変化
屋上から教室に帰る途中鈴葉は俺の左腕にしがみついている。それなりに膨らんだ柔らかいものが当たるが何も感じない。ただあるんだな程度にしか思えない。が鈴葉が嬉しそうにしているため放っておく。
教室に帰るといろんな奴らから見られる。俺の髪型、鈴葉と俺が腕を組んでいることが1番なんだろう。
オズオズと言った感じで女子の1人が話しかけてくる。さっきまでグループでいたから代表と言ったところか?
「ねえ三ヶ瀬さん..........やっぱり平塩くん?と」
「平塩くんに私の存在を確認してもらっただけだよ」
「そうだな俺には鈴葉が必要なんだって言われた」
「そう...........ありがとう」
まぁ引き下がるしかないよな。俺に鈴葉が必要なのは事実だが、これは鈴葉が俺に告白をしたと言ったようなものだ。自己紹介の時に鈴葉が言ってたんだがな.........忘れてるのか?
周りを見ると男子のほとんどは絶望した顔をして、女子は黄色い声を上げている。..........なんでだ?
「あとね........平塩くん?その髪どうしたの?というか平塩くんで合ってる?」
「これか?これが本当の俺の髪型だよ。さっきまでのはウィッグ。あと俺は平塩まどかだよ」
右手に持っていたウィッグをを頭の上にのっける。地毛の方が長いからウィッグからはみ出てるけどいいよな?
「え?なんでそんな髪型してるの?それって女子のショートカットだよね?というかもう女子にしか見えない.........」
「まぁ髪型なんてどうでもいいだろう。俺は俺だ」
「そうですね平塩くんは平塩くんです。私にとって平塩くんはあなただけです。あなたがあなたでいればそれでいいのです」
コイツ.........コイツだけが俺を肯定してくれるからな。俺の存在を残してくれているのが鈴葉だからな。
「ねえなんでその髪型にしてるのか教えてくれる?」
今まで聞いてきた女子とは違う女子が聞いてきた。男である俺がそこらへんにいる女子よりも可愛いのが気に食わないのか口調がキツイがそれがどうした?
「なんで答えないといけない」
「逆になんで答えてくれないわけ?なんか理由があるんじゃないの?」
なんか気味の悪い笑みを浮かべているな。多分コイツは俺のことを変人として扱いたいんだろう。俺が男子とは思われない容姿をしているから。だがこの容姿を俺が認められるようになったのは鈴葉のおかげだ。俺はこの容姿のせいでアイツと出会った。
「お前に言う必要性を感じないし、俺を変人扱いするならそれでいい。俺を受け入れてくれている鈴葉がいればそれでいい」
「ふーん。自分は変人でもいいんだ。だってみんなコイツ自分のこと変人だってさ!!こんな奴なんてどうでもいいだろう?本当は三ヶ瀬もそう思ってるんじゃない?」
コイツ教室で大声で言いやがった。まぁでも俺にとっては好都合。俺に関わってくる奴らを減らせると考えればいいだろう。そもそも俺はアイツのせいでこうなっちまったんだしな。
不穏な空気を隣から感じた。鈴葉を見ると表情がなかった。鈴葉は怒ること事態が少なく俺と一緒に過ごした日々でも1度しか見たことがなかった。その時も俺に関係することだった。
頼むからキレないでくれよ。鈴葉を止めるのは難しいんだよ。でももう遅いか.........。ドンマイ名前も知らない女子。
お前は多分鈴葉の地雷を爆発させた。