表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/93

56

およそ1か月ぶりの更新です。皆様お久しぶりでございます。久しぶりに書いたので設定があやふやだったのは内緒です。


※注意 このお話を書く際に第7話、第24話を少しだけ変更しています。

 side平塩玲華


 なにこの人達、家族ってのを舐めてるの?信じられない。


 なんでそこまで放っておけるのかが意味分からない。まどかから鈴葉ちゃんはご両親のことを嫌ってるって聞いたけどこれは仕方ないわ。


 だって今の話ってネグレトでしょ?1番誰かに寄り添ってほしい時に見捨てられて、1番慰めてほしい時に無視されて、1番愛してほしい時に腫れ物を触るようにされたんでしょ?


 ほんと意味分かんない。それでよく親って名乗れるわね。


 そう私が思うほどだった。


 なんでこんな話になったかって言えば鈴葉ちゃんのご両親がまどかの家に来られて、軽く挨拶をした後に生活はちゃんとできてるかを調べた後に、私と可愛い可愛い妹のまどかがじゃれてたらいきなり「どうしてそこまで仲が良いのですか?」って聞かれた。


 だから逆に聞き返してやった。「どうしたら不仲になるんですか?」って。


 私は私なりの方法でまどかを愛してきた。もちろんお母さんもお父さんも一緒。


 時間はたくさんかかった。それでもまどかは心を開いてくれた。また昔みたいな家族になることができた。


 でもそれが鈴葉ちゃんの所ではできなかったらしい。


 そこで鈴葉ちゃんに帰って来てからどんなことをしてきたのかって聞いてみたらもう呆れるしかなかった。


 帰って来た当初はまどかと一緒で全然心を開いてくれなくて手を焼いたらしい。私だっていっぱい苦労した。でもそれを乗り越えないといけない。なのに!この2人は乗り越えるどころか悪化させた!!


 帰ってきてすぐのあの子達は温もりに飢えてた。母の優しい愛情、父の頼もしい愛情、そして暴力を振るわれなくて、美味しいご飯が食べられて、安心して眠ることができる場所が欲しかった。


 でも他人は信用できない。だからどうすることもできなくてもがき苦しんでた。


 だから私達に強く当たった。


 けどそれが1番のサイン。あの子達から出される助けてっていう唯一のサイン。


 それに気づかずに過ごして、鈴葉ちゃんは自力で、ご両親を憎むことでたった1人で乗り越えたんでしょう。


 信じれるのはまどかだけであとは全員敵。そう思うことで自我を保ったんでしょう。


 実際ご両親を憎むことでトラウマの多くは治ったって前に会った時に言ってたからそうなんでしょう。


 そして鈴葉ちゃんが自力で乗り越えた頃にはもうすべてが遅かった。鈴葉ちゃんの中でもうご両親は敵認定をされていたんだから。


 だから今の今まで心を開くことなく、私にまで「あんなのは親じゃありません。他人です。私の家族はまどかさんだけです」って言ってきたんだろうね。


 そんなご両親だから何を間違えたかなんて分からないだろうから全部教えてあげる。


「今から私が帰って来たまどかに何をしたのか教えます。それを聞いてせいぜい後悔してください。自分達がどれだけ愚かなことをしたのかを。..........それとごめんなさい。口が悪くなってるのは先ほどまで聞いてイライラしているからです。おそらくまだ口は悪くなります。ご不快であるなら最後まで聞いた後に殴って下さい」


「あ、ああ。よろしく頼む」


「まず、まどかが帰って来た時私達家族は泣いて喜びました。私含め家族3人で号泣してまどかを迎えました。ですがまどかは受け取ってくれませんでした。その理由はまどかにとって大人という存在そのものが恐怖の対象だったのです」


「そんな.........。じゃ、じゃあどうしたの?」


「根気よくまどかとコミュニケーションをとりました。当時の私は中学生でまだまだ大人とは言えませんでした。だから私は両親の頼みであり、そして私自身がまどかに少しでも良くなってほしいと思い1年以上の時間をかけて、医師の方と相談したりしながら少しずつ少しずつ距離を縮めました」


「その時に苦労はなかったのかね?私達もやろうとしたが話すら聞いてもらえなかったんだが.......。」


「当たり前でしょう。この子達にとって他人とは自分達を傷つける存在として認識しているんですから苦労なんてものじゃありません。ノートに筆箱、教科書に枕。ハサミに花瓶、そして時計に貯金箱。いろいろな物が飛んできたことがあります。花瓶を投げられて顔を切ったこともあります。ハサミを投げられて目に刺さりかけました。時計を投げられて頭に大きなたんこぶを作ったことだってあります。それでも私は諦めませんでした。なぜなら私はまどかにとって唯一の姉で、私にとっては可愛い可愛い弟であり妹でした。姉である私がまどかに味方しなければ誰がまどかの味方になるんです?たとえこの子に刺されても私はこの子の味方です」


「え?」


「当たり前でしょう?この子はうちに帰って来た時誰も信じようとはしてなかった。そんなになるまでした犯人のことは今でも憎いですが、それは一旦置いておきましょう。誰も信じることができなくなっていたこの子は先ほども言いましたが愛情に飢えていました。でも他人を信じられないからどうすることできませんでした。.............もしこれを放っておけるならそれは家族ではなくただの赤の他人です」


「..................。」


「だから私はこの子に愛情を注ぎ続けました。入院しても毎日お見舞いに行って、言葉で行動でこの子に愛を注ぎ続けました。怪我をさせられても気にしませんでした。この子は私がこの子に傷つけられた以上にボロボロにされていましたから、それと比べると軽いものですよ」


「だが...........」


「ええ、私の身体にはその時の傷跡がまだ残っているのもあります。でもそんなものとこの子が受けた傷を比べるとどちらが酷いものかはすぐに分かりますよね?どんなことをされても私は笑顔で許し続けました。大丈夫だよと抱きしめ続けました。肩を噛まれようと、胸を思いっきり殴られても、髪を引っ張られても時間が許す限りずっと抱きしめ続けました。すると少しずつまどかは心を開いてくれるようになりました。ぎこちない笑みを浮かべてくれるようになりました。少しのワガママを言ってくれるようになりました。そして何より私のことをお姉ちゃんと呼んでくれるようになりました。お母さんのこともお父さんのこともちゃんと呼んでくれるようになりました。それだけで私は報われた気になりました。この子を今度こそ守ることができたんだって思いました」


「..............狂っている。どうしてそこまでできる?」


「そうですね。たしかに私は狂っています。普通こんなことはできないでしょう。ですがそれがどうかしましたか?私はこの子の姉なんです。何があってもこの子の味方になることができる姉なんです。.........私がこの子の味方をしなければこの子は孤独な子になったでしょう。でもそんなのは許されません。この子は傷つけられ続けた。ならこの子は傷つけられた分だけ幸せになる権利があります。幸せになる義務があります。ならせめてその道に導いていく存在になりたかった。ただそれだけです。この子に幸せになってほしかった。姉として弟に幸せになってほしかった。それが私の行動理由です」


「..............そうか。失礼なことを言ってすまない」


「お気になさらずに。自覚ありですから」


「えっと、私からもいいかしら?その、あなたのご両親は何をなされたの?それが気になって........」


「分かりました。両親は最初の1年は全く会いませんでした。まどかのトラウマが『大人』でしたのであえて1度も会うことはしませんでした。その代わりにいろいろなことをしました。母はまどかが好きだったご飯を毎日作ってくれました。まどかが魘されている時には真っ先に駆け寄って抱きしめていました。母の愛情をまどかが分からなくても注いでくれました。父はまどかが少しでも良くなるように精神病について勉強しました。医師と相談してどうしたらまどかの状態が改善するかを毎晩遅くまで考えて翌日に実行したりしていました。そして何より、まどかを守れなかった私のことを、まどかに何もしてあげることのできなかった私を抱きしめて泣かせてもらいました」


「たとえ報われなくても、拒絶されても、会えなくても両親はまどかに愛を注ぎ続けました。直接会って抱きしめて『辛かったね怖かったね。でももう大丈夫』って言うのを我慢し続けました。言葉を交わしたいのにまどかのことを1番に考えて我慢し続けました」


「それが鈴葉ちゃんのご両親と私の両親の違いだと思います」


「そして1年と少しが経つ頃には私達家族には心を開いてくれましたがそれ以外の人には怯える日々を繰り返していました。それを克服しようと4年、私達4人家族は頑張ってきて今に至るという感じですね」


「「...................。」」


 言いたいことは言ってやった。この人達がうなだれようと、後悔しようとどうでもいい。


 あの時、あの瞬間助けてっていうサインを見逃して、見逃し続けてきた人達にはちょうどいいんじゃない?


 私は私なりに頑張ってきた。


 まどかが普通に暮らせるようにサポートしてきた。それに付き合うように私の心優しい親友達は私を手伝ってくれてまどかのリハビリに付き合ってくれた。


 正直私達は恵まれていた。手伝ってといえば「しょうがないなぁ」と言って手伝ってくれる私の親友。両親の忍耐、そして私が中学生であってまどかの恐怖の対象が『大人』であったこと。なによりもまどかは最初から私達家族を嫌っていなかったこと。


 これらが合わさってこそ今のまどかがある。


 親友には感謝しても感謝しきれないほどの恩があるし、お母さんとお父さんは私を信じて待ってくれた。相談にのってくれた医師の人も的確なアドバイスをもらったり愚痴を聞いてもらったりした。


 だから今のまどかは奇跡の存在。


 私のことをお姉ちゃんと呼んでくれる。笑顔でじゃれてくれる。可愛く拗ねてくれる。顔を赤くして恥ずかしがってくれる。


 それだけで私は報われた。それを見ることができるだけで私は十分満たされた。あの時の苦労は決して無駄じゃなかったんだって思えた。


 だからそんな努力を怠ったあなた達が鈴葉ちゃんに好かれるわけないじゃない。


 ちゃんと真正面から向き合った?何をされても受け入れてあげた?愛を注いであげた?何をされても諦めずに話しかけ続けた?


 それができなかった時点で親失格だと私は思うな。


 だって子供にとっては親とか兄弟とかが1番の味方になってくれるって思ってるんだから、それを裏切られたらそりゃ嫌いって言われるよ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] あぁ、お姉さんの心情も聞いてみたいと思っていたんですよ。 [一言] この人にも幸せになってほしいなぁ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ