回想
お義姉様が嵐のように私達の家に訪れ、嵐のように過ぎ去っていった夜、私は1人で考え事をしていました。
それはお義姉様から聞いたまどかさんのことです。衝撃的なことが多すぎて、私はほとんど口を閉じていました。
思考が停止して頭が真っ白になってしまいました。それほど私に与えた影響は強かったです。
あの時聞いた話はこうです。
まず私とまどかさんが離された直後のことを教えてくれました。
私達は5歳の時に拐われ7歳の時に逃げることに成功しました。その3年間の間ずっとまどかさんは守ってくれました。
私が知っているのはその時のまどかさんで、それ以降のまどかさんは知りません。そしてそれを知った時私は驚愕しました。
お義姉様によればまどかさんがあのように話せるようになったのは最近のことのようです。
最初の2年は入退院を繰り返していたそうです。それも私達が離された瞬間から。
なぜならまどかさんは極度の人間不信、そして精神的に安定しなかったことが原因らしいです。
拐われる前まどかさんはお義姉様にすごく懐いていたそうですが、帰ってきたまどかさんは両親にも、そしてお義姉様にも恐怖心を抱いてしまったのです。
だからお義姉様とご両親は5年の時間をかけてもとの関係に戻れるよう努力したそうです。
普通に話し、触れ合い、生活するのに5年もかかったのです。それほどまどかさんは追い詰められていたのでしょう....................私のせいで。
まどかさんが受けた傷は私なんかよりもはるかに深いことが改めて分かりました。
なんせ私は2年で今の状態まで回復しましたしね。
話が逸れました。それからまどかさんは私と会う3年前からなんとか学校に通い始めたそうですが友達は0。
話す人は家族か先生だけだったらしく、その上必要最低限しか話さなかったそうです。
そこで私は思います。まどかさんは未だに精神的な傷は治ることはなく、むしろ傷つき続けているということです。
まどかさんが信用している人としか話さない。私にさえ本音を語らないのはやはり、他人に対する恐怖心がまだ残っているからだと思います。
おそらくまどかさんは5年の長い年月をかけて「他人に慣れる」のではなく「自分が恐怖の感情を表情や仕草に出すことを我慢する」ことを覚えたのでしょう。
だから今もまどかさんは様々なことを抱えています。
だから今もまどかさんは他人を恐れているのです。
本当は抱きしめて「大丈夫だよ」って言いたいですが、おそらく意味がありません。だって恐怖心を抱いている人にそんなこと言われても聞かないと思うからです。
あの時お義姉様から聞いた話はまだあります。まどかさんが私と離れた8年間のことを教えてくれました。
まどかさんの本質を知れて私は嬉しかったです。ですがその反面私はまどかさんのことを守れるか不安になってきます。
なってきますが、そこは努力と気合でなんとかしましょう。
もう私は弱くはありません。絶対にまどかさんを守ってみせます。
あの時あなたが守ってくれたように。




