Black & Black
「私のこの話を貴方が聞くためには、怪談話の最中に後ろを振り返ってはいけないように、守ってもらわなければならないルールがあります。破れば貴方は死ぬかもしれないし、不幸のドン底に沈むかもしれません。だからどうか無心でいて。この話を聞いている間は何も思わずにいて。恨まず、そして真に受けないで聞いて。私は__」
一瀬春や二宮凉季には友達と呼べる人間はいない。いたとしても昔の話だが、そんな二人の心の内は例え己であっても知らない絶対領域である。思い返せばあの時。あの瞬間。些細なことで変わってしまうものなのだと、脱出など不可能であると、身をもって教えてくれたのかもしれない、と一瀬は思った。
一瀬春や二宮凉季には友達と呼べる人間はいない。いたとしても昔の話だが、そんな二人の心の内は例え己であっても知らない絶対領域である。思い返せばあの時。あの瞬間。些細なことで変わってしまうものなのだと、脱出など不可能であると、身をもって教えてくれたのかもしれない、と一瀬は思った。