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流布

ここから鈴葉視点が続きます。

 教室を出て一直線に外に出ます。前から見つけていた誰にも見つかりづらいであろう場所に移動しました。


 その間にもまどかさんはガタガタと震え、顔色は青白く、おぼつかない足取りでなんとか私について歩いています。


「大丈夫ですよまどさかん。ここには誰も来ません。あいつも来ません。来たとしても私が追い払います。だから安心してください。今この瞬間は私とまどかさんの二人だけですよ」


 目的についてまどかさんを安心させるように声をかけますが意味がありません。


 なぜなら私の声が全くまどかさんに届いておらず様子が全然変わっていないからです。


 とりあえずまどかさんの手を取ります。反応がありません。


 おでこをくっつけます。反応がありません。


 ギュッと抱きしめてみます。少しだけ反応があります。


 そのままキスをしてみます。反応大ありです


「リ、リンちゃん!?何してるの!?」


「良かった........。元に戻ったね」


「元にって........そうだね.........ごめんねリンちゃん」


「ううん、しかたないよ。だってあれがいたもんね。怖くて怖くてしかたないよね」


「............................うん」


「我慢しなくても大丈夫。あの時みたいにはならない.....ううん私が絶対にさせないから。まーちゃんを今度は私が守るから大丈夫」


「...............ごめんね。情けないよね、軽蔑するよね。男の子なのに震えてばかりの私なんて必要ないよね」


「そんなことない!!今の私がいられるのはまーちゃんのおかげなんだよ!!私にとってまーちゃん以上に大切な物なんてないくらいまーちゃんは大事な人なんだよ!!」


 まどかさんの答えを聞かず抱きしめます。私にとって大切な人で、大事な人で、大好きな人で、この世で一番愛しているのはまどかさんだということを理解してもらうために。


 するとまどかさんの方からも抱きしめ返してくれました。温かくて、たしかにそこにまどかさんは存在して、心がよく分からないけど優しい何かで満たされていくような気がします。


 そのまま無言でずっと抱きしめあっていたら1時間目の授業の終わりのチャイムが聞こえました。


「.........今日はもう帰ろっか?ね?まーちゃん」


「....そうだね、そうしよっか」


 名残惜しいですが一度身体を離しますがすぐに手をつなぎ歩き出します。


 教室に入るとクラスメイト全員分の視線が私とまどかさんに突き刺さりますが、そんなのどうでもいいです。ささっと荷物を片付けて帰りましょう。


 早退の手続きをしたのかって?もちろんしてません。そんな時間も惜しいです。


「あの............三ヶ瀬さん?さっきのってなんだったの?」


「あなたには関係ありません」


「でも先生も困ってたし私達も気になるし..........。三ヶ瀬さんとはあまり話したことない私から聞くのは失礼かもしれないけどね、よかったらでいいから話してほしいなって..........」


「はぁ...........これ以上聞かれるのも面倒くさいですしこれだけ言います。10年前の3月21日に起きた子ども誘拐事件、そして7年前の4月5日に起きた拉致監禁されていた子ども二人が保護されたというこの二つのことについて調べてみてください。そしてその事件を少しでも知ったうえでこれ以上聞きたいのであれば明日教えてあげましょう。あの日起きたことを。3年もの間拉致監禁されていた子どもたちがどんなことをされて、どんなことを刷り込まれて、そして誰がやったのかを」


 ここまで言えば私に聞いてきた女子生徒は素直に引き下がってくれました。


 手早く荷物をまとめて、私の後ろで袖を掴みながら小さくなっているまどかさんにリュックを背負わせて自分のリュックも背負って誰にも何も言われないことをいいことに教室を出ていきます。


 さぁ明日あなた達が地獄の門を開くか開かないはあなた達の選択しだいですよ?





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