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下校

「まどかさん一緒に帰りませんか?」


あれから午後の授業が始まった。俺は何もなく過ごしたが俺に突っかかってきた奴は居心地が悪そうにしてた。が、自業自得だ。鈴葉を怒らせたから仕方ない。


ちなみに鈴葉はあれ以来機嫌が悪い。5時間目が終わった頃になだめに行ったがそれでもまだ機嫌が悪い。


これだからキレた鈴葉は面倒なんだよ。鈴葉はなんでも引きずるタイプだからなぁ。これは後で本格的に慰めるしかないか。


「いいぞ。どうせ部活にも入らないしな」


「私も入る気は無いのでこれからずっと一緒に帰りましょうね?」


おっと、そうきたか。まぁ断る理由もないしな。


鈴葉と一緒に教室を出る。やっぱり俺と鈴葉が気になるのかいろんな奴らから見られたが気にすることはない。どうでもいいことだ。


下駄箱に行き靴に履き替え外に出る。夕日が辺りを赤く照らしている中俺達は手を繋ぎ並んで帰る。


7年ぶりの再会なんだ、そりゃこうなるよな。鈴葉は俺と離れていてもずっと俺という存在を必要とした。俺も鈴葉が残した言葉を頼りに生きてきたから同じだろう。


今からは離れていた時間を埋めるようにずっと鈴葉は俺の隣にいるだろう。


「まーちゃん今まで何してたの?」


ここでその名前を呼ぶか........。鈴葉はもう自分と俺の2人だけの世界に入ったか........。まぁ合わせるか。


「更生施設に入って?というか病院に通いながら勉強したりしたよ」


「へ〜私もだよ!!でもなんでまーちゃんと一緒じゃなかったんだろうね?」


「さあ?なんでだろうね?」


答えは知っているが言わない方がいいだろう。もし俺と鈴葉がずっと一緒にいたらって思うと寒気がする。今以上に俺と鈴葉は共依存に陥り、人として機能していたか分からない。


「もうまーちゃんのイジワル!!まーちゃん絶対に知ってるでしょ!!」


ムゥと頬を膨らませて拗ねる。鈴葉がこんなに感情を出せるのにホッとする。それを俺にしか見せないとしても感情があるだけいい。


感情が俺にはないからな。あの生活していく中で失われてしまった。いや失くすしかなかった。失くさなければどうなっていたか分からない。だが俺の感情と鈴葉の痛み、どちらかを取れと言われたら俺は鈴葉の痛みを取る。こんな思いをするのは俺1人で十分。


「ねぇまーちゃん?今どこに住んでるの?1人暮らし?」


「1人暮らしだよ。ここから15分くらい歩いた所だよ」


「へえそうなんだ。ちなみに私は実家暮らしだよ」


「そうなんだ。私と違ってすごいね」


「なんで?1人暮らししてるまーちゃんの方がすごいよ!!」


「ううん、誰かと一緒に暮らしてるってすごいなって思ったの?」


「別に?家では全然話さないし普通だよ?」


俺のような人間にとって誰かと共同生活なんて考えられない。たとえ家族だとしても。


別に俺は誰かと暮らすことにはなんとも思わないが周りがどう思うか分からない。俺に気を使って辛い思いさせるかもしれないから俺は1人で暮らすことにした。だが俺の本当の理解者なら一緒に住めなくもないかな?


「そっか1人暮らしか........」


「ん?何か言った?」


「ううん、何にも〜」


絶対なんか考えてるな。さっきから意味ありげな笑みを鈴葉は浮かべている。


何かいやな予感がするが鈴葉だからいいか。


「私の家あそこにあるマンションなんだけどリンちゃんは?」


俺の家を鈴葉にバラしておく。多分家に来るだろうな。


「私はこっちだからお別れだね」


「じゃあまた明日」


「バイバイ。また明日ねまーちゃん」


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