試験
あれから一か月。時間が許す限り私はここに来続けた。
学校が終わってからでも来た。休日でも来た。宿題が終わってなくても来た。部活を休んでも来た。
私の体調が悪くならない限りは来続けた。
その日にあったこと、美味しかった食べ物、綺麗な風景、可愛い動物達。そんなことを話し続けた。
それと同時に私はまどかに少しずつ近づいて行った。最初は病室から入って3歩の所で話してたけど、少しずつ少しずつ近づいた結果、最近ではベッドの隣で話をすることを許してくれた。
..............あいもかわらず反応もなければ声も聞いたことない。ましてや笑顔だって見たことない。
でもここまで近づけた。ということは少しは私のこと信じてくれたってことなのかな?
だったら次のステップにいきたい。
それはまどかの手を握ること。
まだ絶対身体には触れさせてくれない。だからまずは手からって感じ。
多分相当時間かかると思う。でもこれを突破することができたらまどかは相当良くなると思う。人間不信だって治せる希望が見えてくるはず。
だから、今日は頑張らないと。
無理にしちゃダメって分かってる。絶対拒絶されるに決まってる。そして私の心が折れてしまうかもしれない。
..............でもやるんだ。私がやるしかないんだから。
だから今から頑張らないと........!!
昨日までより緊張する。
落ち着け私。
私は誰?
私は平塩玲華。まどかのお姉ちゃん。
だったら頑張らないと。
........................................ふぅ。よし!!
いつも通りノックを3回。
返ってこない反応。いつもの反応。
だから入れる。
ドアを開けて中に入る。
ベッドの上に座っているまどか。
その近くには椅子が用意されていた。
そこに私は座る。
知らん顔をしながらもチラチラ見てくるまどか。
多分楽しみにしてたのかな?なら期待に応えないと。
今日は何から話そうか...........。
楽しみにしてた文化祭のことを話すか。
「こんにちは、まどか。元気にしてた?」
「.......................................。」
「ちゃんとご飯食べた?好き嫌いせずに全部食べないとお姉ちゃんの背をこせないよ?」
「..............................。」
「気にしてないよー」って身体で表しても顔が「じゃあいっぱい食べる!」って感じになってるの丸分かりだよ。
「今日はね、文化祭のことについて話そっか。文化祭って学校でやるお祭りみたいなので、学校全体で色々なことするんだ。楽器を弾いたり、歌を歌ったり、劇を発表したりとか色々するんだよ。まぁでも神社でやるお祭りみたいに食べ物は出ないんだけどね」
「.................................。」
「でね私達のクラスは教室でお化け屋敷することになったんだ。お化け屋敷って知ってる?クラスメイトがお化けに変身して、来てくれた人を驚かすところなんだよ」
「結構本格的にやろうって話をして、真っ白の服とか、こんにゃくとか、長い黒髪のウィッグとか、血のりとか色々準備しようってことになったんだ」
さてここで少し芝居をうとうかな?
「そこで私は............って、うそ!」
いきなり大声出した私に驚いてビクッてしたまどか。
「ねえまどか!!後ろにあるテレビ!!なんか変なの写ってない!?青い火が写ってるよ!?」
本当はここでオーソドックスな白装束の黒髪ロングの女性って言いたかったけど、まどかを誘拐したクソ野郎な奴と似てるから言えない。
ちなみにまどか達を誘拐して虐待してた最低な奴は1週間前くらいに捕まったらしい。ざまぁ!!!!一生出てくるな!!!!!!!!!!
...................落ち着け私。そんなこと思ってる暇無いでしょ。今はまどかのことに集中しないと。
「まどか!後ろ向いちゃダメだよ!!青い炎が近づいてくるから!!!」
「.............................や!?!?」
何のことか分からないけど、とりあえず私が慌てているのを見て信じたらしい。可愛い。
それに久しぶりに声を聞いたぜ!!!嬉しい!!!
「..............ふぅ。青い炎はどこかに行ったみたいだからもう大丈夫。いやぁ怖かったねー」
「.............................?」
「ほら見て?私の右手こんなに震えてるんだよ?」
頑張れ私の右腕.........!!不自然じゃないくらいに手を振るわせろよ.......!!疲れて変なことになるんじゃないんだぞ!!
「触ってみる?」
ここでさりげなく伝えてみる。多分私からまどかに触りにいっちゃ意味無いから、まどかに私を触りに来てもらう。
....................................ダメっか。そりゃそうだよね。
たかが1ヶ月仲良くしただけじゃ無理だよねー。
そう思って手を引こうとしたらなんと!まどかが、ちょんって触ってくれた!!!!
ほんの一瞬でしかなかった。でもたしかに私の右手に触ってくれた。
うそ.............じゃない。隠した左手で太ももをつねってるけど痛みを感じる。
ほん、と?まどかが、触ってくれた、た?わたし、に?
..............................待って、泣きそう。泣きそうなくらい嬉しい。
こんなに嬉しいことなんだ。まどかに触って貰えるってこんなに嬉しいんだ..........!!
今すぐまどかを抱きしめてあげたい!
でもそんなことしたらダメだってわかってる......!!けど、けど!!それぐらい嬉しいんだ!!
「..............................まどかぁ」
もう半分泣いてる。我慢できなかった。だって、だって.............!!!
「.....................ぃじょぶ?」
........................え?今、なんて?
まどかが、話しかけてくれた、の?
.....................................もう無理。もう限界。
泣いても良いよね?
もうそこからは何を話したか分からない。自分の中のの感情を抑えるのに必死だった。
でもそれぐらい嬉しかった!!まどかに触ってもらって、話しかけてもらって嬉しかった!!!
私がやってきたことは無駄じゃないんだって分かった!!
.............ありがとうまどか。辛かったよね、不安だったよね、たくさんの勇気を振り絞ったよね。
だからありがとう!お姉ちゃん明日からまた頑張るよ!!
まどかに何をされても良い。だって!だって!!まどかにはまだ〇〇の面影があって、私を姉と認識してくれてるって分かったんだから!!!




