対面
私があの忌々しい両親に連絡を取って数日後の日曜日。今日はまどかさんを連れて、私の元家に戻っています。
ええそうです。元家です。あんな所二度と帰りたくありませんでしたが、今回は仕方がありません。
久しぶりに帰ってきましたが何も変わりはありませんね。変わっていたらそれはそれで驚きますが.........。
一応インターホンを押して中に入ります。が、まどかさんがついてこないので手を取って一緒に入ります。
「おかえり、鈴葉」
「おかえりなさい。元気だった?」
「.............ただいま」
両親も変わりはありませんね。別に何があっても私には関係ありませんけどね。
「お邪魔してます。初めまして、平塩まどかといいます」
まどかさんが後ろから自己紹介をします。
今日は男の子モードなのでウィッグはしていませんが、服はユニセックスなものを着ているので、男装している女の子にしか見えません。すごく可愛いです。
「初めまして。鈴葉の母です」
「君がまどか君か.......。私が鈴葉の父だよ」
「...........初めまして。沙夜です。お姉ちゃんを取った泥棒さん」
その発言はいただけませんね。私のまどかさんを貶すことは許されません。
「ふざけたことを言わないで下さい。もとよりこの身体と心は全てまどかさんのものです。そこをお忘れのないように」
いくら妹とはいえそれは許されません。
妹を睨みつけていると........あうっ!......痛いです。
「鈴葉。可愛くて大事な妹さんなんだろ?そんな相手にムキになるな。俺は何を言われても大丈夫だが.........はぁ、やっぱり1人で来ればよかったな」
後ろからまどかさんにチョップされてしまいました。
少し痛かったですが、これまでこんな風に怒ってくれたことなんてなかったので嬉しいです。
「か、可愛いって........」
あら、沙夜が固まってしまいました。まぁ可愛くて大事な妹というのは事実ですしね。
「改めまして、私は平塩まどかといいます。本名はとっくの昔に捨てましたし、忘れてしまいましたのでご容赦ください」
ペコリと頭を下げるまどかさん。そして自分の頭に手を置いて........ってそれをバラすつもりですか?
思わずまどかさんの手を取って止めようとしましたが、やんわりと断られてしまいました。
私の家族にそのことを教えても大丈夫なのですか?
個人的には教える必要なんてないと思います。
ですがまどかさんがそうするのであれば、私はもう止めません。
スルリとウィッグが外され出てきたのは男の子にしては長いけど、女の子からすれば短い黒のショートカットが出てきました。
「そしてこっちの私が本物の平塩まどかです。さっきまでのは“男”というのを前面に出すために、ウィッグをしていましたが、こちらが本物です」
さっきとは違う声。それも女声で話していますから両親と妹は固まって絶句しています。
「...............君は女の子かい?鈴葉からは男の子だと聞いていたのだが」
「はい。私はちゃんとした男です。ただこのようになった理由としては、あの監禁生活の中でこのように調教された結果プラス鈴葉のお願いのためにこの姿になりました」
そうですね。たしかにそんな理由でまどかさんは生まれましたね。
しかしそれ以外にも理由はありますよね?
私を守るために進んで暴力を受け、心も身体も傷つけられ、人格をなくし真っ白な状態にされたという前提を忘れていますよ。
ただ、これを両親たちに伝える必要はありませんよね?
だってそれがどんなことをされたにせよ、その背景にあるのは私のため、というのがありますよね。
私はそれが愛おしいのです。
こんな人達にそれを伝えるなんてもったいないです。
そうですよね?まどかさん。




