で入手出来る素材で作った再設計モデルだ。

 かなりの数、流通しているらしい…。」

「へぇ…。」

「弾は9パラだよな…レーザーサイトは?

 構えないでも着弾点の位置が分かるぞ…。」

「じゃあそれも…。」

 私は デリバリーピザで追加注文するノリで答える。

「ほいほいほいっと…完成…倉庫で試し撃ちして来な。」


 ARで出来た銃を渡し、レナは奥の倉庫に行き撃つ…。

 本物の銃弾は出ないが、壁に向かい発砲…驚くほど当たる。

「え?私…こんなに射撃上手かったっけ?」

 まぁ的までの距離が短いと言う事もあるのでしょうけど…。

「だろうな…銃のメンテナンスが雑だったんだろう。

 砂が銃の中に入って撃つ度に内部フレームをガリガリ削ったり、潤滑(じゅんかつ)オイルをベッチャベッチャに塗ったり、ちゃんと撃つには日頃のメンテナンスが重要だって言う()い例だな。」

「オレは そう言うのが面倒(めんど)いから、リボルバーを使ってるんがな…。

 あれは雑でも ちゃんと当たるし…。」

 トヨカズと一緒に私の撃つ所を見ているナオが言う。


「じゃあ次はナオだ…。

 AUG(あうぐ)か?P-90か?」

 トヨカズがナオ(オレ)に聞く。

 AUG(エーユージー)は、ブルパップ式のアサルトライフル…。

 P-90は 人間工学を元に設計されていて 扱い難いが、操作にさえ慣れてしまえば、貫通力の高い弾を使う優秀なサブマシンガンだ。

「いや…ウージーマシンピストル…。」

「何で またハンドガン?」

 トヨカズがオレから出た予想外の答えに不思議そうな顔をしている。

「何でって…日本の警官が採用していた傑作(けっさく)銃だぞ。

 中国のノリンコの再設計品 なんだけど…。

 命中精度は 義体側の火器管制システムで 如何(どう)にか なるから、安くて、整備性が良くって拡張性もあるハンドガンで フルオートで撃てれば条件としては良いだろう…。

 何より雑なメンテでもジャムらないし…それに…。」

「それに?」

「オレ、昔も今もハンドガンのライセンスしか持って無いから、(あつか)えないのな…。

 まぁ長物のライセンスを取るのも面倒だったし…そもそも、仕事上 必要無かったし…。」

「持って無いのかよ…。

 で…とりあえず出来たけど…カスタムは?」

「レーザーサイトと50発のクアッドカラムマガジン…。

 フルオート時の連射速度を毎分600発に遅くして…後はトリガープルが200g…。」

 オレが前に使っていた銃の仕様を思い出し、トヨカズに告げていく…。

「あー(ほとん)どウジプロじゃん?

 てかトリガープル200gって相当イカれているな」

「ウージーは セレクターをラクに切り替えられるから小まめにセーフティを掛けていれば問題無い。」

 トヨカズがオレの注文通り設定を変えて行く。

「後は…セレクターレバーにカタカナで『アタレ』の刻印を付けて…。」

「日本の縁起だっけか?」

 安全、単射、連射の頭文字を取り、当たれ!とする事で命中を期待する縁起だ。

「よし…出来たぞ。

 後の細かな調整は ガンスミスのおっちゃんに頼んでくれ。」

「ああ…じゃあ行ってくる…」

 オレは スライドドアを開け、外に出た。


「それじゃあ…あっトヨカズ…。」

 レナもナオの後を追って行こうとするが、思い出したように振り返り「後で、請求書は私の方にまとめて送って置いて…後で経費で落とすから…」とトヨカズ(オレ)に言う。

「ああ…分かってる。」

 社員割引にしてやろうと思っていたが、都市側が持ってくれるなら、普段入れていない手数料も入れて水増ししておくかな…。

 オレはそう思い、またドラムと一緒に棚の整理を始めた。

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