姫と貴族と世直し騒動 7
さて、翌朝はもう少し落ち着けるかと思いきや、まだばたばたしていた。
タイコウ様にまた呼び出された。今度はなんですか?
聞くと、あの駆逐艦にお乗りになりたいらしい。
停止したかと思ったら、急に素早く動く。なんと便利な乗り物なのかと興味を持たれたらしい。
ということで、「スルメイカ」に乗艦していただくこととなった。もちろん、私も付き添いだ。
なお、この時おキヨさんも付き添うことになった。殿様たっての希望だ。しかし、なぜ??
艦橋では終始上機嫌だったタイコウ様だが、この艦の乗員はたまったものではないだろうなぁ。なにせ、地上の最高権力者が艦内に乗り込み、艦をあちらこちらに好きなところに動かされる。そのうち宇宙にまで行けと言われないか戦々恐々だった。
さすがに宇宙にはいかなかった。最後はお城に横付けし、そこから地上に降り立たれた。
このあとは交易・同盟交渉のため、交渉官に引き継いだ。もっとも、私個人がいつ呼び出されるかわからないため、私はしばらく地上勤務となった。
そうそう、あの事件の犯人たちはその後どうなったのか?
9隻の船は全て拿捕され、中の乗組員は全て捕らえられた。
リーダー格のあの男はスルメイカに突撃した船に乗船していたが、逃げ切れないと見るや自害したそうだ。
で、黒幕のダイミョウは捕らえられ、切腹を命じられたそうだ。お家は断絶。まあ、こればかりは我々が口出しできる領分のことではない。
ただしこのダイミョウの配下の者は全て我々が雇い入れた。「1人として不要な者はいないのであろう?」というタイコウ様からのありがたいお言葉で、我々に預けられた。
彼らにはその後、サカエの街の横に作られた宇宙港とその街の中で様々な職業についてもらった。
さて、私のその後であるが。
なんと、おキヨさんと結婚することになった。
「お主もダイミョウ家の家系なのだろう?」という殿様が、私におキヨさんとの結婚を申し出てきた。
そういえば、最初の謁見の時に、おキヨさんのお姉さんが同席していたが、あれはどうも私を品定めしていたようだ。
そのお姉さん曰く、おキヨと非常にお似合いだと感じたらしい。
当のおキヨさんも乗り気だったようで、ほぼ断ることなどできない状態で私に持ちかけてきた。
どおりで最近妙におキヨさんと一緒にされることが多いなぁと感じていたが、そういうことだったのか。
まあ、私もおキヨさんならむしろ願ったり叶ったりだ。あの笑顔は癒される。
ちなみにシュタインブルグ家に連絡すると、早速歓迎の電文がきた。あちらとしては、私が妻を見つけることができないのではないかと危惧していたようだが、申し分ない家柄の娘をもらえると帰って喜んでいたようだ。
交渉が進んだおかげで、この星は晴れて「地球741」として登録された。
またこの星から、私のような文官が出て、タイコウ様のような方を説得する未来が来るのだろうか。
それまでは、私もこの地のため、シュタインブルグ家のため、我が惑星のため、そしておキヨさんのために懸命に働こうと思う。
(第6話 完)